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『殺人小説家』

人気のハーフボイルド・ミステリィ(© 森 博嗣)の 8 作目です。デイヴィッド・ハンドラーは『100人の森博嗣』で「この一見ソフトなハーフボイルドこそ、現代のハードボイルドの頂点だと思われる」と書いてあったので、興味を持って読みました。

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殺人小説家
デイヴィッド ハンドラー David Handler 北沢 あかね
講談社 2005-06
楽天ブックス: 殺人小説家
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by G-Tools , 2007/06/26

主人公・ホーギー

主人公の「キザ男」、ホーギーは小説家。自著の二作目が失敗し、それ以降はゴーストライタをしていました。本作でようやく、三冊目の小説を書き上げました。しかし──。

(……)ついに三作目の小説を書き上げたのだ。(……)『ニューヨーク・タイムズ』の書評で"八〇年代を拓く新しい文学の旗手"と呼ばれてから十七年、二冊目の小説が、"リチャード・ニクソンのチェッカーズにおける文明演説以来、これほど当惑させられた自虐の表出はない"と酷評されてから六年、ついに書き上げた。

『殺人小説家』 p.12

──という、某作家とは比べものにならない執筆ペースと評価を受けています。

あらすじ

ある冬、ホーギーの元に「アンサーマン」を名乗る人物から手紙が届きます。中身は、殺人を示唆する内容の小説です。そして、実際にその小説の被害者と同じ名前・同じ状況で殺された女性が発見されます。

その後も被害者が増え、連続殺人事件になります。被害者達に繋がりがない、いわゆる「ミッシング・リンク」の事件。殺人予告とミッシング・リンクという、不謹慎ながらミステリィ・ファンお待ちかねの展開です。

今回、ホーギーは完全に巻き込まれ役で、相棒である愛犬ルルと共に犯罪抑止に動くのですが、そのために級友たちの闇を暴くことになります。

最後にはいくつかの別れがあり、悲しい一作でした。

洒落たセリフ

ホーギーシリーズは、愛犬ルルの愛くるしさと、洒落たセリフが魅力です。

ホーギーの元妻、メリリーのファンという警部が出てきます。

「ファンだよ。私は大ファンだ」

「おや、それはどうも」

「カミさんのだ。メリリー・ナッシュだ」

「彼女なら元妻だ」

薄い唇にかすかな笑みが浮かんだ。「失敬。私の間違いだった」

「いいや、あれは僕の間違いだったと思う」

『殺人小説家』 p.103

こんな感じで、ホーギーのセリフの半分はジョークです。特にこの警部は嫌いらしく、挑発してばかり。ケンカにならないか、ハラハラする場面が多いです。

作家は傷つきやすい

いいセリフが多い中で、自分のお気に入りはこちら。級友に自著を批判される場面です。

「(……)二冊目は失敗作だ。いいシーンがないわけじゃないが」

礼儀正しくうなずいた。人は平気で、不用意に、作家の仕事をその顔に叩きつけてくる。かかりつけの医者や配管工に対してはやらないのに、なぜか僕たち作家に対しては平気でやる。僕たちがどんなに傷つきやすいか知らないからだろうか。それとも知っているからだろうか。

『殺人小説家』 p.247

人は作家の作品に対して平気で文句を言う、というのはドキッとしました。どんな作品でも、世に出るまでには産みの苦しみがあったわけで、簡単にこき下ろすのは避けたいですね。

──正直、自分は半ば過ぎで事件の真相がボンヤリとわかりましたが、小説の面白さは変わらないのでキニシナイ!

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