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『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 6 巻「カイメイ・ロック・フェスティバル」

刺身?盤 (by Dennis Wong) (by Dennis Wong)

急に新キャラの杉崎綾乃(すぎさき あやの)が登場する。まるで、ボッスンの背中が寂しそうに見えたから近づいた、というような現われ方だった。

そう、あまり言うと安っぽくなるが、「どう見てもフラグが立っている」状況なのだ。それなのに、やはりボッスンは平常心だ。『ドラゴンボール』の孫悟空なみの反応の薄さである。

──などと言っているが、悟空は少なくとも二児の父だ。これはいま考えてもスゴい。

「鳥山明は恋愛が描けない」という、担当していた編集者(鳥嶋和彦氏)などの批評をそのまま信じ込んでいる人は多いと思う。そういう人に言いたい。「あンな、恋愛物ってイチャイチャしてるとこ描けばエエんとちゃうねんで!」(エセ関西弁)。

つまり、「作品における恋愛の表現には直接的な描写は不要である」ということだ。

『ドラゴンボール』には、悟空と■■・ブルマと■■■■との関係を想像する余地が残されている(そろそろ未読の読者も増えてくるだろうから伏せ字──あ、ブルマの相手は 2 人とも 4 文字だ)。その楽しみを自ら放棄するとは──もったいない!

どれだけ『ドラゴンボール』がラブコメとしても優れているかを、いつか記事にしてまとめよう。

──何が言いたいのかというと……。いまはこんなボッスンだが、ちゃんと将来は好きな人と付き合って結婚するのだろうな、と思った(小学生の感想文か)。

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SKET DANCE 6 (6) (ジャンプコミックス)
篠原 健太
集英社 2009-01-05

SKET DANCE 5 (5) (ジャンプコミックス) SKET DANCE 4 (4) (ジャンプコミックス) SKET DANCE 3 (3) (ジャンプコミックス) PSYREN-サイレン 4 (4) (ジャンプコミックス) SKET DANCE 2 (2) (ジャンプコミックス)

by G-Tools , 2009/02/15

第 49 話「カイメイ・ロック・フェスティバル」

ロックのイベントを単体で行なうのは、高校では珍しいだろう。それに、普通ならこの手の話は、文化祭ネタとして描く。よっぽど 3 人にバンドを組ませたかったのだな、という作者の思いが伝わってくる。

勝手知ったる部室で・見慣れた女子が・急に楽器を持って歌っている──ものすごく萌える状況なんですけど(思わず口調が変わる)。「あいつの意外な一面」とか「普段とのギャップ萌え」とか、いろんなキーワードが浮かんでくる。そして──うたかたの夢のように消えていく(そんなコは近くにいないから……)。

このシチュエーションで無反応とは……。ボッスンは悟りを開いた坊主かよ! ボッスンの「ボ」は「ボンサン」(関西弁)の「ボ」に違いない。

ヒメコにしても、会話から想像すると、ボッスンになんの断わりもなく急にギターを弾き出したようだ。どれだけお互いがお互いを気が置けない存在に思っているか、よく分かる一場面だ。やはり家族同然の仲なのだな。

ヤバ沢と小田倉という、意外な面々までバンドとして参加する。考えてみれば、文化系のキャラクタが文化系のイベントに参加する──当たり前だ。しかし、音楽はどちらかというと、体育会系のノリである。自分の音楽活動経験からも断言できる(小学校のころ、ブラスバンド部でトランペットを吹いていただけ)。それに、この 2 人が人前で歌ったり演奏したりするのは──ちょっと想像できない。

ヒメコとスイッチが、音楽仲間として珍しく意気投合している。この 2 人を見ていると、やはり過去編のことが脳裏に浮かぶ。こうして仲良く(?)会話をしていることが奇跡だ。その 2 人を孤立させなかった恩人であるボッスンは──ふてくされている。もう、伝統芸みたいになっているな。まぁ、そのあとでボッスンもバンドを組むのは十分に予測できたが。

いつも部室でグダグダしている 3 人だけあって、競い合うのは 初めての事らしい。──ご存じの通り、その展開にはならなかった。しかし、1 度くらいは競争する 3 人を見てみたい。

せっかくバンドに参加することになったのに、ひとりで練習しているボッスンが物悲しい。ベース音の「ボボボン」という音は、間違いなくヒメコがいればツッコミを入れるところなのに……。

第 50 話「スケッチブック」

生徒会執行部までロックフェスに参加するとは意外だった。同僚の女の子のアレコレを初めて知る二次会のように、意外なことばかりが起こるイベントだ。

まっさきに「くだらない」と言いそうな 2 人・椿と浅雛が はりきっている。きっと、初めは参加をいやがっていたが、練習を重ねるごとに面白くなってきたのだろう。想像すると笑える。

それにしても──ヤバサワブックスのライブが実現していたら、ものすごくヒメコが目立ったと思う。サシミとツマというか……。ヒメコにはそういった腹がない。ヤバ沢さんも、おそらく「私たちとヒメコでは……」などと思っていないのだろう。それが良い。モモカ以外に女友達が少なそうなヒメコには、今回の件でヤバサワブックスのメンバたちと仲良くなって欲しい。

スイッチは男気があるオタクだ。バンドをやめる理由も男らしい。『銀魂』や『バリハケン』などを見れば分かるように、ジャンプでは根性がないオタクは生き残れないのだ。──「え、『バリハケン』は(マンガ的に)生き残れなかったじゃん」とか言ってはいけない(面白かったんだけどな……)。

そういえば、スイッチがオタクになった理由は、過去編からは読み取れなかった。引きこもっていたころに目覚めたのだろうか。もともと素養があったのかもしれない。もしかすると、そのあたりも「スイッチ」から引き継いだのだろうか。この作者のことだから、スイッチのターニングポイントも、いつかサラッと描くのだろう。

留学をあきらめたことを杉崎はボッスンに伝える。ボッスンは励ましつつも、本人が決めたことは否定しない。「アナタは いつも そうやって一生懸命 人を応援してるのね」とボッスンに言う杉崎は、まだ少し悲しそうな表情をしている。期待に応えられない自分に歯がゆさを感じているのか、あきらめの表情なのか。ただ、少しだけ元気を取り戻したようだ。こうやって、周りの人間を元気づける力をボッスンは持っている。

初めから決まっていたかのように(実際にそうだろう)、スケット団の 3 人がバンドを組むことになる。ためらうヒメコに対して、スイッチは「よし やろう」と即答する。これは、シビれた。どんだけ格好いいんだよ、スイッチ。

流れ的にはボッスンと綾乃(藤崎と杉崎)の話のはずが、自分はスイッチの格好良さばかりを見てしまった。スイッチは「名脇役」という枠には収まらない、じつに良いキャラだ。

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