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『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 5 巻「スイッチ・オフ」

5 巻もスゴいぞ! ──唐突な始まり方で申し訳ないが、見どころが満載だ。いつものように部室でダラダラする話や、意外な人物同士がデートをする話・底抜けに楽しい話・ちょっといい話など、盛りだくさんの内容になっている。

唯一の不満は、ロマンの出番が番外編だけ、と少ないところか。しかし、これ以上あのお方が出てきたら、とても収拾がつかない 1 冊になっただろう。

この巻で 40 話を突破した。キャラクタが完全に一人歩きして、監督である作者の言うことも聞かなくなるころだ。そろそろ、新キャラを登場させるか、既存のキャラを掘り下げるかしたいところ。そこで、この作者は両方とも 1 冊で描いてしまった。さすがだ。

表紙がポップなアニメ調なので、「もしやアニメ化── !?」と思う人がいるかもしれない。いないかもしれない。

この記事では、第 36 話から第 40 話までの感想を書いた。長文になったが、以前に比べれば抑えたほうだ。以前に書いたとおり、「シンプル・シャープ・スパイシィ」な記事を心がけたい(森博嗣さんのマネ: 浮遊工作室 (ミステリィ制作部))。

第 36 話「過ちのエンジェル」

なんとも面倒くさい新キャラが登場した。ダンテこと伊達(だて)は、絶対にロマンとは組ませてはいけない(話が 1mm も進まない)危険な人物だ。と言っても、ボッスン以外はほぼ全員、面倒な人ばかり出るマンガだが──。

彼ほど極端ではないけど、自分も最低限のことしか話したくない。単語だけで会話ができれば、最高だ。なかなか現実には難しいが……。

ところで、『少年アシベ』に出てきた阿南スガオ君を覚えているだろうか? アシベの親友の子だ。少年アシベの登場人物 - Wikipedia によると無口で無表情と書いてあるが、コミックではセリフが完全になかったように思う。『アシベ』には、同じように話さない人が何人も出てくる。不思議なことに、それに気が付かない人も多い。「スガオ君はしゃべらない」と言うと、驚かれるのだ。

スガオ君 (スガオクン) - 関心空間

「マンガのキャラだから」と無関心なだけだろうか。ひょっとすると、無口な人がいることに気付かない人がいるのではないか、と思った。

ダンテの性格だと、クラちゃんやボッスンみたいに面倒見の良い人が近くにいないと、生きづらいだろう。最近は、ミュージシャンでも口達者じゃないと人気が出ないぞ。ダンテの先行きが不安だ……。こういうタイプは、好きになった女性の影響でコロッと変わりそうだけど。

人一倍短気なヒメコとダンテとの相性は、最悪だ。ダンテに切れたヒメコは、いままでで最高の恐い顔だった。口から何か出そうな勢い。このマンガが『To Loveる』や『美味しんぼ』だったら、「相性が最悪の状態からスタート、最後に結ばれる」となりそうだ。しかし、そうならなくて安心した。

第 37 話「リトルプリンセスは気分上々」

いままでボッスンが(地味に)活躍する場面を積み重ねてきたからこそ、成り立つ話だ。そうでなかったら、ただ単なる中途半端なドタバタで終わっただろう。

「記憶はそのままで体だけは 3 歳児になる薬」を、ヒメコとモモカが飲んでしまう。非常に都合の良い、『To Loveる』に出てきそうな状況だ。この回は、あからさまなテコ入れ──にしてもいいくらいなのに、エロの方面にはあまり傾けていない。そこが作者らしい。

この話で注目なのは、ボッスンの性格の良さだ。世話焼きな彼がいなかったら、話が進まないし、まとまらない。よく考えると、こういうキャラはマンガには少ない。「性格: 面倒見がいい」なキャラでも、戦いのほうが大事だったりするし。

それにしても、仮にも同級生に「オッパイ丸出しだぞおめーら! いいのかコレ !!」と叫べるボッスンはすごい。そのあとでヒメコに抱きつかれたりして、ボッスンじゃなかったら、どうなっていたことか(くれぐれも、『小田倉・ダンス』などという R-18 な同人誌を描いて、オレに送りつけたりしないように! 絶対だぞ!)。

