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『バクマン。』 17 ページ 「バトルと模写」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 02 号)

日付が変わって月曜日──ジャンプの発売日だが、ようやく先週号の感想が書けた。昔から、尻に火がつくのを放置して髪に燃え移ったあたりで「──そろそろやるか」と立ち上がる性分である。

「17 ページ」のテーマは、「双方の明暗」だろうか。サイコーとシュージン・服部と雄二郎、それぞれの性格・生き方の違いが明暗を分けた。

「亜城木夢叶」(サイコー・シュージン)とエイジとの差は、まだまだ大きい。しかし、エイジ側に思わぬ弱点が見つかった。天才のお守りは大変である。

──そういえば、実在のジャンプにも編集部の思い通りに連載してくれない作家さんがいるよなぁ(冨樫──と見せかけて『D.Gray-man』の人……)。

運が廻ってきた

新妻エイジを担当する編集者・雄二郎をひがむ編集者がいる。しかし、ひがみたい気持ちも分かる。本当に、運だけで連載を取ったようにしか見えないからだ。

実在する人がモデルなので文句は言いにくいが──創作されたキャラクタとして言う。雄二郎は完全に何もしていない。原稿を取りに行くだけだ。それだと、バイク便のお兄ちゃんと変わらないだろう。

いくら何でも、連載直前の作家と編集者とが まったく話し合いをしていない──そんなことはないだろう。エイジと編集者の会話シーンを意図的に省いているように見えるのが気になる。エイジの天才的なところを強調するためか、あるいは編集者が無能であることに不安定な要素を感じさせるためか……。まだ、作者の意図が見えてこない。

センス狂う

登場のたびに奇人ぶりを発揮するエイジが面白い。そして、雄二郎の「まったく手に負えない」感じがコンビ芸のようである。

エイジは つねにマンガを描いている。それに、いつも新しい作品を考えているようだ。週刊の連載には向いていないように思える。そのあたりも、エイジの弱点になるのかもしれない。連載途中で「これ面白いです」と別のマンガを描き出しそうな……。実際、そんなマンガ家は いるのか気になった。「連載している作品に飽きた」といって簡単にやめられないのだが……。

格闘し続け

前作から思いっきり変わった路線にサイコーとシュージンは挑戦している。

邪道から王道へ──この流れは、『DEATH NOTE』の終了後に『BLUE DRAGON ラルΩグラド』を描いた作者自身に似ている。ということは、鷹野常雄という謎の人物は、やはり──と余計な想像を巡らしてしまう。

シュージンが書く王道の話は、たしかにベタだ。だが、あらすじだけを読むと どんなに面白い作品でも「アリガチ」に思えるだろう。作品の面白さは、あらすじに書かれていないところにある。どこまで話をふくらませられるか、そしてたたむことができるか、それが作者の腕の見せ所だ。ジャンプでは、なかなか上手に話を終わらせてくれないのだが……。

高校 2 年生が先生

小畑健先生の画力は、誰でも認めるところだろう。しかし、致命的な弱点がある。──彼が描くと、何でもないキャラでも魅力的に見えてしまうのだ(半分、冗談で書いている)。

エイジのアシスタントする(はずの)二人は、「よくいる感じ」の人物である。いわゆる「5 分間以内で書き上げられる人生」のキャラだろう。それなのに、表情に非凡さが出ている。たとえば、ニルヴァーナのカットソーを着ている彼は、バンド活動かマンガ家への道か決められずに悩んでいる──といった裏設定がありそうだ。

社会に出れば年齢に関係なく上下関係が発生する。それは仕方がないだろう。ただ、ふと思ったのが「マンガ家とアシスタント」は「上下」の関係なのだろうか? アシスタントを雇っている作家は、雇い主としての立場になる。しかし、エイジの場合は、集英社がアシスタントを用意しているのだろう。そうすると、エイジもアシスタントも(雄二郎も)集英社から給料をもらっている、という同じ立場であり、単なる同僚に なるのだろうか。

何やってんの !?

新星たちの反抗が始まる──。

分かりやすく服部と雄二郎とで同じ表情をさせているが、驚いている内容は大きく異なる。同じように期待を裏切られたとはいえ、デビュー前のネームと連載する作品の原稿とでは、差がありすぎるだろう。エイジが編集部に与えたダメージは大きい。

とはいえ、これは明らかに雄二郎のミスだ。というか、編集者がデビュー作品をまったくチェックしていない、というのは異常だろう。それとも、ネームの段階では打ち合わせが済んでいて、急にエイジが別の作品を描いた──ということだろうか。

それにしても、天才・エイジらしくないエピソードである。たとえば、「赤マル」で人気を取った『CROW』を連載することに編集部は決めたが、エイジは あふれ出るアイデアから新作を描き上げた──というほうがエイジに似合っている。

そこで気が付いた。エイジもネームを見せるのだろうな、と推測できる。そうではないと、編集部が連載作品を『YELLOW HIT』と決められない。ネームか、あるいはページ数を抑えた原稿の状態で雄二郎に見せ、それを編集会議にかけたのだろう。

思わぬところで、服部と雄二郎の編集者としての力量が試されることになった。少なくとも服部には「二人を利用しよう」という腹がなさそうなので、彼にがんばって欲しい。もちろん、サイコーとシュージンもだ。

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