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バクマン。 #2 「馬鹿と利口」 頭がいいサイコーとシュウジン

『バクマン。』 2 ページ 「馬鹿と利口」 (週刊少年ジャンプ 2008 年 39 号)

原作・大場つぐみ、作画・小畑健の『DEATH NOTE』の 2 人が贈る本作、『バクマン。』も連載 2 回目です。

前回の感想: バクマン。 NO.1「夢と現実」 大場つぐみと小畑健の新連載! : 亜細亜ノ蛾

扉絵がカラーのイラストで、ヒロイン・亜豆美保(あずき みほ)の抑えた色気が美しい! 背景がマンガの道具というコントラストも面白く、亜豆の肩の位置にある羽ぼうきが「天使の羽」にも見える──カンペキじゃないっスかぁ! という 1 枚です。

内容も、もちろん面白かった!

まだ物語が大きく動かす前の段階ですが、これからの展開を想像するとワクワクしてきます。

以下、あんまりネタバレなしの感想を書きます。未見の人が読んでも、ぼんやりと面白さが伝わる程度、に書いたつもり。

マンガの講座──は?

さて、前回のラストで『マンガの王者 Vol.1 初級編』を(これ見よがしに)買ってきた、主人公の真城最高(ましろ もりたか)。これを見て、

「これから、『マンガの描き方』講座が始まるんだ」

と思った人、いませんでした? 結果は本編をご覧いただくとして──(バレバレ)。

その昔、『──マサルさん』の第 1 話を読んだ自分は、「本格的な格闘マンガが始った!」と 3 週目くらいまで信じていました。だって、こんなセリフをマサルが語るんですよ。

「どんなに強いヤツでも……こっちが油断させてしまえば 簡単に倒せるってことさ……!」

「普通の格闘技における『フェイント』なんかの技術を……『技』として極めた格闘技……それがセクシーコマンドーなんだ!」

すごいよ!!マサルさん―セクシーコマンドー外伝 (1) (ジャンプ・コミックス)』 p.38-39

ここだけ見たら、立派な格闘論じゃないですか! まさか、100% 純粋なギャグマンガとは……。

ということで、『バクマン。』を「マンガ講座マンガ」と思っていると、(良い意味で)期待を裏切られる、かも。まだ、どんなマンガになっていくのか読めませんからね……。

『デスノート』も、「キラか L、どちらか先に見つけ出したほうが勝ち」「どちらかが死んだら終わり」という前提で、だまされたから──、今回もだましてほしいです。マンガなんて 1 ページも描かない、とか。亜豆が高木とくっつくとか(えー)。

ヘッドホン

真城はイヤホン、高木秋人(たかぎ あきと)はヘッドホンで登下校の際に音楽を聴いているようです。

2 人が使っている機種がなにか、すこし気になりました。どなたか詳しい方、解明をお願いします!

この作品が大ヒットしたら、「サイコー・モデル」「シュウジン・タイプ」として商品が出るかもしれませんね。

「純」なやつら

今回、一番良かったのが、亜豆に対する真城の純粋な思いです。それを理解してくれる(にわか)親友、高木がいるのも素晴らしい。

「好きな人が同じ教室にいる」、というだけで「胸が締めつけられる」なんて、もう 2 度と味わえない──。そういう人も多いのでは。真城の姿を見て、「あのころ」を思い出したりして──。

とか書きながら、自分は、じつは 1 度もそのような経験がありません。恋人は何人かいたけれど、物心ついたころから「不純な思い」でしか女性を見られなかったなぁ……(サイコーならぬ、サイテー)。だから、真城がすごくうらやましい。

真城の思いを聞いた、高木の反応も面白い。初めは茶化しながらも、「サイコー達みたいなの 好きだ」と素直に話すのが良い。

ここの場面、本当に作者は「マンガがうまい」と感じます。

普通、「なぜ真城と亜豆の関係が好ましいのか」を高木が語り、「──だから好きだ」と結びがち。それだと、「中学生の生の会話」にはならないわけです。説明セリフみたいで。それに、高木って天才肌の語り方ですよね。「まず結論、そして説明」という感じ。

「授業を抜けて屋上でツレとおしゃべり」という、ありがちな場面なのに、なんでこんなに面白く仕上げられるんだ……!

「頭いい」3 人

今回は、「真城も高木も、そして亜豆も『頭がいい』」という話が、ひとつの見どころでした。

クラスで、いや学年で 1 番の成績を取り、「テストは完璧 満点間違いなし」な高木。そんな彼が、「上に入るかもしれない 2 人」として真城と亜豆の名前を挙げました。

そこからの高木の語りが、神!

頭がいい人が同じタイプを見抜く手段、そして「品」について──。それらを、くだけた語り口で完全に書ききっています。

大場つぐみさんは、天才の描写が本当に得意ですね。夜神月“L”、それに天才マン──、おっと、これは作者が違う方、ガモウひろしさんでしたか(わざとらしい)。

とっても! ラッキーマンの登場人物 – Wikipedia

それはともかく、「女で 1 番成績がいい」のに真城からすると「馬鹿だとさえ思う」、岩瀬さん。今後の彼女の活躍に期待です(高田清美の二の舞)。

「我が家のルール」

後半は、まさに急展開です。

真城家でのルールは、何かあれば母親に言う。──しかし、育ち盛りの我が子が試験勉強をしているのに、インスタントラーメンを出すような人だしなぁ……(前回を参照のこと)。しかも、それを「人にラーメン作らせて」って……。お湯を入れただけでは。

だいたい、こどもの成長を止めるのは親ですよね。案の定、真城のマンガ家になりたいという夢も、母親は「駄目」と即答。ひょっとして、大場さんの親もこうだったのかな──、と思いました。

さて、もちろんこれで終わるわけはないのですが──。ここからはぜひ、ジャンプ本誌かコミックでお読みください。

はたして、『マンガの王者』は役に立ったのか?(涙)

まとめ

このマンガ、まだジャンルが決まりませんね。強いて言えば、「恋愛」か「青春」になるのかな?

『バクマン。』の面白さが引力のように働いたのか、今週のジャンプは面白いマンガが多かった。たまにこういう週があって、「マンガって良いなぁ」と(30 過ぎの男が独りで)しみじみ思いました。まぁ、昔は毎週思えたのですが……。

真城と高木は夢をつかめるのか、亜豆は声優になるのか、そして「おじさん」・川口たろうが残したものとは──。今後も目が離せません!

asiamoth: