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『バクマン。』 18 ページ 「ライバルと友達」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 03 号)

デジタルカメラを買った。Canon PowerShot G1 以来だから、7-8 年ぶりになる(余談だが、CANON は過去の製品の情報ページを残しているのが素晴らしい)。その話は また書くとして──。

マンガ家というと、取材を多くする印象がある(とある作家へのイヤミではない)。「見たこともないほど豪華な屋敷だった」で済ませられる小説家と違い、マンガ家は すべて絵に描かなければならない。参考となる資料は いくらでも欲しいだろう。だから、自分の中でのマンガ家は「カメラを片手に取材旅行に出かける」と思っている。──が、よく考えるまでもなく、週刊連載でそんなヒマはないよなぁ……。資料は どうしているんだろう?

サイコーとシュージン・エイジは人生経験も少ないはずだ。それなのに、とくに取材をすることなく作品を仕上げている。SF とファンタジィを描くための取材は、自分の頭の中だけで十分なのだろうか。

いま考えついたけど、取材旅行にかこつけて W デート(死語?)するサイコーとシュージン・見吉・亜豆、なんて話──ないだろうなぁ……。偶然やって来たエイジが亜豆に一目惚れ、とか。

監督不行届き

新妻エイジがジャンプ編集部へ入ってくる場面は、かなりインパクトがある。やはり、どうしても『DEATH NOTE』の L が初めて顔をさらした場面を思い出す。

小畑健先生の絵には動きがない、という意見を聞く(脳内調査)。しかし、彼は面白い一瞬を切り取ることが上手すぎるだけなのだ。このエイジの登場シーンは小畑健にしか描けない。いったい、ほかに誰がこんな表情と構図で主人公のライバルを見せられるのか。

エイジがネームを描くのはショウワノートのスケッチブックであることが分かった。公式サイトや Amazon・楽天市場では まったく同じ絵柄のスケッチブックは見つからなかったが、おそらく「そのへんのコンビニ」で買えるものを使っているのだろう。弘法筆をえらばず

それはそれとして、雄二郎にはガッカリした。編集部に着いてからは自分を守るための言い訳しかしていない。そのあげく、エイジに対して自分のせいで こんな事に なっているのに、と完全に責任をなすりつけている。自分の監督不行届きという意識は、雄二郎には ないようだ。

ライバル

今日のサイコーは、完全に攻撃モードに入っている。服部に いちいち噛みつく。エイジの連載が決まったことを服部は二人に隠していた──サイコーは そう言いたげだ。

その一方で、エイジのライバルとしてサイコーとシュージンは釣り合っていない、と服部は思っているようだ。二人と服部との間に生まれた溝が、ドンドン広がっていく……。

ファンです

エイジをライバルとして見る二人の気持ちも知らず、当の本人が「亜城木夢叶」に会って話しかけた内容には驚いた。「私は L です」以来の衝撃である。

よく考えてみると、エイジの反応は当たり前だ。口調を除けば言っていることはマトモである。不慣れな土地で同年代で同じ志の仲間を見つけたら、誰でも親しくしたいだろう。おちょくってると感じた二人のほうが異常にも見える。しかし、読者は言われるまで気が付かない。作者の話の運び方がウマいからだ。

頭の中

今年の一番のニュースは──まぁ、『バクマン。』の連載開始や『HUNTER×HUNTER』の連載再開もあるが──下の実験結果だろう。

夢を映像化!?脳内画像を脳活動から再現 - MSN産経ニュース

これはまさに夢の技術だ。二重の意味で。それに、『この世は金と知恵』の世界を思わせる。おそらく、将来には電脳化も可能なのだろう。夢は広が──いや、狭まっているのか。何でも実現してしまうと、楽しみがその分だけ減ってしまう。夢は夢のままで良いのかもしれない。それは置いておいて──。

一度でいいから天才の頭の中を覗いてみたい。いったい、どのような脳の使い方をしているのか。ただ、天才の思考についていけるのは、天才だけだ。凡人の自分が天才の思考に触れることは、太陽に目を向けるに等しい。あるいは、アナログのテレビでハイビジョン映像を見るようなものか。

そんなわけで、いきなり天才・新妻エイジの頭の中──ネームの作業風景を見せられた二人には、スゴすぎて何が起こったのか分からなかったのでは、と想像する。けっして二人は平凡ではないが、凡人と天才の差より、天才と超・天才の差のほうが大きいのだ。

『四季 春』 森博嗣・著 : 亜細亜ノ蛾

絶対勝てない

以前にも書いたが、『バクマン。』は「邪道マンガ」に見えて、じつは「王道バトルマンガ」の構造をしている。夢を目指す少年・ヒロインとの恋・頼りになる仲間・勝者はひとりだけのトーナメント戦(「赤マル」)・そして現時点では絶対に敵わないライバルの出現──さらには仲間フラグ! 戦う内容がマンガというだけで、どう見ても本作品はバトルマンガなのだ。

とくに、主人公の経験値が足りない状態で強敵を目の当たりにするのは、ジャンプマンガでは王道中の王道である。『ドラゴンボール』は そのようなシーンばかりだし、『H×H』のゴンがヒソカの本性を初めて知る場面はゾクッとした。『ONE PIECE』は──ゴメン、悪いけど強敵が出ても「どうせ『ドン !!!!』で勝てるしなぁ」としか思えない。

エイジの天才ぶりを目の前で見て、それでも心が折られなかった二人は見事だ。ひょっとしたら、邪道路線のままで今回の場面に出くわしたら、「ジャンルが被らなくて良かった」と弱気になったのではないか。そこまではなくても、真正面からぶつかるという姿勢には ならなかったはずだ。

服部も二人の意志を真正面から受け止めた。これも良い。「勝手にしろ!」と投げ出しても仕方がない場面にも思える(雄二郎ならそうするだろう)。そうではなく、あくまでも二人のことを思って忠告をした上で、本人たちの考えも受け入れる。それも、「仕事でやっている」という感じがしないのだ。惚れた。

服部ウォッチャの自分としては、ますます彼が輝いて見える今日この頃(ソッチの趣味はないぞ)。エイジと二人との関わり合いも気になるし、どこまで面白くなるんだ、このマンガ!

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