フォトテクニックデジタル 2010年 04月号

Ein neuer Sheriff ist in der Stadt... (by Mario Sixtus) (by Mario Sixtus)

今月号の「フォトテクニックデジタル」は面白かったです。今すぐ(下のリンクから)買いに行きましょう!

カメラ雑誌というモノは、たいていが「お偉いセンセイがたがお撮りになった、どこに面白みがあるのか分からないグラビア」から始まり、「各メーカからのケンキンによってページ数と内容が決定する商品カタログ」のページで埋め尽くされ、残るページは「初心者向けの how-to モノ」というアリサマです。

そんなウゾウムゾウの「写真家とカメラの宣伝雑誌」の中、「フォトテクニックデジタル」は見どころが多い、と思う(宣伝なのは変わらないケド)。

この雑誌は、以前からポートレイトの撮影に力を入れています。今月号は、初心者が一番迷いやすい「ポージング」について、小冊子が付録でついてくる。これは持ち運びに便利で、「こんな感じのポーズを」とモデルさんに指示が出しやすいです。

さらに、ポートレイトを含めた各状況別に、「RAW 現像」とレタッチの特集を組んである。ページ数を多く取っていて、初心者から中級者まで幅広く参考になりますよ!

ここからは、各特集について個別に感想を書いていきます。

暗く撮って明るく持ち上げる

まず、いきなり真ん中付近のページまで飛んで、「プロフォトグラファーの作品づくりの舞台裏」(p.100)をご覧ください(p.098 から始まる「"速効" レタッチ術」特集内のコーナ)。

写真家・根本 好伸さんが、モーニング娘。の道重さゆみさんを撮影した時のことを解説している。注目なのは、「元画像/ 完成画像」を載せている事です。

「元画像」を見ると、「いかにも逆光で撮りました」という感じで、顔が暗く写っている。まぁ、自然と言えば自然です。よくあるポートレイトの参考書には、「人物・とくに女性は逆光で撮りましょう」と書いてあって、だいたいこの「元画像」のように暗い顔が載っている。

根本さんはこの状態から、「暗めに写った写真を、明るく色を立ち上げていく」というテクニックを見せています。デジタルカメラは「白飛びしやすく、黒つぶれに強い」ため、このような撮り方が成り立つのですね。

──ただ、非情に残念なことに、具体的な数値データはいっさい載っていません。「完成画像」を眺めながら、「こんな感じだろう」という設定を探っていくしかない。そこはもうちょっと、実際の設定例を公開して欲しかったですね。

p.106 で根本さんのレタッチに関するインタビュー記事が載っていますが、ここでも観念めいたことばかりが書いてあります。または、商業用の印刷に向けてのアドバイスを語っていたり。──うーん、そういうプロ向けの事は、「MdN」などに書いたほうがいいのでは……。

シーン別レタッチ・テクニック

続いては、「速効! ベーシック・フォトレタッチ 10」(p.108 ~)です。

この手の Photoshop を使ったレタッチの例は、ほとんどが「初心者中の初心者」に向けた、テトリアシトリな解説が多くてウンザリしていました。しかし、今回の特集はマニアックな内容で良いです。風景は、おもに「特定色域の選択」機能を使っていますが──これ、存在を知らない人も多いのでは?

残念ながら、各ページの説明がもの足りず、写真も小さめです。それもムリはありません。Photoshop の参考書なら 5 ページ分くらい使って解説する内容を、1 ページに圧縮している。多くのテクニックは、「なぜこうしたのか?」を「行間を読む」ようにして解読することが必要です。

でも、自分の手を動かして、「なぜ?」を学んでいったほうが力が付きそうですよね。そういう意味では、レタッチを上達するためのヒントがたくさん盛り込まれている、良い特集です。

ポートレイトのレタッチでは、自然な肌色を再現するために、「白目でカラーバランスを整える」のと「マゼンタとイエローを同程度にする」というワザが紹介されていました。これは初めて聞いたのでさっそく試して──どうも自分が好きな肌色とは違う。でも、本当に自然な肌の色になりました。覚えておこう!

もうひとつ、暗く写った顔を明るくする手順として、「ソフトライト・レイヤを使う」方法が書いてあります。これは、自分が長い間シコウサクゴして、自力で見つけました。これは万能で便利ですよ! 「覆い焼きツール」よりも融通が利くし、何回でもやり直せるので気軽に試せます。

ポージング指南

お次は別冊付録の、「河野英喜 直伝! 珠玉の女の子 ポートレイト・ポーズ集」です。──「珠玉の」が「女の子」にかかるのか「ポーズ集」なのか不明ですが、気にせずにいきましょう(誰も気にしてないよ!)。

これまたよくある「ポーズ集」の本だと、単純にボンボンボンとポーズを撮った人物が乗っているだけで、面白くない。今回の付録だと、「なぜこのポージングなのか」と「なぜこのポーズは NG なのか」が分かりやすく書いてあります。

この付録をモデルさんと一緒に見て、ポーズを決めるのもいいですね。しかし、もっと大事なことがあります。ここに書いてある「S 字」「逆 S 字」「CX 型」をただマネるのではなく、「なぜこのポーズが美しいのか」を自分の中で消化しておくと、ほかのポージングも指定しやすくなる。応用が利いていいですね。

長野さん家のカメラ事情?

ハウトゥもののページを読み終えたら、じっくりとグラビアを眺めてみる。すると、また新たな発見が、あったりなかったり。

じつは、「フォト──」を買う理由の何割かが、長野 博文さんの撮るグラビアページが目当てだったりします。独特な柔らかい質感が、好きなんですよね。

長野さんと言えば、Amazon.co.jp: Canon EOS 1Ds MarkIIICanon EF 24-105mm F4L IS USM をセットして F4 開放で撮る、というのが定番です。なにしろほぼそれだけで、1 冊の本を作ってしまった。

──のだけれど、ここに来て急にカメラとレンズが変わっています! キ■ノンとの間に、何かがあったのか…… !?(ゴゴゴゴゴ……)

と思ったら、同じくキヤノンの Canon EOS 5D MarkIICanon EF 85mm F1.8 USM という組み合わせでした。えらくリーズナブルなコンビですね。

カメラとレンズは変わったし、ついでに現像ソフトが Photoshop から Capture One へと変更されたけれど、フワフワした柔らかい「長野ブルー」は健在です。これは、盗まねば……。

小林幹幸とライカ M9

小林 幹幸(基行)氏の「トーキョースクールガール」も、本書を読む楽しみの一つです。

さて、小林氏も常用のカメラが変わっていました。SONY DSLR-A900 と 5D2 を同じ特集内で交互に使っていたのが──なんと、LEICA M9 ですよ!

──まぁ、小林さんのブログを読んでいたので、M9 を仕事に使っていたことは知っていましたケド。

今回の撮影では、Canon EOS 7D で動画も撮られています。YouTube で公開されているので、ぜひご覧ください!

YouTube - Snow for two 撮影 小林幹幸 motoyuki kobayashi

まとめ

ポートレイトを趣味で・仕事で撮っていこう、という人は必読の 1 冊ですね。パラパラと読んで楽しいし、じっくり読んでタメになる。

ああ、できればここに 魚住誠一さんがいれば、言うことがないのになぁ……。「あの雑誌」は紙質と印刷が悪いから、せっかくのグラビアページもカスレているんですよね。もったいない!

──え? 何の雑誌かって? それは──カメラマンの情けとして(?)、ここには書きません!

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