• 更新:
  • 投稿:
  • カテゴリィ:

マンホール

Lady bug masquerading as a manhole cover (by bochalla)
(マンホールと虫との相性は良いようだ)

これは最高に面白いマンガです!

まず、絵が上手ですね。リアルでありながら「劇画調」ではなく、線が整理されていて読みやすい。絵が話のジャマをしないため、すんなりと物語に入り込めます。

そして、ストーリィが非常に良くできている。伏線がウマく回収されていて、読後に「あれは何だったのか?」という余分なモヤモヤ感が残らない。

読み終わってみると、タイトルの『マンホール』も意味深であることに気がつきます。manhole ──「人」の「穴」ですからね……。

いくらでも話を引き延ばすことができるはずなのに、単行本 3 冊分で完結している──、という点が成功の要因でしょうね。

──それでも、同じ作者による同じ世界観で、派生した作品が読んでみたいです。それくらい、この作品も作者も好きになりました。

ジャンルで言えば(バイオ)ホラーになるため、「コワイのは苦手だから……」といって尻込みをする人もいるかと思いますが──、大丈夫です! なぜなら、

いま、アナタが生きている世界

のほうが、何十倍もコワイのですよ……(ホラ、アナタのうしろに──)。

グロいだけではない

第 1 話の冒頭から、いきなりグロテスクな場面が出てきます。コワいと言うよりも、気持ちが悪い。一体何が起こったのか、と考えるヒマもないくらいに、次から次へと悲惨な犠牲者が増えていく──。

このあたりは、ゾンビ物のホラーやパニックホラーみたいな感じですよね。

物語の中盤あたりで、適当なバイオハザード(生物災害)の理由をでっち上げておいて、あとはひたすらにヒロインがキャーキャー騒いだり、主人公が格好いいところを見せたり、

トム
「──ん? 何か物音がしたな。ちょっと見てくるか」

などと言い出したりする(トム、逃げてぇー!)。

参考: ベタな死亡フラグの法則 - Chakuwiki

『マンホール』も、そういうアリガチな展開があるかと思いきや──、そこは上手に料理してありますね。むしろ、ベタな展開・描写を効果的に利用しています。

最近になって『バクマン。』のおかげで流行しだした(asiamoth 調べ)、

「シリアスな笑い」(ビニール袋を頭からカブるヒロイン)

もありました。

また、気味が悪い姿になった「犠牲者」も、そうなった経緯を知ると──単純に同情できない、という描き方も面白いです。

被害者と犯人の、どちらが悪いのか──どちらを憎むべきなのか──、

お色気の場面も(序盤から早々に)見られるし、まさに盛りだくさんの内容です。

ミステリィ的な展開

そして驚くことに、ミステリィ作品のような要素までありました。「犯人は誰だ」という展開や、主人公たちの推理・どんでん返しもあります。

あまり書くとネタバレになりますが、この「どんでん返し」の部分が一番スゴかった!

正体の知れない犯人像が、徐々に明らかになっていく。異常としか思えない犯人の思考をなぞっていくと、思いも寄らない犯人と「犯行の理由」が見えてくる。

この謎解きの部分は、大好きなホラー映画である『SAW』を思い出しました。

『マンホール』も『SAW』も、犯人の気持ちがすこしは理解できてしまう。同情・同調しそうになります。そこが、たんなるホラーでは終わっていない点ですね。

さらに、『マンホール』は、犯人の心情を見せる描き方が素晴らしい! どんでん返しも単純に終わらず、感動すら覚えました。

読んだキッカケ

毎度オナジミの「お友だちから借りたマンガ」シリーズです。

最近、コンビニでよく見かける、再編集版の単行本を貸してもらいました。こちらは上下巻の 2 巻構成です。ザラザラとした軽量の紙質で、持ち歩いたり寝転んで読む時に便利ですね。──むしろ、通常のコミックをこの形で揃えたくなりました。

作者の筒井哲也氏は知りませんでしたが、ほかの作品も読んでみたくなりました。

筒井哲也 - Wikipedia によると、自身のサイトで公開していたマンガが話題になり、雑誌での連載が決まったとのこと。最近よく聞く話ですね。

──「出る杭は打たれる」と言いますが、それは中途半端に出ているからです。あまりにも飛び抜けていると、多くの人から支持を受けるわけですね。

作者のサイト: STUDIO221

[2] このページの一番上へ戻る