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『バクマン。』 34 ページ 「追う者と追われる者」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 21 号)

お蝶夫人 (by shibainu) (by shibainu)

亜豆家の美人親娘(おやこ)の会話は、まるで暗号である。読解する難易度がものすごく高い。会話が成り立っていないのでは、と思うほどだ。

まだ、お母さんである美雪のほうが分かりやすい。しかし、美保は異次元に住んでいる。この 2 人が話を始めると、通訳が欲しくなってくるほどだ。

自分はすぐに影響されるため、あまりウェブ上で『バクマン。』の感想は読まない。それでも、亜豆美保についての「解読書」は欲しいところだ。どなたか、美保と同じくらいの不思議レベルの女性か、そのような女性の気持ちが分かる方に、まとめ Wiki を作って欲しい。

──大場つぐみ先生の中でも、亜豆のことは理解できていなかったりして……。

お母さんと同じ事

意外だったのは、母親である美雪が好きな人と手紙の交換だけして 終わってしまったことを、初めて美保が知ったという事である。

てっきり、子どものころに母から聞いて、「好きな人とは手紙(メール)のやり取り(だけ)をするものだ」と美保は すり込まれる──といったことがあったのかと思っていた。なんと、以前にシュージンが言っていたように、遺伝子レベルで母親をマネしていたとは……!

恐るべし、縦ロールの遺伝子、である(髪型は関係ない)。

それにしても、美保の「変なの……」はヒドいよな……。たしかに、この上なく変だけど。

美雪は、自分に会おうとしない真城信弘(川口たろう)に対して気がないんじゃないかと思っていたようだ。これは、すこし、悲しい。もしも川口先生が「漢の浪マン」──ならぬ、男のロマンを求めずに美雪を口説いていたら、結婚していたかもしれないのだ。

たぶん、川口たろうと美雪が結婚していたら、とてもじゃないが今の亜豆家のような豪邸には住んでいないだろう。それでも、美雪は幸せだっただろうか。また、プライドの高い川口先生が、成功せずに美雪の元へ行くはずもない。

そう、すべてはこうなる運命だった……。

結果的に、信弘に見切りをつけた美雪嬢は英断だった、という事になる。──ん? その遺伝子を色濃く引いている美保は……。

そうじゃないんだよ お母さん

今回、トップクラスに難しいのが、美保の「私達は そんなんじゃない」という言葉である。美保の表情も、ちょっと見た事がない顔をしている。

普通に考えれば、「私と真城くんは、お母さんが考えている以上に、お互いが強く結び合っている」と言った意味あいに取れる。

ただ、この言葉だけだと「お母さんは私に好きな人がいると思っているけど、そんな人はいないよ」とも取れるのだ。前のページで「ただの友達…… もし好きな人がいたって」と美保が言っていることに注目しよう。

もちろん、今さら「美保は真城の事なんて何とも思ってませんでした」などという事は有り得ない。この場面は、母親といえど すべては話せない、という事だろう。あとは、話す事によって夢が壊れる、という意味あいもあるはずだ。

──ただ、このあとのサイコーに送ったメールを読むと、余計に混乱する……。

真城くんにメール

まだまだ美保の分かりにくいセリフは残っていた。サイコーへメールで送った「二人の夢が叶ったね」である。

今までに何度も書いてきたが、亜豆の思考は自分の中でトレースできない。もっと単純な「不思議ちゃん」か、またはそれを装っている女の子なら、なんとなく分かる。「ああ、そういうコなんだ」と思えるのだ。

でも、亜豆美保は、「ナチュラル・ボーン・難解ちゃん」なのだった。1mm も分からん!

普通の女の子なら、ここは「二人の夢をかなえようね」と送るだろう。そして、いつもの(不思議な)亜豆なら「二人の夢が叶うといいね」と送ると思う。真城は夢に一直線で、自分よりも先に夢が叶いそうだ──その不安感から、美保は弱気な「いいね」という言葉を選ぶ、ということである。

それが、この「夢が叶った」だと、どう考えてもヘンだ。前後の脈絡がつながらない。ただ、美保の素直な気持ちから出たのではない──それは分かる。しかし、何がどうなったらこの言葉を送信するのか、思考が つながらないのだ。

これは奇妙だわ……

亜豆からのメールを見る見吉と真城の表情は、ミステリアスである。この背景が黒くなったコマだけを見ると、別のマンガのようだ。怪談物で「恐怖! 差出人不明で届いたメールの怪」みたいな感じ。

3 人とも、難解ちゃんからのメールを読んで、悩む。それは、そうだろう。何を言っているのかが分からない。

ちょっと、素直に考えてみる。これは、カヤが言っている通りに「もう会おうって 言ってる」のかもしれない。サイコーが思い出したノートの件からしても、「どちらかの夢が叶った(叶いかけた)時点で会いたい」と亜豆は思っているのだろうか。

ううむ、分からぬ……。たんなる不思議キャラの「構って発言」のほうが、まだ かわいげがある──と思ってしまった。ハッキリ言うと、自分は美保は苦手だ。

というか、サイコーみたいなマz ──忍耐力のある男じゃないと、亜豆のカレシは勤まらない。その意味でも、二人の相性はピッタリだ。

あの時は 勢いで……

サイコーからの返信を読んで、亜豆は何か あきらめの表情をしている。

これまた素直に考えると、やはり、亜豆は真城に会いたいのではないか。そういう返事を期待していた、ということか。うーん、それなら「夢が叶いそうだね」とメールを送って「うん、だから、すこし会おうか……」という返事を待てばいいのに……。

なんだか、根本的に亜豆美保という人物の見方を間違えている、という気さえしてくる。ひょっとしたら、女性なら「わっかるわーーー、この気持ち!!!!」と大絶賛されるくらい、当たり前の感情を描いているのかもしれない。「なんとか空」とかいう名前の映画みたいに(『忍空』だったっけ?)。

さすが服部さん

時間どおりにやってきた服部を 2 人は称賛している。初めのころ、2 人を待たせたり選考評を忘れてきた服部の事を、もう忘れているようだ。まぁ、あのころとは(異常なまでに)姿形が変わっている服部だが……。

服部が連れてきた人物は、誰だろうか。

想像するに、アシスタントなのではないか。さすがに、高校生 2 人だけで連載をすべて任せる、というのはキケンだ。天才・新妻エイジですら編集部は早々にアシスタントを用意している。

さて、今週号も驚きの展開ばかりだった。まさか、この段階で連載が決まるとは思っていなかったし、亜豆の不思議レベルが上がることも予想できなかった。

本当に、このマンガの面白さと亜豆の難解さは、天井知らずである──。

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