• 更新:
  • 投稿:
  • カテゴリィ:

HUNTER×HUNTER No.285『分身』 (週刊少年ジャンプ 2008 年 49 号)

激しい戦いのさなか、半ば忘れていた者が登場する。今のところ本筋に関わってきそうにないが、油断はできない。油断していなくても展開が読めない自分は、なおさらだ。

作品の流れにメリハリを付けるためか、今回はアッサリとした内容だった。毎回のように激動の展開だと読者も疲れるし、見どころも分かりにくい。──とはいえ、やや不満が残るのも正直なところだ。おそらく、次回で急展開があるのでは、と予想する。

女王目指して

死闘が繰り広げられている宮殿の中で、戦いに加わらぬ者もいた。レオル団兵隊長のヒナと同雑務兵のシドレは、師団長たちの死を悟り、人知れず宮殿からの脱出を試みる。

まるで存在を忘れていたヒナは、殺伐とした戦場にいると余計にかわいらしさが目立つ。ぜひとも、『ハンター』界の由美かおる的な存在としてヒナには活躍して欲しい。本当であれば気味が悪い容姿のシドレも、なんだかマスコットキャラのようだ。こちらは「うっかり」キャラとしてがんばって欲しい。

そうやって外見だけは美しいヒナたちも、キメラアントだけに内面は人間とは異なるのだろう。女王を目指すヒナは、(マンガの)妲己のような存在になりそうだ。支持する男性陣は多いと思うが、その末路は……。まぁ、それが本望という人も多そうだが。

実際のキメラアントの女王は「産めよ増やせよ」を極端に発達させた存在だ。たとえば、(サソリ型の)ザザンなどは本来の女王に向いた能力者だった。それと比べると、ヒナが持つ除念は女王とは関係がないように思える。スピードも大食いも強そうに見えない彼女は、いったいどんな女王になるつもりだろうか。

このままじゃ死んでしまう

旅立つ決意を固めたヒナの前に、城壁の下敷きになっているビゼフ長官の姿があった。構わず通り抜けようとするヒナに対して、ビゼフは取引を持ちかける。

さっそくヒナの冷酷な一面が見られた。まぁ──われわれ人類も、自分の身が危ないときに、「食料」の危機を救うヒマはない。火災時に飼い猫や我が子は救おうとするが、逃げ遅れた魚や牛を助ける人はいないだろう(室内に牛?)。この場面では、首を傾げる(かしげる)シドレがかわいい。でも、たぶん「……肉」と考えているんだろうな……。

ビゼフがヒナに支払う褒美(ほうび)は、あとあとビゼフの首を絞めることになるだろう。お宝を手に入れたヒナが、ビゼフを生かしておくとは思えない。

そもそも、ウェルフィンが許さない気がする。ウェルフィンは今回のビゼフの言動を、裏切り行為と取るのではないか。勝手に裏で話を進めようとした、ウェルフィンの自分勝手なだけだが……。

総帥や王・国の後ろ盾を失ったビゼフに未来はない。元からなかったのだろうが、今回の取引は致命的だと思う。どう転んでも悪い結果しか思い浮かばない。意外と小心者の小悪党ほど生き残る(例: モタリケ)世界なので、ビゼフの今後の活躍に期待だ(望みは薄いが)。

分身

モラウの「紫煙拳(ディープパープル)」によって作られたナックルの分身が、モントゥトゥユピーに襲いかかる。ユピーはすぐに作戦の意図を読み、本物のナックルを迎え撃つ気だ。

以前、ヒソカに化けたイルミを見たときには、違和感を覚えた。初めはイルミの変身であることを読者に明かさず、あとで種明かしをした。それでも、分かる人には一目でニセモノであることが見抜けた。

今回のナックルの分身も、感触が違う以前に見た目で分かる。──髪がモッサリ過ぎるのだ(それだけではないが)。出会ってから間もないユピーには分からなくても、読者にはハッキリ分かる。描き慣れたキャラを、こうして微妙に似せて描くのは難しいだろう。

よく見ると、まるでジョジョ立ちしているようなナックルの分身が多い。──モラウはジョジョのファンなのだろうか? それとも、師匠から見たナックルのイメージが、ナルシストなのか。

わざとスキを

次々と分身が消えていく──。本物が近寄れないと読んだユピーは、あるワナを仕掛ける。そのとき、背後に動く影があった。

非常によくあるワナだが、熟練した者同士の戦いでは有効だ。これに引っかからない者は少ないだろう。──以前にも書いたが、『すごいよ!!マサルさん―セクシーコマンドー外伝 (1)』の 1 話で、自らスキを作るという戦術を見て、本格的な格闘マンガと勘違いした。考え方だけを見れば、格闘技の奥義なのだが……。まさか、「ああ」なるとは。変な編集者に当たって、本当に『ドラゴンボール』的なバトルマンガの展開にならなくて良かった。

それにしても、このマンガが、そんなアリガチな戦法で話が進むものだろうか──。そう考えた読者は鋭い。自分は見抜けずに、二回ビックリした。チクショー、やられた!(満面の笑みで)

まとめ

経過した時間的にもダメージから見ても、そろそろユピーがトびそうだ。念が使えなくても、身体能力だけで強そうだが……。

ところで、巻末のコメントで冨樫先生は人間ドックに行くことを書いている。──ここで、誰でも思うこと。アンタ自身が「人間ドッ」やんか! ──え、思わない? そうかなぁ……。

[2] このページの一番上へ戻る