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HUNTER×HUNTER No.307 「喪失」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 23 号)

scissors, paper, rock (by Meme!)
(「じゃんけん」には──相手と「手」が必要だ)

とつぜんですが、自分は『トリコ』が好きです。

今週号の『トリコ』は、長い戦いが終わり、「癒しの国」へやってきたという、息抜きの回でした。重傷を負ったメンバが多いというのに、和やかなフンイキで笑いを取る。──この感じが好きです。

さて、どうして『H×H』の感想で『トリコ』を取り上げたのか。──例によって例のごとく、あとのほうでちまちまと書いていきます。

硬質の不協和音

巨大なオーラを目の当たりにして、あれは… どっちの !?、とキルアは見極めようとしています。この独白は、分かりにくさで悪名高い、それはどっちの?、を思い出しました(『HUNTER×HUNTER (26)』収録──いまだによく意味が分からない)。

今回は、「ネフェルピトーとゴンの、どちらが出しているオーラなのか」というキルアの疑問であることは明確ですね。ありがちな、「なんてデカいオーラだ……!」などと驚きそうな場面です。でも、キルアはそんなことは思わない。

幼いころ──いや、生まれたころから、つねに「命懸けで選択すること」を強いられてきたキルアらしいモノローグでした。いちいち驚いていたら──死ぬ、という環境で生きてきたのです。

血に塗れた拳

ピトーの最期を、このように描くとは──とても想像できませんでした。

「シルバがキメラアントを壊した時」にも思いましたが、描写に容赦がない。ただ、それはずっと昔から同じですよね。「人類の憎むべき敵」として描きながら、読者に思い入れを持たせる。そして──、あっけなく潰してしまう。

そう、まるでアリのように……。

──ああでも、「あっけなく」はないですね。おそらく無防備──というか防御ができる状態ではないピトーを、満身の力とオーラを込めた拳で殴り続けて、ようやく──くだける、という……。

ピトーは──護衛軍は、どれほど頑丈に作られているのでしょうか。そして、王はもっと強いはず。

人類にとっては駆除すべき「害虫」であり、ゴンにとっては恩人の「カタキ」でもあるピトーですが──、では、読者にとっては?

自分にとってピトーは、もう単純に「敵」とは思えなくなっている。できれば、キメラアントも人類も、一緒に共存できるような──ナマヌルイ解決策を見たかった。でも──、今となっては、すくなくともピトーは、その場にいないのです。それがすごく悲しい。

──『HUNTER×HUNTER (19)』に出てきた、ふんふん ニャるほど(ヌチョ)を読んだ直後に、同じことが思えるかは分かりませんが……。

とどめを 刺したよ

ゴンがカイトに、何を・いつ教わったのだろう。

初めて 2 人が出会った直後に、キツネグマに対してカイトが取った行動から、ゴンが学んだ──ということでしょうか。──いや、NGL に入ってからカイトが見せた、キメラアントとの戦い方のことかもしれませんね。

2010-05-12T00:09:18+09:00 追記

つまりは、No.193 「チョキ」(コミックス 19 巻)でカイトが見せた戦い方──確実に 頭を 潰せ、ということです。

カイトが言った、気の毒だが 人間を傷つけ ちまった 巨獣は…… 処分する 決まりだ(『HUNTER×HUNTER (1)』)、という言葉が、ずっと気になっている。それがハンター協会の決まりだとすると──、モラウがコルトを見逃しているのはなぜなのか。

ただ、「賞金首たちと普通に会話をするハンター」が作中で何度も出てくるので、「決まり」が破られることなんて日常茶飯事なのかも。それとも、カイトがマジメなだけだったりして。

けどゴンは 逆 !!

自分にとって一番の恐怖は、自分のよく知っている人物が「変わって」しまうことです。性格が変わることはもちろんですが、外見が変化することもコワイ。

パームに続いてゴンも容姿が激変しているのですが、それほど動揺していないキルアは、さすがです。自分だったら、すぐには受け入れがたい。キルアの場合は、ビスケやカイトで「予行演習」が済んでいるからかも。

──ああ、忘れていた! 「ギタラクル」(イルミ)がいました。なんだかキルアの回りには、「肉体も衣替え」をする人ばかりです。そりゃ、慣れるよなぁ……(そうか?)。

しつこいようですが、キルアには驚いているヒマはなく──、着々と状況を判断している。信じがたい事実に直面して、それでも、できる限り完全に理解するしかない。何という状況なのでしょうか……!

この場面でキルアが考えたことを読んで、自分には、「キルアはこの先、何十年も絶え間無い修行を積み重ねて、何百回も死線を乗り越えていくのだな……」と思いました。そしてそれでも、死ぬ時には一瞬で命を失う……。

王の為

“黒子無想(テレプシコーラ)”は、ピトー自身を操る能力だったようですね。自分が書いた先週号の予想は、ちょっとハズレていました。

HUNTER×HUNTER #306 「安堵」 男子三秒会わざれば“凝”して見よ : 亜細亜ノ蛾

キルアはまたしても、知人に傷を負わせるキッカケを作ってしまった……。彼にとっては、二度と味わいたくない思い・見たくなかった場面です。

──でも、ゴンが腕を切り落とされたのは、はたして油断だったのでしょうか。自分への戒めとして──カイトへの同情として──、こうなることをゴンの無意識が望んだのかもしれません。

そんな考え方は結果論に過ぎないし、それに、キルアにとってはどちらにしても──心の傷になる……。

右腕はやるよ

さてはて、『トリコ』を引き合いに出した真意を書きます。

今週号を待つまでもなく、トリコの失った腕が再生されることは、誰でも予想ができたと思う。なにしろ、「再生屋」なる人物が出ている。

そもそも、ジャンプの主人公キャラが、「体の不自由な人」のままでいるわけがない。そう思って、登場人物たちの傷つく姿を、読者は安心して見ていられる。だから、トリコの底抜けの明るさを潔く描く姿勢が、自分は好きなのです。

ところが──、『HUNTER×HUNTER』だと、そう単純にはいかない。

たとえば、グリードアイランドへ行けば、「大天使の息吹」がある(ただ、島に入る前のケガも治るのだろうか?)。その前に、熟練した念能力者であれば、「死」以外は治せそうな気がします。ひょっとしたら、レオリオの登場フラグ──かもしれない。

──それでも、ゴンは腕の治療を断る気がします。それよりなにより、いまの「急成長」で失ったモノを取り返せるとは思えない……。

ほかのマンガだったら、何らかの「主人公だけに用意された抜け道」があって、戦いが終われば元通り、となる。でも、『H×H』は──そうならない気がします。

もしも、「右腕はなく、念能力は使えず、肉体年齢も戻らず、それでも──父親を捜し続けるゴン」の姿を、今と同じくらいの面白さで描けたら、それこそ──神だ!

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