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パーフェクト・ストレンジャー (Perfect Stranger)

The swallowed man by the Golden Sand
(見ず知らずの人──水知らずの土地)

なかなか良くできたミステリィ映画です。

あらすじは──。仕事熱心で美人な記者であるロウィーナ・プライス(ハル・ベリー)は、特ダネを権力者にツブされて、新聞社を辞めてしまう。さらにロウィーナは、幼馴染みが殺されたことを知る。犯人の目星をつけた彼女は、友人のため・記事のために潜入調査を開始する──。

ロウィーナの標的となったのは、「広告王」のハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)です。『ダイ・ハード』シリーズとは異なるシブくて(スケベで)キザな演技が見ものですよ。

『ダイ・ハード 4.0』 非道な主人公が武士の情けを : 亜細亜ノ蛾

公式サイトを見ると、ラスト 7 分 11 秒まで、真犯人は 絶対わからない──などと書かれています。自分も分かりませんでした。ネットでは「こんなのすぐに犯人が分かる」なんて書き込む人が多いですが、半数以上は観たあとの感想でしょう。

パーフェクトストレンジャー | PERFECT STRANGER

じつを言うとこの映画は、マジメに事件の真相を追って推理するよりは、フンイキを楽しむ映画ですね。こう書くと「ムードのある映画」に聞こえますが、違います。「ヘンテコなフンイキ」を味わう映画ですね。どいつもこいつも、変人すぎる。

日本で言うと、ちょっと謎に力を入れた「火曜サスペンス劇場」というところです。

ミステリィとサスペンス

「ミステリィ」と「サスペンス」との違いはご存じですか? 両者を混同されている方も多いと思います(自分もその一人)。

どちらかというと、ミステリィは「謎解きがメイン(犯人は誰だ?)」・サスペンスは「緊張感を味わう」作品らしいですね。だから、ミステリィ要素の多いサスペンスや、サスペンスとしても楽しめるミステリィが存在する。

本作品・『パーフェクト・ストレンジャー』は、サスペンス映画として紹介されることが多いです。でも自分には、この映画を観てハラハラドキドキするよりかは、謎を追う部分のほうが興味深かった。そんなに、スリルはないし。

ハル・ベリーがキュート

この映画の 8 割は、「ロウィーナ役のハル・ベリーがかわいい!」で成り立っています(断言)。画面に初めて出てきた瞬間から、キュートな目にドキッとした。

ところが──、ロウィーナはかなり攻撃的な記者なんですね。冒頭に出てくる議員を追い詰める場面では、かなりエゲツナイ攻め方をしている。そのギャップに「引いて」しまった人は、彼女に対して悪い印象を持つでしょうね。

さらに、彼女のボーイ・フレンドが問題です。同僚のマイルズ(ジョヴァンニ・リビシ)とは必要以上に親密で、家のカギを置いてある場所を平気で教える。それなのに、ほかの恋人も家に呼んで、「夜の運動」を一緒に楽しんでいます。

──なんだか、だらしない女に見えてしまう。

そうなると、「ロウィーナは本当に、幼馴染みのためにキケンな取材をしているのか?」と疑問を持ってしまいます。この映画の根底をなす部分が弱くなって、すこし残念でしたね。

ハル・ベリーの出演作は、ほかに『ゴシカ』しか観たことがありません。気になって Wikipedia を調べると、面白いエピソードがたくさんあります。ゴールデンラズベリー賞(つまらないで賞)での一件は、最高ですね!

あと、ハル・ベリーもダメ男好きなのか……。

ハル・ベリー - Wikipedia

マイルズはやばい?

ロウィーナに協力するマイルズは、信頼に値する男には見えません。第三者(観客)から見れば、明らかに距離を置いたほうが良い人物です。

それなのに、ロウィーナは平気でマイルズを家に呼ぶんですよね。そして、肩がぶつかり合う近さで、一緒に料理を作って食べている。最初は恋人同士なのか──と思っていたら、肉体関係はノー! らしい。

日本人の感覚からすると、ロウィーナとマイルズの関係は理解しがたいですね。それとも、「いまの若いモン」には当たり前なのか?

物語が後半になるにつれて、マイルズの本性がだんだんと明らかになってきます。いかにもアブナイ趣味を持っていそうと思ったら──そのままだった。これが日本の映画だったら、彼の部屋にはアダルトゲームとフィギュアがあふれていたでしょう。

マイルズは、いい女は なぜダメ男にひっかかる?とロウィーナに言います。それはお前のことだー!!

でも、「マイルズはヘンなヤツ」が正解なので、ジョヴァンニ・リビシは良く演じましたね。ジョヴァンニは、『アバター』で気弱な責任者を演じていました。観客をいらつかせる演技が、彼の持ち味なのでしょう。

映画・『アバター』 現実の続き・夢の終わり・そして現実への帰り方 : 亜細亜ノ蛾

あわれなブルース・ウィリス

この映画のブルース・ウィリスは、ちょっとカワイソウな感じでした。

ブルース・ウィリスが演じるハリソン・ヒルは、広告会社の社長です。彼には妻がいるのに、女性社員に手を出して訴えられたこともある。ロウィーナにも光速で接近してきました。

でも、会社を裏切るような行為をした者には、容赦なく制裁を加える。会社の利益は守ろうとするのです。夫としては失格だけれども、社長としては立派にやっている。

おそらく、ハリソン・ヒルに子どもがいたら、大事にしているでしょう。彼と妻との間に子どもができなかったのが、不幸の始まりかもしれません。いや、それはこれからの努力しだいか……。

真犯人

「お約束どおりのどんでん返し」は、なかなか驚かされました。ヒントがすくなすぎる気もしますが、「一流のミステリィ読み」ならば、真相にたどり着けたはず(自分は三流)。

ただ、犯人の行動には疑問が残りました。

ようするに、犯行の動機は「目撃者を消したかった」のだけれど──、それなら埋め直すなり焼くなりして、「証拠」を隠したほうが早い

最後の最後ですべてが台無しになる終わり方は、良かったですね。こうでなくっちゃ!

どこまでも不運な犯人でした。

蛇足

今回のタイトルは、ゲーテの名言──世の中のことは何でも我慢できるが、幸福な日の連続だけは我慢できない──から借りました。「名言からパクリ」シリーズは、いつまで続けられるのか?

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの名言 - みんなの名言集

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