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HUNTER×HUNTER No.287『現状』 (週刊少年ジャンプ 2008 年 51 号)

護衛軍の三人は、三者三様に「王を護る」ために戦っている。だが、行動の思考もバラバラだ。それが、最高に面白い。

ボスがいて、部下がいる。部下たちは敵からボスを守ろうとする──誰でも書けそうなシナリオだ。だいたい、ボスとか王・暴君・魔王──そう聞いただけで、人柄から容姿まで想像ができてしまう。あの傑作である『DEATH NOTE』ですら、「新世界の神」を名乗る人物は、よくあるイメージ通りだ。

しかし、『H×H』は ありきたりのボスキャラを出さなかった。直属の兵隊も同様にユニークである。

いや──王とネフェルピトー・シャウアプフ・モントゥトゥユピーは、当初は典型的なモンスタだった。人間ではないため、読者からは想像を絶する言動をしているのも当然──そういった存在だったのだ。

それがいつの間にか、彼らはヒトに近くなっている。これは作者の想定内だろうか。おそらく、描いているうちに進路を変更したのではないか。そうでなければ、とっくに「ゴンたちはワルモノを退治しました。めでたしめでたし」で終わっているだろう。

そんなアリガチなマンガではなくて、この貴重な作品に出会えて良かった。

動くな

ゴンは「切れて」いても、完全に自分を見失っていなかった。冷静に怒る人間は、恐い。まぁ、この作者の場合はどう描いてもキャラは知的になり、「本当にバカな行動」は取らないのだが……。

この三者がにらみ合う場面は、キワドい。ゴンは「円」を使えないのだ。敵を察知する特殊な念能力も持っていない。それゆえ、背後のプフの動きは、すべて五感のみで感じ取っている。しかも、後ろにいるのがプフであることは、ピトーのセリフだけで判断しているのだ。

もし、ピトーがまだ策略を巡らす余裕があれば、プフを偽名で呼んだことだろう。

ゴンは、直接プフを見ていない。ノヴやイカルゴ・メレオロンは護衛軍の情報を討伐隊に口頭で伝えただろうが、映像はなかったはず。ゴンが おおよその服装と念能力だけしか知らないのであれば、とっさにピトーとプフがウソをついても、バレなかっただろう。そうすれば、ゴンの命は危なかった。

それでも、少しでも危険な空気を感じたら、ゴンは迷いなく前回のプフが言う行動に出るだろう。──この作者のことだから、「ジャンプ的・少年マンガ的に不適切」な展開だろうと描きそうだ……。

修羅場

プフがピトーへ策略を伝えた方法は、読唇術だろうか。読唇術は、なぜかバトルマンガの達人たちが多く習得している。本作品では意外と使える者は少ない(あるいは、その場面が少ないだけかも)。ハンター試験でクラピカが唇を読んだくらいだろうか。

そんなわけで、プフがピトーへ強要した読唇術は、まったく伝わってなかったりして。「──グアバ? オレだけ? いったい、プフは何を言っているんだ……?」

さて、プフが言う「私」は何を指すのか、どのような「状態」なのか──。プフがだませるか、ゴンが見抜くか──。

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