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『恐怖の兜』

Dain さんの書評に激しく興味を持ち、『恐怖の兜』を一気に読みました。

たいていの本は読み始めて数頁たつと、面白さが肌感覚で分かる。だがこいつは違った。読み始めると頭ン中で警報が鳴りだした→こいつはとんでもないぞ、と。でもって、ちょっと変わった構成のお話にのめりこみ→「なんだこれは!」とガクゼンとするラストに犯られた

わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 「恐怖の兜」

自分も「なんだこれは!」となりました。──これは、書評が難しい本ですね。

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恐怖の兜
ヴィクトル ペレーヴィン Victor Pelevin 中村 唯史
角川書店 2006-12
楽天市場: 恐怖の兜
ビーケーワン: 恐怖の兜ad

眠れ―作品集「青い火影」〈1〉 極太!!思想家列伝 虫の生活 大失敗 検証 戦争責任〈2〉

by G-Tools , 2007/03/27

書評が難しい

なぜ書評が難しいかというと、10 人が読んだら 8 人くらいは Dain さんのような書評になる、と思うからです(後の 2 人は壁投げ)。

どう読んでも「気がつくと 8 人の男女が部屋に──」とか、「どうやらミノタウロスが──」とか、「すべての場面がチャットで構成され──」といった「解説」になってしまいます。

そのなかから無理矢理に「感想」を書くとするならば!──

──「ロミオってキモいよね」とか、「イゾルデって、かなり xxx な女だよなー」というひと言が、真っ先に出てくるなぁ(ラストの方で、なんであんなにロミオが殺意を抱いているのかが判らない。生理的に嫌悪感を感じるキャラ……)。

ミノタウロスとテセウス

さて、この物語(なのか?)の中心に「ミノタウロスは存在するのか?そしてそれは何(誰)なのか?」と、「ミノタウロスを倒すべく、テセウスは登場するのか?そしてそれは誰なのか?」という「謎」があり、そしてそれはラストの「謎解き編」で解かれることになります。つまり、これは完全なるミステリィのスタイルを取った小説ですね(──と、森博嗣さんなら言うだろう)。

そういえば、森博嗣さんの著作で「『アクロイド殺人事件』の犯人を、何十年も勘違いしている知人」という話があって、かなり驚いたことを思い出しました。「xxx 以外、誰が犯人やねん!」と。

──ひょっとして、「──え?ミノタウロスってなんだったの?」とか、「テセウスって出てきた !?」という人もいるかも……。そういう人は、まずは他の本で免疫を付けてから、手を出した方がいいですね(うっかり、『ドグラ・マグラ』から手を出して、戻ってこれなくなったり)。

「チャット形式」の可能性

ぶっちゃけ、本書はチャット形式であるということを除くと、それほど新しいことは無いかも。

──が、その「チャット形式」で最後まで書いてある、ということ自体が、大変面白い。

日本だと、『恐怖の兜』の比較相手で真っ先に『電車男』が挙げられますが、アレは(不特定多数が参加する)掲示板だしなぁ……。似たようなものだと、テーブル・ロールプレイングのリプレイ集とか?(読んだこと無いけど)。

ここは是非、「人狼 BBS の書籍化」を実現して欲しいところ。

本当に面白い人狼のリプレイは、何度も読み返す価値がありますからね。創作の部分もうまく絡め、うまく書籍化できたら面白そう。

「チャット形式」がうまく噛み合えば面白い作品になる、というのが判っただけで、本書を読んだのは収穫でした。

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