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『バクマン。』 9 ページ 「条件と上京」 (週刊少年ジャンプ 2008 年 46 号)

「凡人と天才の差よりも、天才と天才の差の方が大きい」という話をよく聞きます、と以前に書いた。

『四季 春』 森博嗣・著 : 亜細亜ノ蛾

これは『海馬―脳は疲れない (新潮文庫)』の読者以外には分かりにくいだろう。S級妖怪にもピンからキリまである、のほうがピンとくるかもしれない。

幽☆遊☆白書 - Wikipedia

才能あふれるサイコーとシュージンだが、上には上がいる。いまの二人では敵わない「天才高校生」──新妻エイジがついに登場する。エイジには驚くことがいくつもあった。

サイコー・シュージン・亜豆・エイジ──コマは揃った。だが、どんな方向にこの作品が向かっていくのか、まだ見えてこない。「──いや、分かるでしょ」という人は、油断していることを自覚した方が良いだろう。何しろあの作者が作っている話なのだ──。

今回で、ようやく今週号の感想が書き終わった。前回までと併せて読んで欲しい。

亜豆にメールする──?

亜豆がメールアドレスを教えた理由は何だったのか──サイコーは悩む。シュージンが言うとおり、メールで亜豆に聞けばいい。サイコーも初めはそう考えていたし、自分もそう思う。

でも、サイコーは亜豆へ連絡しなかった。

これは、サイコーが「モテ男」路線に進むきっかけを描いた、貴重な場面だ。この状況で女の子に電話しない──などという選択肢は、通常はあり得ない。女の子からアドレスを聞いても 2-3 日はメールをしない──という「じらす」作戦だ。サイコーは、超モテのナンパ男への階段を上り始めた。そこで読者は、『バクマン。』というタイトルが『あげまん』と同じ発想であることに気が付くのだ。──はじけるように激しい恋に身を焼く女・「ばくまん」との出会いが、サイコーを変えていく……。

あげまん - Wikipedia

──というのは、丸ごとウソだ(本気にした人はいないと思うが)。

それにしても、いつのまにか携帯を持ったまま亜豆の家の前にいたのに、亜豆にメールをしなかったサイコーはすごい。自分ならきっと、耐えられない(それ以前にメールアドレスを教えてくれなかった)。

亜豆は、サイコーに連絡して欲しかったのだろうか。普通に考えれば、メールをして欲しくなければアドレスを教えない。パジャマ姿で携帯電話の前にいる亜豆の描写からも、サイコーからのメールを待っているようにしか見えない。

しかし、それでも、サイコーは亜豆にメールしなくて正解だったと思う。夢が叶うまでは「もう会わない」という亜豆からの約束を、台無しにしてはならない。──まぁ、『DEATH NOTE』のルール並の厳密さで、亜豆が言う「会わない」を定義して欲しいところだが……。男女が全員「理系の人々」だったら、サバサバした分かりやすい恋愛ができる──けど、味気ないかも。

理系の人々 - Yahoo!ブログ - エンジニア★流星群 @Tech総研

サイコーの決意

とにかくもう亜豆の涙は見たくない そう思ったサイコーは、一刻も早く手塚賞を取る決心を固める。

美味しんぼ塾ストーリーブログを読むとよく分かるとおり、『美味しんぼ』では何かにつけて「料理ですべて解決」する。それを笑う者も多いだろう。しかし──話し合いや金銭で解決を目指す『HUNTER×HUNTER』や、ルフィがおぼれ死んで終わる『ONE PIECE』・文部科学省の推薦図書になった『To Loveる』・「なん……だと…… !?」のない『BLEACH』を、誰が読みたいか? それこそ笑止! そんな無粋なことを言う人は、こうなご(なぜか変換できない)でも焼いて、おいしくいただいちゃえば良いのだ。

「好きな女の子の笑顔が見たいから──マンガ描きをがんばる!」というサイコーの決心も、笑う人がいるかもしれない。だが、この作品では大まじめにマンガ作りを描いている。それに、亜豆の本当の笑顔をもう一度見たいために努力するサイコーを、少なくとも自分は笑えない。

落選で良かった

サイコーが手塚賞を取りたい気持ちは分かるが、自分勝手な意見だ。しかし、シュージンはそれを受け入れる。

前回までは手応えを感じていた初めての作品・「ふたつの地球」だが、シュージンの中では不満の残る作品になっている。それでも、服部から月例賞 最終候補にも残らなかったと聞いたときは、サイコーもシュージンもショックを受けた。

この場面、シュージンの対応が見事だった。機転が利いている。

直前のサイコーのわがままを受けて、シュージンは手塚賞を取る決意を服部に伝える。このとき、月例賞の最終候補に残った程度では彼女に見せられません! と言うシュージンが面白い。これもサイコーの気持ちを代弁しているのだろう。シュージンも、すでに次の作品を書くスイッチが入っている。

しかし、服部は二人の作品をトレジャー新人賞に出したのだろうか? 少しだけ疑問が残った。いまとなっては、どちらでも良いだろうが……。

新妻エイジ上京

今回の最大の見せ場は、最後の場面だ。驚いたことが二つある。「新妻エイジ」が本名だったことと、彼の登場シーンだ。

大場つぐみ先生は、本当にとんでもない話を書く。エイジは、編集長に対してもし僕がジャンプで一番人気の作家になったら 僕が嫌いなマンガをひとつ終わらせる権限をくださいと要求する。これをジャンプ誌上で描くのか!

まだ出番が数コマなのでキャラがつかめないが、エイジは簡単に言うと「天才型」に見える。サイコーとシュージンも天才タイプだが、まだ親しみを感じる。それに対してエイジは、マンガのこと以外はどうでもいい──岸辺露伴のような人物だろうか。

岸辺露伴 - Wikipedia

どことなく演技のような言動と特異な仕草から、エイジは『DEATH NOTE』の L(とくに初登場の回)を思わせる。編集長──大人に対して試すような口ぶりなのも L に似ている。L とハッキリ違うのは、完全に美形キャラ(ビジュアル系?)として描いているところだろうか。

L (DEATH NOTE) - Wikipedia

エイジが上京すれば、サイコーたちに会うこともあるだろう。ひょっとしたら、亜豆とも──? どんな展開になるのか、いまから楽しみだ。

まとめ

大場つぐみ・小畑健コンビの作品だけに、「サイコー・シュージンの二人がエイジに挑む」という話になる──とは断言できない。現時点で、どう考えてもその方向しかない気がするが……。

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