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ミステリィ、なのか?

これはなかなかレビューが書きづらい作品ですね。

主人公は海外で活躍する外科医で、彼の元に母親が倒れたという凶報が届きます。幸いにして生きてはいるものの意識不明で、どうやら主婦を狙った連続暴行事件に巻き込まれたらしい。しかも犯人は謎めいたメッセージを現場に残しています。切れ者の主人公が犯人に復讐するべく、事件を解明していく──というのが大まかなあらすじです。

あらすじだけだとミステリィそのものなのですが、いざミステリィと思って読もうとすると、

  • トリックに「頭の体操」系の解りやすいパズルが使われている
  • ミステリィ(作家)を揶揄するような表現が出てくる
  • 怪しげな《名探偵》が出てくる

という感じで、ひょっとしたら、これはいわゆる「アンチ・ミステリィ」なのか、と思わせる書き方です。

読点(、)や改行をあまり使わず、福井弁が頻出する文体も独特で、ひょっとして読者を遠ざけたいのかな、と思いました。

暴力的な表現や性的な場面も出てきて、どうしてもそちらに目がいきます。しかし、「事件の謎を暴く」という部分もちゃんと書かれていて、最後にどんでん返しもあって、ミステリィとしても読めます。途中で放り投げるのは、もったいない作品です。

煙か土か食い物

煙か土か食い物

  • 舞城 王太郎
  • 講談社
  • 2001-03
  • ¥ 1,050
  • Book

主人公

主人公の四郎(四人兄妹の四男)が、あまり他のミステリィで見たことがないような青年で、

  • ガールフレンドが海外に何人もいる
  • ──が、あまり大事にしていない
  • ケンカっ早く、ものすごく強い
  • 関係を持ってはいけない女性と寝るような奴
  • そのくせ、外科医の仕事は神業でこなす

──という感じ。うーん、僕たち(誰?)のは、こいつなんじゃないだろうか?(笑)

あまりにも《探偵役》では見ない配役なので、途中で出てくる「顔グロ・援●・女子高生」の、山口うさぎ(実は頭が切れる方)が真の探偵役か、と思いました。

──だがしかし、本作品の主人公で事件を解明する探偵役や四郎なのです(残念!)。ほとんどの場面が四郎の一人称で話が進みます。まぁ、上記のような人物で、独特な文体のため、初めはなかなか読みにくかったです。

非常に躍動感がある書き方で、マンガでいうと、スピード線(躍動感を表す平行線や放射線)や効果音(「ゴゴゴゴゴゴゴ」「メメタァ」「クシカツ」)が多用されている感じ。慣れると、主人公の感情や情景がパッと頭に浮かぶようになり、かなり早くページをめくれるようになりました。そういう意味では、マンガ的に感じました。

タイトルの意味

この作品の表題・『煙か土か食い物』の意味を、主人公が知る場面が出てきます。その直後に、主人公が一生忘れられない言葉を聞くことになるのですが──。ちょっと、それはないぜ、という感じで息が止まりましたね。血なまぐさい描写が多いですが、そういう場面よりも衝撃を受けました。

表題の意味自体は、繰り返し人の歴史の中で語られてきたのですが、主人公が住む、異常な家族愛の中で語られると重みが違いますね。

ラスト付近が熱い!

さて、四郎は《犯人》に復讐を遂げる場面がありますが、とある理由があって、あまり時間をかけることができません。そのために四郎がとった行動が凄い! そして、復讐の後の描写も突き刺さるように鋭く、生々しい。このあたりは息を呑みました。

全くムダ知識

さて、この記事のタイトルは、(ものすごく)熱心な雑君保プファンなら解るはず。

──解らない人は、何とかしてコレを入手しましょう。

カルトクイズ100人伝

カルトクイズ100人伝

  • 雑君保プ、 KARATT
  • メディアファクトリー
  • 1993-01
  • ¥ 999
  • Book

この記事のタグ(偽)

[名探偵は名探偵だった][一郎の奥タン萌え][この記事のタイトル解る?]

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