この話のオチは簡単に読める。しかし、とくにモモカの「成長」っぷりはビックリ。そう来たか──。

扉絵を一目見て、ゲーセンで見かけた「オシャレ魔女 ラブ and ベリー」のようだ、と思った。しかし、作者の「セルフライナーノーツ」やネットでの感想には、そのようなことは書かれていない。気のせいだろうか。

第 38 話「改じてくれよう桃太郎」

昔話の改変ネタは、よく見る。その中でも、この話は最高だ。何回読んでも笑える。

萌えキャラの「おばあにゃん」は、スピンオフが作れそうなくらい強烈だ。こっち方面の絵柄もうまいのが、この作者の強みだ。作中であまり活かされていないが……。じつは、同人誌の大手サークルを主催──してはいないのだろうか。別名義でマンガを描いていたり。

篠原健太 - Wikipedia

裏話によると、紙芝居にしたのは、楽に描けると思ったからだそうだ。とんでもない。お笑いでいう「フリップネタ」で、これだけの笑いを取るためには、相当なネタの練り直しが必要だっただろう。それとも、サラッと描いてこの完成度なのか──。「母親面しないで」から次のページまでの流れなんて、神が宿っているとしか思えない。

出てくるキャラクタのすべてが素晴らしく、この回だけで終わるのがもったいない。もう一度くらい、どこかで出てこないだろうか──。

第 39 話「オタクトカルト」

自分も一押しの結城澪呼(ゆうき れいこ)さん。彼女の過去が垣間見られる、貴重な回。最後のほうには、もっと貴重な姿が──。

スイッチと澪呼は、どう見てもお似合いに思える。趣味の方向性が違うだけで、とても似ている。自分を大きく変えた過去がある、というのも共通だ。

澪呼が語る過去は、じつに意外だった。あまりにも「普通」なのだ。「人並みの女性らしい過去が澪呼にもある」と言うと、いい話に聞こえる。しかし、実際は良い経験にはならなかったようだ。そう、普通の過去は──彼女には似つかわしくないのだ。

普通一般であることは、人によっては必ずしも最良ではない。そのことを理解できる人が周りにいると、幸せだ。澪呼はスイッチがそばにいて、心強かっただろう。お互い、素直に顔に出すことはないのだが──。

「化粧でこんなに変わらないよ」と思っている男性諸君もいるだろう。自分も昔はそう思った。スイッチの領域まで行かなくてもいいけど、少しは女性のメイクについて関心を持ったほうが良いと思う。逆に、メイクを落としたあとの顔を見て「──(絶句)」とならないように……。

冒頭の、ボッスンとヒメコが照れている場面も楽しい。部室だと何でもないのに、街中でばったり知人に会うと、どう反応して良いか分からない。しかし──長じて社会に出ると、自然に表情を作ってしまうものだ。学生のころが懐かしい。

第 40 話「ランニングホームラン」

また面倒なキャラを……。初対面でヒメコが「吉彦君しばいても いいですか?」と言いたくなるのも分かる。「生意気そうなガキ」を絵にしたらこうなる、という見本のようだ。

しかし、最後にホロッと感動する。本当に、話の持って行き方が上手だ。

自分の子どものころも、外であまり遊ばなかった。吉彦と同じで「ボクは一人で居る方がよっぽど楽なんです」。それはいまでも変わらない。

しかし──もし、ボッスンのようなお兄さんに出会っていたら……。少しは変われただろうか。いま思うと、たまにスポーツをしたときは、楽しかった。本当は、もっと大勢で遊びたかったのかもしれない。同じことを思った人も、きっといるだろう。

野球の場面では、ヒメコがキャッチャをしている。このときのヒメコは、制服のスカート姿だ。想像してみよう。女子がスカートでキャッチャを──。実際にヒメコがどんな格好だったかは、コミックを見て欲しい。なるほど、と納得した。このポーズって、女子の定番なんだろうか?

まとめ

またもや重量オーバの感想になった。なるべくコンパクトにしたつもりだが、もう少し削るべきだろうか。『BLEACH 』の「自己紹介」や『ONE PIECE』の「状況説明」のような長さだ。無駄は省かねば(無駄って個性の裏返しだよね)。

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