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『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 10 巻 「Happy Birthday」

Little Penguin Twins (by M Kuhn) (by M Kuhn)

10 巻には、多いに不満があります!

その不満の原因は、ある「医師」の取った行動でした。よく考えられた展開を見せる作者にしては、ちょっと中途半端な描き方も気になる。

でも、最終的に、自分は笑顔で読み終わりました。──それはなぜか?

第 87 話 「Happy Rebirthday - 1」

振蔵の父親が登場しました。これがまた、まったく本筋と関わらずに、ただたんに出ただけ、というところが武光家らしいです。

伏線好きの作者にしては、無意味な描写に見えて珍しいな──と思いましたが、「よく知っている人物の父親が出てくる」という前置きなのかな。

主人公なのにジャマモノ扱いされる、という「いつものボッスン」が笑えます。そして、彼にぶつかるヤバ沢さんが言うごめん あそバスは、レベルが高い! とくに誰もツッコミを入れていないので、初見では気がつきませんでした。そんなに、このクラスでは自然な言葉なのか……。

ボッスンの母親と妹の登場に、クラスメイトが騒いでいます。みんなは、知らなかったわけですね。ところが、ヒメコとスイッチは普通に接している。さすがに、ボッスンは団員には家族を紹介していたということか。

ただ、ヒメコとアカネは、しばらく会っていなかったようです。それに、ぱっと見ではヒメコのことを、アカネは見分けられなかった。なんとなく、この 2 人が初めて・最後に会った状況が気になります。なにか変わったエピソードがありそうな気がする。

ビックリしたことに、意外とルミは、ボッスンのことを男として意識しています。オマセさん──と言うような年齢でもないか、13 歳は。──ん? いや、もう過去編は終わっているのでした。ルミは、中三ですよね。そりゃ、意識しないほうがオカシイ。

こんなキレイなお母さんと、カワイイ妹が一つ屋根の下にいたら──しかも 2 人とも血のつながりがなければ──たしかに、僧になるしかないでしょう。ボッスンは、正しい(少年マンガ的な意味で)。

とつぜん、ボッスンの前に医師が現われる。ここからラストまでは、ちょっと頭がついていきませんでした。というか──作品の性質上とはいえ、この状況で「謎かけ」を出すのはヘンですよね。普通だったら、すぐに「結論」を医師が言うでしょう。

第 88 話 「Happy Rebirthday - 2」

前回からずっと、医師の態度に疑問を持っています。今回は、いっそうその疑問が強くなりました。

──というか、ちょっと「引っ張りすぎ」ですよね。演出上の効果を狙って、これだけ段階的に真相を明かしていった。それは分かりますが、しつこすぎる!

その演出のせいで、医師は本当に悪者なのか、と思ってしまいました。

たとえば、リョウスケのことをハルに話す場面があります。あれを見て、医師の言葉通りにこんな時に言う事では ないじゃないか、と取った人も多いのでは? しかし、あのタイミングで話すしかなかったのです。それは正しい。それを聞いたからこそ、ハルは最後までがんばれた。そう、思いたい……。

過剰な演出のせいで、医師が悪意を持っていたように見えてしまう。作者らしくない描き方です。

第 89 話 「Happy Rebirthday - 3」

医師の対応は、ほめられたモノではありませんよね。しかし、それ以前に、他人の子どもを取り上げて育てる──といったことが、この日本で可能なのだろうか? そのあたりが、いっさい書いてありません。これまた「マンガの演出上」は不要な場面なんですが、そこがアイマイだと、話自体が成り立たない。

結果的に、「医師の息子」はまっすぐに育ち、「両親」にも感謝している。医師夫婦が愛情を持って彼を育てた事は、ボッスンも認めています。しかし、単純に「だから良かった」とは言いにくい。

ハッキリ言って、この双子を引き離す話は、内容そのものも描き方も、不満だし不快です。いままでずっと『SKET DANCE』を応援してきたし、この巻の次からもずっと好きなマンガ(メールの回は最高!)なのですが、この医師だけは好きになれません。

『SKET DANCE』では、こういった、読者に訴えかけるようなエピソードが多いです。10 巻のように、ハッキリと描かれた問題だけではなく、ちょっと見逃しがちな問いかけもある。たとえば、何度も書いていますが──スイッチはいつまでも「しゃべれない」し、ヒメコの暴力は止まらない。

自分は、人間の心の中にある暗部を描いた作品が好きです。『SKET DANCE』を見れば分かるとおり、とくに暴力的な描写じゃなくても、人の暗黒面は描ける。本作品を注意深く追っていくと、非常にアヤういバランスで成り立っていることが分かるのです。

だから、たまにこうやって、自分のように気に入らない感想を持った読者も出てくるはず。それでも、やっぱり、『SKET DANCE』は面白い! そう、「つまらない」から不満、じゃないんですよ。医師の行動に疑問を持たせるように、意図的に作者は描いたのかもしれませんね。

第 90 話 「Happy Rebirthday - 4」

さて、いろいろと怒りの言葉を(これでも控えめに)書いてきました。しかし、終わりよければナントヤラ、です。この巻の最後は良かった!

真実を知り合った 2 人が対面して、積もる話は山ほどあるはずなのに、無言のコマが多い。いざ話し始めると、「いつものボッスン」なんですよ! これがイイ!

この 2 人は、ずっと変わらないのでしょうね。いや、ほんのすこしだけ、近づいたか。次の巻のエピソードが微笑ましいので、早く感想が書きたいです。

ああ──いいなぁ、いい話を読んだなぁ、と思ってコミックスを閉じました。

やはり、わざと医師を悪そうに描いたのかもしれませんね。単純に真相を描いていたら、アッサリと医師が明かしていたら、味気なかったかも。いわば、甘みを増すために「スイカに塩を振る」みたいな感じです。チクチョー! また作者の手のひらの上でゴロゴロ転がされていただけか!(ニンマリとした笑顔で)

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