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『インサイド・マン』 (Inside Man)

court (терен)
(内側か否か──「それが問題だ」)

スタイリッシュな怪盗モノ映画でした!

ただし──、スタイリッシュ(粋・いき)でスマートなのは、「怪盗」の容姿ではありません。彼の頭脳と心意気ですね。映像はどちらかと言うと汗臭い・泥臭い場面が多いのに、怪盗が見せる切れ味によって、画面がビシッと締まります。

怪盗と対決する捜査官も小粋でしたね。

先ほどから「怪盗」なんて呼んでいますが、実際は銀行強盗なのです。銀行を襲うなんて成功率の低い事件を起こすようなバ■だ、と思って接していた捜査官が、途中から犯人の実力を肌で感じる。

銀行強盗のリーダであるダルトン・ラッセル(クライヴ・オーウェン)とニューヨーク市警のキース・フレイジャー(デンゼル・ワシントン)との頭脳戦が見ものです。

あらすじは、こんな感じです:

──マンハッタン信託銀行に 4 人組の銀行強盗が入り込み、行員と客を人質にとって立てこもる。担当の捜査官が説得するが、なかなか犯人の要求は満たせない。一方、銀行の会長から派遣された弁護士がやってきて──。

なぜ、弁護士──マデリーン・ホワイト(ジョディ・フォスター)がかかわってくるのか。観客には明かされますが、捜査官には理由は知らされません。だんだんと、観ている側にも「ただの銀行強盗ではないな」と分かってきて、いっそう盛り上がってきます。

この映画の最大の見どころは、「どうやって犯人グループが銀行から逃げるのか」。大きなトリックは 2 つで、そのうちの 1 つが素晴らしい。そのトリックは、『イーグル・アイ』と同様に、ハッキリと画面に示されています。

みなさんも、トリックの答えを考えてみてくださいね。

イーグル・アイ - 冷酷で非道な正義のヒステリー女 : 亜細亜ノ蛾

登場人物たち

主犯のダルトンを演じた、クライヴ・オーウェンが渋かった! 物語の大半は覆面をしているのですが、それだけに、たまに見せる眼光が鋭く突き刺さります。

自分は日本語の吹き替えで観ました。キースの声は大塚明夫氏が担当しています。彼の声は、聴いていてゾクゾクしますね。狂気スレスレの冷静さを持った犯人を、同じように大塚氏が吹き替えているということで、名作・『フォーン・ブース』を思い出しました。

『フォーン・ブース』 舞台は「電話ボックス」だけ! : 亜細亜ノ蛾

キース役のデンゼル・ワシントンも良かったですね。普段はチャラチャラとしていて、下品なジョークを言ったりするのに、肝心なところでは切れ味の鋭さを見せる。男はこうでなくっちゃ! ただ、ちょっと軽口が多いですケド。

ジョディ・フォスターは、あいかわらず美しい! ただ、本作品を振り返ってみると、マデリーンが出てくる意味は、あまりなかったような……。うーん、ジョディは、画面に添えるための一輪の華──でしょうかね。

脱出の手口・序章

さて、犯人たちの脱出方法ですが──、4 人のうち 3 人の方法には驚きました。そのままヤン! これには、ガッカリした人も多いのでは?

でも、じつは「銀行から出る方法」ではなく、そこから「逃げおおせる方法」のほうにトリックがあるのです。

よく考えてみると──、いくら客が何人もいたからと言って、そして極限の緊張状態とは言え、プロの接客業である銀行員が、客の顔をほとんど覚えていないのはオカシイ。銀行員と客は、だいたい半々くらいなのに。

ということで──、銀行員や客の中に Inside Man(内側にいる者・潜入スパイ)がいるとしか考えられません。

そのインサイド・マンは誰なのかも、取り調べの場面やリストを照合していくと分かるかもしれませんが、ちょっと自分はギブアップしました。下記のページも参照ください。

それよりなにより──、ほかに「巨乳のねーちゃん」がいなかったら、犯人の一人がすぐに分かってしまう。そこから逆算していけば、すくなくとも共犯者の存在には気付けます。

脱出の手口・最終章

主犯のダルトン・ラッセルが銀行から脱出するトリックですが──、やられましたね! こちらなんか、何回も何回も「作業風景」が出ていたのに、解答に結び付かなかった。映画の序盤でも、アヤシイ場面があったんですけどね。

この「正面玄関から堂々と出ていく」トリックには感心した人も多いでしょうが──、自分はすこしだけ不満です。

まず、ダルトンが「あそこから出る瞬間」は、まったくの無防備なんですよ。時間にして数十秒ですが、誰かが来たら、即・アウト。まぁ、それは「高性能・小型のマイクとカメラを仕掛けていた」と脳内補完しておきます。

次に──、ダルトンとキースが接触する場面は、最大のあやまちでしょう。あのシーンによって、ダルトンの小粋さが強調されたわけですが、自殺行為です。接触したときに捕まっていたかもしれない。

あの「プレゼント」をキースが喜んで受け取った──と思った人はいますか? それは、あり得ないはずです。

劇中に何回も、今回の事件とは無関係な「小切手の紛失」について、キースは潔白を主張してきました。最後までキースは無実を言い通し、結果的に勝ったのです。その彼が、犯罪者からの贈り物を受け取ったら、まったく意味がない。

いつかは、キースの実力で手に入れられるでしょう。

自分の中では、あのラストシーンは「主犯のヒントを得た」という笑顔だと思っています。プレゼントからの指紋は望めませんが、防犯カメラからトリックにたどり着ける。そこには指紋も DNA も残っているでしょう。

ただし、ダルトンはそこまで計算して贈り物をした、とも思います。仮にキースがダルトンを逮捕しても、銀行は──アーサー・ケイス会長(クリストファー・プラマー)は、被害を訴えないでしょう。せいぜい、営業妨害くらいかな。

やっぱり、ダルトンがあそこから出てくる場面で終わっておけば良かったな、と思いましたね。それでも、シンプルで良いトリックでした。

個人的にはもう一ひねり──たとえば、あの子どもの PSP に重大な仕掛けがあったら、もっと面白かったな。

どうでもいい余談

今回のタイトルは、ダルトンを見習ってシェイクスピアから借りました。

光るもの必ずしも金ならず - ウィリアム・シェイクスピアの名言 -ワンフレーズ

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