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HUNTER×HUNTER No.288『賞賛』 (週刊少年ジャンプ 2008 年 52 号)

自分は何のために生きているのか。──そう考えたことがあるだろうか。ない人は、本当に自分が「生きて」いるのか、疑ったほうが良い。

しかし、考えすぎるのも危険である。この思考は簡単に飛躍して「人間は生きる価値があるのか」と形を変える。いろいろな考えがあるだろう。しかし、この二つの問題は別である。同じように考えると結論が出ないか、間違った方向に進むだろう。

そんなことをジャンプ片手に考えた。

重くて深いテーマだが、今回の話は すんなりと読みやすいのが素晴らしい。対象読者(?)の中高生たちにも、良い刺激になったのではないか。刺激になりすぎて、トラックに乗って秋葉原に向かうようなバカにはなって欲しくないが……。

ファインプレー

ゴンに気付かれないように注意して、ピトーが王の行方をシャウへ伝える。どうやってこの難問を切り抜けるか、見ものだった。

結果は、あまりにも単純な「手」である。初めは何が起こったのか分からなかった。しかし、よく考えるとウマい。読者はシャウの念能力を見ているが、ゴンは知らない。だからこそ、ピトーの最小限の動きでシャウが行動に出られたのだ。

──と納得しかけたが、疑問はある。シャウの能力に今回のような使い方ができることを、ピトーはいつ知ったのか。それをピトーが把握していなければ、ファインプレーは成り立たないのだ。

「見て見てピトー、ボク、こんなこともできるんだよ wwwww」「やるじゃん www」

という会話があった──とは思えない。討伐隊が突入するまでにシャウが見せた「能力」は、鱗粉(りんぷん)くらいではないか。護衛隊の間で、わざわざ「念能力の見せ合い」をしたとは考えにくいのだが……。

描かれていない部分は想像するしかない。何らかのきっかけでシャウの念能力をピトーが知った、としよう。それでも、今の状態でシャウが王の元に向かって──どうなるのだろうか。

まぁ、それを考えることは、護衛隊の存在理由を問うのと同じか。ただし、シャウが王へ抱く気持ちは、ピトーやユピーとは かなり異なるのだが。

狂気の沙汰

王の言うことに納得してしまった。同調者も多いのではないか。

同じような事を考えて実践し──ようとして、単なる大量殺人に終わった例は多い。戦争の大義名分も、突き詰めれば王が言うことに近いだろう。しかし、ヒトを超える(かもしれない)王が行なうのであれば、ヒトよりは良い結果を得られる気がするのだ。

ところでこれは、「トロッコ問題」だと気が付いた。

トロッコが線路に沿って走っている最中、制御が利かなくなった。このままでは線路の上に立っている5人がトロッコに轢き殺されてしまう。そこでトロッコを別路線に引き込んで5人を助けたいが、この場合別路線に立っている別の1人がトロッコに轢き殺されてしまう。トロッコを別路線に引き込むべきであろうか?

トロッコ問題 - Wikipedia

この問題で面白い(不謹慎)ことを思いついた。上の前提で結論を出したあとに、「このままでは 1 人、引き込めば 5 人」だったら答えが変わるだろう。おそらく、後者の場合は、トロッコをそのまま進めるのも仕方がない、という人が多いだろう。つまり、自分の意志と行動で結果を変えることに「手を汚した」と感じる──それがイヤなのだ。

ここまで考えた上で、自分の答えは「どちらの前提でもトロッコは そのままにする」だ。ただし、「5 人の中に身内の人間がいたら」とか「1 人のほうは極悪人」とか、別の条件が絡まない限り、である。

王が成し遂げようとしていることは、トロッコ問題でたとえると「どちらを生かすべきか(王が)吟味して決定する」となるだろう。繰り返すが、文字通りに進めば賛同者も多そうな気がする。それに──事実上、いまの世界も そうなっているような……。ただし、王が言う生かすべき者ではなく、「金を持っている者」が守られている。

結論は変わらない

王に対してネテロの答えはシンプルだった。

ここで気になったのは──これは、ハンター協会会長としての結論なのか、ネテロ個人の考えなのか。もちろん、この二つは分離できない。しかし、もしネテロが「ただの強いじいちゃん」だったら──と考えてしまうのだ。

ただ、それでもやはりネテロの行動に変化はなかった、と思う。ゴンやキルアたちも、同じだろう。そう思いたい。

すげェな

レオルといいユピーといい、モラウが命を賭けて戦う相手は、彼と気が合う人物が多い。作中では描かれていない過去にも、そういったことが何度もあったのだろう。それだけに、やりきれない思いも あったのでは。それがハンターの仕事、か……。

同じことをユピーも思っていたのは意外だった。戦いを通して戦闘能力が向上しただけではなく、精神面でも成長したのだろうか。それは、キメラアントとして良いことなのかどうかは、分からないが……。

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