October 26, 2006
北大路魯山人はファック文芸部員
北大路といえば
「北大路」という名字を聞いて想像する人物は、大きく分けて二通りあるでしょう(断言)。ポニーテールとナイスバディ、大胆な行動、しかし実は純情派──という北大路さんは今回お休みいただくとして。
北大路魯山人という名前だけは識っていて、実際にどんな人かは知らない、という人がほとんどでは。『美味しんぼ』に出てくる至高のツンデレ親父、海原雄山のモデルになった人物、という認識が一般的かも知れませんね(たぶん一般の定義が間違っている)。
たまたま魯山人のエッセイ集を見かけたので、読んでみました。そうしたらこれが、面白い! 世の中の俗物どもをバッサバッサと切り捨てる──というか好き放題いってるだけ──と爽快な読み物でした。
自分が読んだのは上記の方ですが、単行本も出ているんですね。知らなかった……。
食通気取りをファック
自分が読んだ版の関係か、文体が「昔の作品を現代訳にした」という感じ。前述の通り、世にはびこる味覚オンチ、偽物の食通たちをちぎっては投げちぎっては投げ、という痛快なエッセイです。
ファック文芸部で題材になっていないのが不思議なくらいですね。──あ、魯山人の作品自体がファック文芸だからか? それとも方向性が違う?
ファックな引用
引用に絶えうる至高の一文が随所にちりばめられているので、少し紹介します。
寿司屋談義の項では、
大方の青年層はふんだんに食えれば、それで大満足というわけだから、寿司屋の甲乙丙はまず分かるまい。寿司屋談義は小遣銭が快調にまわるようになり、年も四十の坂を越え、ようやく口が奢ってきてからのことになる。
とまずジャブが入り、
島田髷の時代には売り物にならなかった御面相が、口紅、爪紅、ハイヒールで堂々と寿司通仲間に侵入し、羽振りを利かす時代になってしまった。昔ならほとんど見られなかった風景である。
とフェミニストが怒り心頭になりそうなボディブローが。このあと、
この調子では今にトマトの寿司、コンビーフの寿司、サンドイッチの寿司、トンカツの寿司など、創意創作がむやみやたらと現れ、江戸前を誇った勇み肌の寿司屋など後を絶たねばならなくなるだろう。
と続くのですが──うーん、これらのゲテモノ寿司って、たぶんすべてありますよね。近くの回転寿司店(かっ●寿司)でコンビーフ寿司は見たなぁ……。魯山人は未来を見通す、と。
魯山人の死因
未来を見通すといえば。
松尾芭蕉という歴史上の偉人にも魯山人先生は噛みつく。
ふぐ汁や鯛もあるのに無分別
という芭蕉の句に対し、
ふぐでなくても、無知な人間は無知のために、何かで斃れる失態は、たくさんの例がある。無知と半可通に与えられた宿命だ。
それでなくても、誰だって何かで死ぬんだ。好きな道を歩んで死ぬ、それでいいじゃないか。好きでなかった道で斃れ、逝くものは逝く。同じ死ぬにしても、ふぐを食って死ぬなんて恥ずかしい……てな賢明らしいことをいうものもあるが、そんなことはどうでもいい。
とのこと──
──今一度、北大路魯山人の死因を確認してみてください……。
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