フォトテクニックデジタル 2010年 09月号

2010-06-26_042450_Canon EOS 7D_28-75mm
(「ワタシも、お肌のザラザラが気になって──」)

今月号のフォトテクニックデジタルは「買い」です!

とくに、女性のポートレイトを撮影するカメラマンは、アマチュアもプロも必見でしょう。「イマドキのカメラマンは、これくらいの知識・技術は最低でも持っておきたい」という情報がつまっています。

まず、付録の「困った時の Adobe Photoshop レタッチ逆引き辞典」が素晴らしい!

この手のタイトルでムックがよく出ていて、だいたい 1,000 円以上はします。今回の付録は、それらのムックと十分に張り合える内容でした。

さらに、特集の「女の子の“肌描写・重視”撮影 & プリントマニュアル」が最高ですね!

この特集には、大小さまざまの使えるテクニックが多くて、涙が出てきます(実際は無表情)。中でも、「RAW 現像 & レタッチ」のコーナが自分には刺激的でした。

そして、「真夏のビシバシ添削スペシャル」も面白い。

読者から送られてきた写真に対して、プロの写真家が「もっとこうしたら良いのに」とアドバイスを書かれている。「この写真は良い・悪い」だけではなく、具体的な修正案を示しているのがグーです。

グラビアも見どころタップリでした!

「これでお値段──ナント! 驚きの 1,180 円! 1,180 円ですよッ!(棒)」「これはお買い得ですねー!(棒)」「みなさん、この機会にぜひ! ぜひッ!(下のリンクから)定期購読をどうぞーッ!!(棒──、いやマジで)」

さて、ここからは、より具体的にオススメのページを紹介していきますね。

別冊付録

付録の「レタッチ逆引き辞典」は、写真の撮影・講師ともに、茂手木秀行氏が担当されています。

レタッチする対象の写真は、人物(タレントの橋本わかなさん)と風景とが、半々と言うところでしょうか。

茂手木氏が撮影された写真は、正直なところ、いわゆる「街角スナップ」や、渋い風景写真しか見たことがありませんでした。「あ、人物も撮られるんだ」と思ったしだいです(失礼!)。田中希美男氏(Photo of the Day)も同じ印象だったりして。

それで今回、茂手木氏のポートレイト写真を見ると──、じつに素晴らしい! モデル役の橋本わかなさんから、自然な表情を引き出しています。そのあたりの話術も、知りたかった!

レタッチに関する解説も、分かりやすくて良い。

「色かぶり」の直し方で、定番の「トーンカーブ」を使う方法のほかに、自分が大好きな調整レイヤである「レンズフィルター」を使用しています。

自分は逆に「色をかぶらせる」ときに、この調整レイヤを使っていました。そうか、逆のこともできるのか……(当たり前)。

ほかには、「ぼかし(表面)」フィルタを活用していることに注目です。このフィルタは、コントラストが「しきい値」以下の部分だけ、ぼかせる。

茂手木氏いわく、「ぼかし(表面)」以外のぼかしフィルタ全体がぼけてしまうので使わない方がよいだろう、とのこと。

──そ、そうか、これは知らなかったな……。自分の場合は、「ぼかし(ガウス)」や「ぼかし(レンズ)」を全体にかけたあとで、必要のない部分にはマスクを作っていました。今度からは、「ぼかし(表面)」を試してみます!

あとは、フリンジに注意しながら 「アンシャープマスク」をかける手順が分かりやすい。「どこまでシャープにするべきか」は、意外と見極めがムズカシイですからね。

「肌描写」特集

ポートレイトの撮影には、ものすごく気を遣います。

顔に当たる光の具合によっては、「見えてはいけないモノ」が目立ったり、背景の色が顔に「かぶった」りする。さらには、どんなに気をつけていても──モデルさんの体調によっては、お肌にトラブルができていたりします。

「では、どうしたらいいのか」──のヒントが、この特集には盛り込まれている。

──そう、あくまでも「ヒント」なんですよ。一から十まで、みっちりと解説──はしていない。初心者には厳しい、中・上級者向けの特集かもしれません。しかし、初めから「上」を見ていたほうが、上達は早い。

本特集でもっとも注目したのは、レタッチの項目です。

とくに、p.051 に掲載されている、「Photoshop 上の画面写真」には、ヨダレがだらだら出てくる(実際には無表情)。

レタッチした画像の、全レイヤを表示したスクリーンショットが載っています。各レイヤには、使用したツールやフィルタの名前がつけてある。その横に、数行の解説が簡単に書いてあります。

「──え? それだけ !?」という感じですよね。微に入り細に入り、読者に(自分に)親切に説明してくれるのが当たり前──と思って読んでいると、ビックリする。

でも、この画面写真を見ながら、「こうやってレタッチするんだろうな」「こんなツールを使うのか!」と想像しながら見るのが、じつに楽しい!

たとえば、上でも紹介した「ぼかし(表面)」を使って、白目や肌の気になる部分をなめらかにしている。その際には、「スマートフィルター」用のレイヤに変換しています。元の画像になるべく変更を加えない、プロらしい工夫ですね。

非破壊的な作業と言えば、シワなどを修正する場合に、スポット修復ブラシツール混合ブラシを、「全レイヤーを対象」の状態で使用しています。こうすると、「修正した場所以外は透明」のレイヤができる。もう一度、レイヤを直すのも簡単というわけですね。

「Adobe Camera Raw」による RAW 現像の項目では、「明瞭度」にふれています。自分も大好きなこの設定項目については、以前に記事を書きました。

Adobe Camera RAW, Adobe Photoshop Lightroom の「明瞭度」とは : 亜細亜ノ蛾

そのほか、「分かる人には分かる」テクニックがギッシリとつまっています。自分の「Photoshop 度」をはかるためにも、このページは穴が空くほど見てみましょう。

プロによる添削塾

毎月、このコーナは続けて欲しいですね。

読者投稿のページは、どの雑誌にもあります。写真雑誌だと、だいたい後ろのほうに、読者が投稿した写真が載っている。前のほうに載っているプロの写真はマンネリでつまらなくて、アマチュアの写真のほうが面白い──こともあります。

「今ひとつ」な読者の写真は、「あと一息で入選!」などと小さく扱われるか、ボツになるか、どちらかですよね。プロの「面白くない」写真は、デカデカと大きな顔をして載っているのに……。

本コーナでは、その「あと一歩」な読者の写真に、プロの写真家が改善点をアドバイスしています。

一目で「ああ……」と残念な写真は、自分でも添削する場所がすぐ分かる。でも、さらに、レベルの高い写真の改善ポイントまであって、タメになりました。

グラビア・表紙

表紙を飾っている写真は、長野博文氏が撮影した、女優の忽那汐里さんです。

グラビアのページにも忽那さんの写真が載っていて、これがまた──絶妙でした!

表紙を見ると分かるとおり、この時の忽那さんは「ニコニコした表情」ではないですよね。「笑う 2 秒前」といった感じ。そして、グラビアページには──「むっとしている」と形容しても良いくらいの写真もあります。ちょっとだけ──、こわいかも。

いかにもグラビアといった感じの、ニコッと笑った忽那さんも載っています。しかし、自分には、普通のグラビア写真では見られない表情のほうが、ミリョク的に感じました。

それに、最近は、2009 年までの長野博文氏の写真に見られた「長野ブルー」な色調は、あまり強調されていません。長野氏の新境地──と言ったところでしょうか。

いつも「ニッコリした表情」や「80 点の写真」ばかりを狙うのではなく、もっと挑戦的な写真を撮ろう。──この長野氏の写真から、そう学びました。

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