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『バクマン。』 19 ページ 「デビューと焦り」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 04・05 合併号)

何度でも書くが、サイコーは自分勝手である。知り合いだったら付き合うのが大変だ。シュージンはエラい。

しかし──よく考えると主人公キャラは自分勝手なものである。「みんなの意見を尊重して自分は影に徹する」みたいなキャラがいたら、主人公は やっていけない(最近始まったマンガを批評しているわけではない)。

現実世界でも、たとえば天才は勝手気ままだ。われわれ凡人のように、余計なシガラミがまとわりついていない。そして、澄んだ目をしている。自分も子どものころは、そうだったのだろうか。思い出せない……。

昨日に引き続き、「19 ページ」の感想を書いた。そして、また明日にも続く……。

描き方はふた通り

圧倒的な天才・新妻エイジと出会った上でサイコーが出した結論が良い。

エイジの描き方は何の足しにもならない、と服部は言う。実際そうなのだが、天才の描き方は参考にならない、という参考になった。──ややこしいな

今の自分たちでは敵わない人間を見て、卑屈な意味ではなく「自分たちのやり方でいい」と思えるのは、けっこう難しい。とくに相手が天才と呼ばれる人物だと、少しは影響されてしまうものだ。

自分も、ブログを書いていると「越えられない壁」に見える人がたくさんいる。とくに、自分と同じジャンプマンガの感想・考察サイトを見て、「自分には そこまで深く読めない!」と落ち込むことがある。敵わないな、と。しかし、それでも このブログを続けられるのは、自分にしか書けないものがある、と信じているからだ。

サイコーとシュージンは、自分たちの描き方をした上で、さらにエイジに勝つつもりだ。評価をするのは読者であり、「亜城木夢叶」のマンガが受け入れられるかは想定できない、というのが厳しいところである。そういう世界で生きていくという決意は、自分にはできない。

さて、自分のブログを持っている人は想像してみよう──。自分が参加しているブログのグループがあって、20 人くらいしかそこで書けない。読者からのアンケート結果が毎週発表され、最下位が続くひとは脱会になり、新しいメンバが加入する。──ガチなジャンプシステムのブログ! どうだろうか(何が?)。

現状、ブログのアンケート・ランキングはアクセスを稼ぐためにしか存在していないが、上のような「面白いモノだけが残る」ランキングサイトもあっていいと思う(もうあるかも)。まぁ、とてもじゃないが自分はそんなところでブログを書く気はしないが……。

マンガの主人公と同じ目

エイジが他人のことを語る場面は貴重だ。「マンガ視点」で人も見ているのだ、と分かって面白かった。

スケッチブックに走り書きされた、ジャンプの主人公キャラたちとサイコーは、片目しか描かれていない。それでもどのキャラかハッキリと分かる。当たり前のことだが、スゴい。シルエットだけ・目だけでも特徴があってすぐに分かる──マンガのキャラクタデザインでは必須だが並大抵の努力では実現できない。『HUNTER×HUNTER』の冨樫先生や『BLEACH』の久保先生は、キャラの描き分けがずば抜けている。どれくらい絵を描き続ければその境地に至れるのだろうか……。

ちょっと意外だったのが、エイジがアシスタントのことをちゃんと見ていて、さらに覚えていたことだ。一度見た人間や風景は、自分の脳内に資料としてストックされ、いつでも絵に描ける──のかもしれない。なんとなく、一流のマンガ家には そんなイメージがある。

上手いな……

せっかく描いてきたサイコーのカットを、服部は見ていなかった。そうすると、シュージンのネーム(清書したのはサイコー)だけで判断していたのか。

前からそうだが、服部はシュージンの話作りには評価が高い。しかし、サイコーの絵にはまだ修行が必要、と見てきた。単純に「ウマい」と思ったのは、今回が初めてだろう。

『バクマン。』の開始以来、小畑先生の器用さには驚かされる。なにしろ、サイコーが描く「まだまだ ぎこちない絵」は小畑さんが描いている(と思う)のだ。少年マンガらしくない画風や、ジャンプの主人公キャラは似合わない人物を描くのは、苦痛ではないのか。──あ、ひょっとしたらアシスタントさんが描いているのかも? しかし、それにしては どれも「小畑絵」になっている。

あと、これは 100 万回言われているけど、『バクマン。』内の「王道バトルマンガ講座」を見れば見るほど──『ONE PIECE』って思い切ったデザインの主人公だな、と思う。たとえば『ONE PIECE』が存在しない世界で、サイコーがルフィそのままのカットを描いて来たとしたら──服部は軽く眺めただけで「これではダメだ」と言うのでは。多くの編集者が同じ意見を出すはずだ。

とはいえ、いま「ジャンプマンガの主人公らしい主人公」って誰だろう? 自分の中では主人公キャラは「とんがった髪型・キツすぎないツリ目・やや太めの眉毛・熱血漢・筋肉はあってもマッチョすぎない」みたいな感じがする。しかし、ピッタリ当てはまる人物はいない。ギリギリ『BLEACH』の黒崎一護くらいか。

ジャンプのマンガというと、いまだに『ドラゴンボール』を思い浮かべる人が多い。とくに現役のジャンプファンではない人は。それに、いま(話のクオリティは置いておいて)『ドラゴンボール』がジャンプに載っていても、違和感・時代後れ感はないと思う。

『ドラゴンボール』の作者が鳥山明氏ではなく庵野秀明氏なら、「この 13 年間ドラゴンボールより新しいマンガはありませんでした」とか言いそうだ。そして──エヴァの所信表明と同様に、納得してしまいそうではある。

Yahoo! JAPAN - エヴァンゲリオン特集

ちょうど最近、MORI LOG ACADEMY で森博嗣先生が下のように書かれている。

新しいものを作れば、どんどん売れる時代というのは、もう終わった。古い名作を越える新作はそんなには出ないだろう。

MORI LOG ACADEMY: 定常社会

たとえそうだとしても、これからも新しく作品は発表される。その中に、今までにない光を見るだろう。それに、古い名作をすべて読み尽くす人は少ない。多くの人にとって、自分が初めて読む作品という意味では、新作も旧作も同じだ。「新しいアニメ・マンガがない」と言われても、悲観することはない。

初物好きの江戸っ子でもあるまいし、新しければ何でも良い、と思うのをやめよう。初物と言えば、マンガキャラの男性経験の有無とか、どうでもいい(今年一番のどうでもよいニュースだった)。畳と女房とパンツは、新しいものに限るとか(え?)。

エロマンティック マジパンツ

新旧よりも「面白い」ものを、自分の目で見つけよう。そうすると、「いまのジャンプ」だけを読み続けるのは、先行きが暗いかも……。悲しいことだ。

というところで、明日に続くのじゃ……。

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