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『バクマン。』 92 ページ 「意地と決断」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 31 号)

100424夕飯:煮物 (by mersy)
(本当に「煮え切った」ら──おいしくない)

「持つべきものは友」という話でした。

『バクマン。』はよく、「マンガ家パート」と「恋愛パート」に分かれる──と言われていますが──、「友情パート」も忘れちゃ困るぜ!

シュージンがサイコーを、カヤが亜豆を、それぞれ温かく見守って力になってきたからこそ、いまの 4 人があるのです。

だって──、サイコーと亜豆は、けっこう他人に冷たいし……(暑中見舞いとか、絶対に出さなさそう)。

絶対 おかしいって!

亜豆が声優として成功することを願って、サイコーは彼女の仕事をジャマしない。たとえ、亜豆が声をあてる役が、亜城木夢叶のライバルが描いた作品のヒロインだとしても……。

サイコーが言っていることは、間違いではありません。きっとそれは、一言で言えば「オトナになる」ということなのでしょう。

カヤはどうしても納得ができない。その気持ちも、よく分かる。なにしろ、「亜城木夢叶」というペンネーム自体は、亜豆・真城・高木(夫妻)の夢を叶える──という意味なのです。その夢への道がふさがったら、意味がない。

このページを読んでいる時点では、アニメ版『+NATURAL』のオーディションを、亜豆が受ける真意が分かりません。本当に、キャリアを詰むためだけに、ライバルの作品に亜豆は参加するのか?

それがなんとも──もどかしい!

普通のカップルだったら、速攻で電話をかけるでしょう。会いに行くのもいい。そもそも、事前にオーディションを受けるイキサツを、亜豆のほうからサイコーに伝えるでしょう。

つまりは、このモドカシサを作り出しているのは──、作者です。当たり前のことだけど、いつもいつも話の流れに感心・感動する。言うなれば、

「いつかはきっと晴れる、くもり空」

を描いているかのよう。

あんな言い方しても駄目だ

シュージンはさすがに、サイコーのことをよく分かっています。なにしろ、サイコーの「女房役」をつとめた期間は、亜豆よりも長い。

夫婦 2 人そろって、自転車で通勤する──というのは素晴らしいですね! 自分の理想に近いです。

大場つぐみさんと小畑健さんとは、『DEATH NOTE』を描いていた当時、担当の編集者を間に通して、ほとんど会わなかったそうです(『DEATH NOTE (13)』参照)。『バクマン。』でも、コミックスを見る限りでは、FAX でのやり取りがメインでしょうね。

だから──、仕事場と新居とを往復する高木夫妻を描きながら、大場さんも小畑さんも「効率悪いなぁ──」と思っていたりして。

もちろん、シュージンが自宅派だったら──マンガが成り立たない。今回の話も、サイコーの近くにシュージンがいたから、亜豆の所 行ってみようぜ──と話が進むのです。

サイコーと亜豆との「遠くて近い仲」を支えてくれる、シュージンとカヤは素晴らしい! この 4 人は、本当にキセキのような関係です。

応募は 社長が 勝手に

オーディションへの応募は自分の意思ではない──、と亜豆は言う。カヤも普通に聞いていますが──、親友同士なのだから、メールか電話で相談して欲しいところですよね。せめて亜豆とカヤくらいは、何でも相談できる仲でいて欲しい。

亜豆がオーディションを受けるのも、シュージンとカヤがそれを知ったのも、どちらも他人の行動が原因です。こうやって、一歩間違えれば運命が狂う──という重大なデキゴトが、他人のせいで起こることもある。

まぁ、今回の後半を読めば分かるとおり、亜豆が沙也乃の役を演じることはなかったでしょう。新妻エイジが止めたはずです。

それでも──、亜豆はもうちょっと自分の考えで行動して欲しかった。

俺は 出てほしくない

シュージンは、自分の意見をハッキリと亜豆に伝える。これは──格好いいですね! サイコーと亜豆のことは、シュージンにとっては「人ごと」ではない。

サイコーの悲しみはシュージンの悲しみ──。

カヤも必死になって、亜豆を止めようとしています。それなのに当の亜豆は──、なんだかボンヤリとしている。

この場面で亜豆が何を考えていたのかは、最後まで読んでも分かりません。本当は、オーディションを受けたかったのか……? それとも、「真城くんに止めて欲しかった」と思っていたのかも。

そのくらい 決めておくべき

2 人とも意地張り過ぎ、というカヤの指摘が的確です。メタな視点から見ると、この 2 人がもっと素直だったら──『バクマン。』の話自体が壊れるけれど。

シュージンの言葉がさらに的を射ています。

「真城くんが 止めなかったから」 っていうのを理由に 受けるのだけはやめてほしい

それを聞いた亜豆は、図星をつかれた──という表情をしている。やっぱり、サイコーの口から直接、「オーディションを断ってほしい」と言われたいのだと思う。

ふと思ったのですが──、『PCP』のアニメ化が実現して、サイコーと亜豆が結ばれたとする。そのあとは──どうなるのだろう。

サイコーと亜豆は意地っ張りな 2 人ですが、2 人きりの時は素直だったりします。だから結婚したら、けっこう──ベッタベタになるのでは。マンガ家と声優の仕事までオロソカになる──ことはないと思いたい。

たぶん、「その後の 2 人」は描かれないでしょうね。

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