亜細亜ノ蛾 - Weblog

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December 15, 2006

『ロートレック荘事件』(筒井康隆・著)の「おとなり小説」とは

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ありがち? いやいや

まず、導入部で書かれている、20 年まえに起こった悲劇が印象的です。子供ふたりがふざけて遊んでいたところ、一人が重傷を負い、一生、下半身が成長しなくなってしまいます。そこで、けがを負わせた子が、一生面倒を見ると誓うのです。

その後、20 年経った夏の終わり、「ロートレック荘」と呼ばれる別荘に訪れます。

ありがちな古い洋館(隠し扉もあるよ)に、ありがちな人々(お金持ちとか)が集い、ありがちに殺人事件(しかも連続)が起こる!(どぎゃーん!) ──などという陳腐な小説を、筒井康隆氏が書くわけもなく。淡々と、しかしじわじわと迫ってくるような文体で読ませます。

そして、やはり予想外の結末が書かれていました。──ミステリィで、「予想外の結末」ほど「想定内」なことはないのですが。

photo
ロートレック荘事件 新潮文庫
筒井 康隆
新潮社 1995-01

富豪刑事 パプリカ 殺戮にいたる病 星降り山荘の殺人 虚人たち

by G-Tools , 2006/12/15

予想外の結末

もしもこの小説が「はてなダイアリー」に書かれていたなら、「おとなり日記(小説)」には、あの作品とかあの作品とか……作者名を書いただけでもネタバレになりそうな小説が並ぶことでしょう。それくらい、トリックや小説の構造は、ミステリィファンにとってなじみのあるモノです(いやでも、あの作品を知らない人は度肝を抜かれるよなぁ……ぶつぶつ)。

しかし、圧巻なのがラスト。ここでも、ありがちに謎解きが行われるのですが──ちょっと、他では見たことがないくらい「丁寧な答え合わせ」になっています。ここまで徹底されると笑えてくるというか、パロディ小説と見ることすらできそう。

つまり、予想外なのはトリックよりも謎解き部分という、ひねった構造になっています。

そして、最後のほうで息を呑みました。──うーん、やっぱり凄い。何とも悲しい物語ですね。

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