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じつはシリーズ作品だった

全く前知識なしに『エディプスの恋人』を読みました。

なんの前置きもなく、主人公の(ちょう美人)女性・火田七瀬が「他人の意識」を読み取っている、という描写に驚きました。まぁ、普通に日本語が読めて、ある程度の創作物に触れてきた人なら「ああ超能力か」と解りますし、わざわざ説明していないことが、逆に「すこし・ふしぎ」な世界観にのめり込むことができました。

──と思って読了後に調べたら、本作品は「七瀬シリーズ」と呼ばれる三部作の、三作目だったというオチ。前作を読んでいれば、「いきなり読心術?」と唸ることもなかったわけです。でも、前知識なしで十分楽しめたし、色んな書評を読んだところ、それぞれの作品が全く別の作品のように独立しているとのこと。良かった好かった。

あらすじとアサマシ

主人公の七瀬は、名門高校の教務課事務員。彼女は、他人の意識を読み取ることができる超能力者。ある事件をきっかけに、特殊な精神構造を持つ高校生である「彼」の謎に近づいていく。やがて七瀬は、彼を守る「意識」の存在に気がつき……。

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エディプスの恋人
筒井 康隆
新潮社 1981-09

七瀬ふたたび 家族八景 パプリカ 笑うな 富豪刑事

by G-Tools , 2006/11/30

名作は古びない

驚きなのが、この作品が昭和 50 年代の作品であること。全く古さを感じない──なんてボロボロにすり切れた言葉ですが、筒井作品に相応しい言葉ですね。

淡々としながらも迫ってくるような文体や、「意識」の描写、そして作品のテーマや様々なエピソードからは、いくらでも「類似品」を作り出せそう(というか実際にたくさんあるだろう)。

ただ──後半の「種明かし」はあまり好きではなかったですね。あまりにも事細かに説明しているセリフが何ページも続いていて、ウーム、でした。ひょっとしたら全二作と通して読むと、また違うのかも知れませんが。

ひときわ輝いていた一文

斬新な表現が多い本作品の中でも、特に素晴らしかったのが次の一文。

七瀬は自分が蒼白になって行くのを感じた。しまった、と思った。恋してしまった。自分はこの子に恋した。

高校生と大人の恋、というのは昭和の時代ではなくともタブーなのですが、物語の後半を知ったあとに読み返すと、また違った印象になります。せ、切ねェー……。

さて、七瀬は「今」も「エディプスの恋人」なのでしょうか……。

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[これは SF でいいのかな>早川さん]

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