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『バクマン。』 59 ページ 「経験とデータ」 (週刊少年ジャンプ 2009 年 48 号)

two slices of UVa (by zachstern) (by zachstern)

写真は、ピントが大事です。同じように、マンガにはリアリティが必要だと思う。どちらも、見る者の視線を引きつける。

(もちろん、わざとピントを外した写真や、非現実的な世界もミリョク的ですが……)

写真の焦点は一目で分かりますが、さて、ではマンガのリアリティとは?

──いろいろと考えられますが、自分は、「人物の厚み」だと思います。

人物の描写(つまりは説明)が多ければいい、というわけではありません。「描かれていない部分」も含めて、その人の人生を感じさせるような作品が良いのです。たとえば、この『バクマン。』ですね。

だって…

過去のアンケート結果を港浦は探している。シリアスなマンガよりも、ギャグマンガのほうが順位は安定しやすい、という証拠を見つけるためでしょうね。

初めから自分にとって都合のいい結論が出ていて、そのためのデータ収集をする、という人がよくいます。意図的に偏った情報を集めるのですね。

この時の港浦は、上の行で書いたようなズルい手を使わずに、できる限り多くのデータを集めようとしていて、好感が持てました。

サイコーが言うようにアンケートの 詳細なんて 数分で説明できるし、すこし前のデータだけからも「シリアスよりもギャグのほうが安定する」というアンケート結果は出ているのです。それなのに、もっと過去まで調べようとしている。

初めて、「港浦がキチンとした仕事をしている」と感じた描写でした。──まぁ、空回りに終わらなければいいですけれど……。

すぐにでも 打合せをしたい

山久の「ヨイショ」は手慣れた感じですね。長年の成果でしょう。プライベートでも、女性に対しては「尽くす男」を演じているはず。本心(と書いて「シタゴコロ」)は別として……。

蒼樹にとっても、これぐらいの誉め言葉は聞き慣れている様子です。しかし、ただという、すこしでも否定的な単語や意見には、すぐに反応してしまう。中井とコンビを組んだ時も、賛辞は聞き流しても、良いアイデアは聞き入れました。

たぶん、蒼樹は「男性からの押し」には弱いのでしょう。今までの人生で、蒼樹に対して強い態度に出る男は、少なかったに違いない。蒼樹にエンリョして弱気に話す男ばかりが近くにいた──と思います。そんな女性は、けっこう、多いんですよね──(何かを思い出している)。

そのあたりは山久も熟知しているところで、あくまでも蒼樹を持ち上げる姿勢を崩さないまま、キッチリと要求は出しています。いいですね-。こういう真っすぐな人物は、好きです。

山久が蒼樹に「手を出す」気ならアウトですが、おそらく本当に「面白いマンガを描いてもらう」ことしか頭にない。それが良いです。

たくさん ?

ということで、作品づくりに対する山久の真剣さと熱意が、すこしずつ描かれている。──のですが、サラッと読むと、セクハラっぽくも見えてしまう。

おそらく、山久のようなタイプを生理的に受け入れられない人や、読解力のない人は、たんにスケベな質問をしている男──と思ったのでは? 作者も、そういった誤読を誘うような描き方をしている。

ただし、山久自身が言うように、蒼樹が男性の気持ちを描けるのかどうかは、たいへん重要なわけです。遠回しに聞いたりしている場合ではない。

いまのところ、編集者としての山久は、カンペキです。良い部分しか見えない(いい所しか描かれていない)。──だから余計に、港浦のダメさが目立つんだよなぁ……。

もしも亜城木夢叶の担当が山久だったら? 『Future watch』にもパンチラを、とか言い出したりして……(ないない)。

正直に答えるべき

今週号で一番の衝撃を受けた、蒼樹の独白です。

なんと、蒼樹は片思いだけで つき合った事も ないとのこと。──えっと、蒼樹さん? それって、あの……しょ、しょ、証城寺の狸囃子……。バ、バージニア工科大学……(←?)。

どんだけ蒼樹のスペックにテコ入れするつもりなんですか!>作者様

まぁ──、ビックリですよ。蒼樹が恋愛ベタなのは、見たら分かるじゃないですかぁ(いきなり馴れ馴れしい)。でも、そのヘタさというのは、「ヘンな男に引っかかってばかりいる」という方面かと思っていた。DV 男とか、借金男・極度のマザコンにイヤミな金持ちとか──。

誌面上から、蒼樹の「ダメ男を吸い込むオーラ」がヒシヒシと伝わって来ていたのです。たぶん、それで男がイヤになって、つき合わなかったのでは?

だって、まぁ、この状況で思い浮かぶ男性が、中井だもんなぁ……。

いい原作を 探してもらってる

その中井は、ノリにノっています。作画のテクニックも落ちていないだろうし、彼ほど頼れるアシスタントは、ほかにいないでしょう。

しかし──、たぶん、彼の心の中には、蒼樹は消えている。いや、それは前向きな姿勢とも取れるので、問題はないのですが……。なんか、ガッカリした。

中井に対して、高浜がした質問の意図が謎です。連載するつもりなんて言い方は、逆に「アシスタントを辞めてほしい」とも聞こえてしまう。──本当に、そういう意図があるのかもしれませんね。この騒がしい中井を見ていると……。

中井が増長している原因は、加藤の純真さです。加藤からすると、純粋にマンガ家へのアコガレしかないので、プライベートの話も素直に出てしまう。オタク趣味の男女に多いですよね。それを中井は、自分に対しての「特別な好意」と取ってしまう。これまた、オタクにアリガチな感じ。

ただ──、なんとなく、中井と加藤がつき合う、という展開もまたアリかな、と思いました。加藤には高浜が──と思ったのですが、彼だと加藤を突き放す日が来そう。マンガを優先させてしまって……。

──という感じで、けっしてマンガ内では描かれないであろう部分を想像するのは、最高に面白い!!(読者からの共感は得られないだろうけど、ね!)

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