『バクマン。』 32 ページ 「電話と前夜」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 19 号)

BrickArms Bazooka M9 prototype (right) (by Dunechaser) (by Dunechaser)

先週号の話になるが、ものスゴい人物が『ONE PIECE』に登場した。それはイワさん(「イワ様」だゼェ !!)──ではなく、名もない元・王族である。

イワレンコフに国を滅ぼされた彼は、

  1. 難攻不落のインペルダウンへ潜入し、
  2. なおかつ大砲を持ち込み、
  3. ヒミツの「ニューカマーランド」を見つけ出し、
  4. 打ち返された大砲の直撃に耐え、
  5. なんといっても、オンナになった瞬間に「キャーっ !!」と恥ずかしがる

──のである。どんだけスペック高いんだよ!

この回は、「イワレンコフが どれだけスゴいか」を示すエピソードとして描いているはずだ。それが、この恥ずかしがり屋さんのほうが、インパクトが強いように思えた。

名前がない脇役と言えども、とんでもなくキャラが立っていないと『ONE PIECE』には出演できない、という話である。

──さて、いったいこの話が、今週号の『バクマン。』と関連するのだろうか? ハッキリ言って関係ないのだが、どうしても書きたかった。

強いて言えば、今回の感想の部分に、サイコーと亜豆が恥ずかしがる場面が出てくる。恥ずかしがる女の子は良い。まだまだ長いこの先の人生で、おそらく見る機会がないと思うと、余計に良く思える。悲しい話やね……。

知らない 番号

言われるがままに、サイコーはシュージンの電話番号を亜豆に伝える。シュージンが本人に無断で電話番号を聞き出したときには、「ルール違反」とサイコーは言っていた。その仕返しだろうか(違う)。

カノジョが近くにいるときに覚えのない番号の電話を取ることは、かなりキケンである。今回は亜豆だから良かったが、「同じクラスの○○さん」だったら、アブナい。シュージンは見吉にボコられていただろう。──まぁ、どうせ、そのあとで誤解が解けて、見吉の手厚い看護を受けるだろうけど(ケッ!)。

高木くん ありがとう

亜豆からの電話は、シュージンへの感謝であった。これは「ちょっと いい話」である。こういう話が好きだ。

サイコーからシュージンへの思いを、亜豆が代弁する。この展開は、「主人公がヒロインを好きになった→ヒロインの女友だちは主人公の幼なじみ→主人公は幼なじみからヒロインの気持ちを聞く(→じつは幼なじみは主人公のことが好き……)」という、ラブコメでよく見る構図に似ている。そうか、『バクマン。』のヒロインはシュージンだったのか。

シュージンに対して感謝の気持ちを素直に言えないところ、とくに「男同士そんなの 恥ずかしい」という感覚が、サイコーらしい。連載が決定したら、ちゃんと礼を言うべきだ。

シュージンのほうは、ありがたい気持ちを素直に何度も口にしている。さらに、どちらかと言うと、感謝されることを遠慮しているようだ。家庭環境から考えるとヒネくれても おかしくないのに、シュージンは なぜこんなに性格が良いのか。研究に値する。

夢を持たせて くれた人なんて、人生で何人も出会えない。いや、巡り会えないほうが多いだろう。もしも身近でそんな人がいたら、ちゃんと感謝するべきだ。年々、人に感謝できる機会は減っていく。後悔しないうちに、「ありがとう」と言おう。

吉と出るか凶と出るか

自分の中で「不思議ちゃん」な存在の亜豆だが、次の言葉は良かった。

夢を持って 頑張る事 努力している事に 凶なんてないと思う

これは、そのへんの安い小説や映画・ドラマに影響されても出てくるセリフではある。しかし、亜豆は違う。

亜豆も、声優になるという夢に向かって努力しているのだ。だからこそ、この発言には厚みがある。

ちょっとシンミリとしたところで、すかさず軽い話題に持って行く。これが、シュージンの話術だ。やっぱり、将来は女たらしになりそうな気がする……。

真城と 話しなさい

シュージンと亜豆の会話にヤキモチを焼いたり、サイコーと亜豆を話させたり、見吉は あわただしい。

この期に及んでサイコーとの会話を無理という亜豆には、見吉くらい強引な友だちのほうが良いだろう。シュージンだったら、この流れではサイコーに電話を渡さなかったかもしれない。

こんばんは

亜豆がシュージンにお礼を言ったことを、サイコーには分かっていた。周波数が合っている二人だから、である。このあたり、なんだか胸の奥がムズムズしてくるが、良い場面だ。

年を取るごとに、恥ずかしい・照れくさいという感情がなくなってくる。神経が図太くなるのか、あらゆることに慣れてしまうのか、血の巡りが悪くなるのか……。

中高生のころは恥ずかしい思いをたくさんしたし、そのときはイヤだった覚えがある。数少ない恋愛でも、数多くの恥をかいた。いま思えば、笑える楽しい思い出だ。

離れた二人が同じ月を見て会話する──。サイコーと亜豆の、このぎこちない会話も、将来は笑って話せるだろう。そのときには、お互いに夢がかなっているとステキだ。

電話だと わりと話せる

良い雰囲気で会話を続けるサイコーを、シュージンと見吉が見守る。二人とも同じような顔(くち)をしていて、アニメかゲームのキャラみたいだ。なんというか、「ナムコっぽい」。

テーブルに「の」の字を書く亜豆のセリフを解読してみよう。──これって、「真城くんから電話をしてきて!」というお願いに聞こえる。普通の男女なら、そうだろう。しかし、サイコーと亜豆は普通じゃ ない

これがラブコメの短編だったら、「一度は『会話をしない』と言ってしまったヒロインだが、じつは主人公から積極的に話してくることを待つアマノジャクなオトメゴコロだった」となる。主人公がヒロインの言葉をウノミにしていただけで、あとから「なーんだ!」「ハハハハハ!」と分かって大団円、とか。

我らが「じらしの女王・亜豆」と「待ちの王子・サイコー」は、そんな中途半端なキャラではない。今度こそ、本当にアニメ化まで話さない、となりそうだ。

そうは言いつつも、原稿の持ち込みの途中で「ハンサムな男性(じつは親せき)と歩く亜豆」をサイコーが見かけて──という展開も面白い。

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