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『バクマン。』 106 ページ 「試合と祭」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 47 号)

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(仕事と恋とを──ハカリに載せて)

ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦先生は、『死刑執行中 脱獄進行中』や『変人偏屈列伝』といった短編集も出しています。どちらも『ジョジョ』とは違う世界を描いていて、面白い。

でも、ほとんどの人が「『ジョジョ』の荒木先生」「『ドラゴンボール』の鳥山明先生」という認識でいることでしょう。「の」の前には、無自覚に「だけ」が付いている。

「ジャンプ」出身の作家で、さまざまな作風を描いたマンガ家は、何人いるのでしょうか? どうも、長年「ジャンプ」の世界にいると、似たような作品しか描けない(売れない)気がします。

寄生獣』『七夕の国』『ヒストリエ』の作者・岩明均先生や、『ギャラリーフェイク』『ダブル・フェイス』『さすがの猿飛』の 細野不二彦先生のような──、もっと言えば手塚治虫先生のような、多芸多才な作家は今後の「ジャンプ」から出てくるのか……。

──ということに危機感を持った編集者やマンガ家が、今回の『バクマン。』や現実世界の「ジャンプ」に出てきた、「連載作家の読み切り企画」を考えたのでしょうね。

例の案…

『恋太 & ピース』の第 1 話目は、白鳥が考えた話を元にしてシュージンが書くようです。シュージンと服部が言っていたこと──ベタは基本 問題は 味付けを実践するようなストーリィになりそう。

てっきり、『恋太』の話を決めるのは、すべてシュージンかと思っていました。白鳥とも話し合って、ストーリィを作っていくようですね。

亜城木夢叶コンビの場合は、ほぼ完全にシュージンが話を作っています。サイコーは、シュージンが出してきたアイデアに意見をするくらい。

この、亜城木と白鳥とでは話の作り方を変える──という部分も、シュージンの力を付けることでしょう。ひいては、作品づくりの早さと質の高さが、亜城木作品にも生かされるはずです。

髪を後ろでまとめているカヤを見ると、どうも──安之城舞に見えてしまう。ちょうど、このページの一番下に安之城が出てきます。並べるとそんなには似ていないけれど、なんとなく、舞は亜豆よりもカヤが近い気がする。

たとえば、服部は、サイコーと亜豆との詳しい事情をいまだに聞かされていないから(冷たい話だな)、「安之城のモデルは 高木くんの 奥さんだな…… ふふっ」などと思っていそう。

いつもと違う ような ……

前のページでは、正直なところどちらも似たような絵でしたが、拡大すると一目で違いが分かりますね。この「ちょいヘタ」な絵を描くのは、小畑健さんも苦労したのでは? ──アシスタントの絵かもしれませんケド。

マンガ家になってから何年も過ぎて、描いた絵も何千・何万枚となっているだろうサイコーにも、いまだに新しい発見がある。なんだか感動的です。きっと、絵を描くこととは、「極める」ことがない世界なのでしょうね。

そういう目で見ると、このデッサンが狂った「残念な安之城舞」も、味わい深く思えてくる。数年後──いや数日後のサイコーは、この時の絵を笑い飛ばせるくらいに上達しているでしょう。

「恋太」 やって くれるのか

服部の会話術は、さりげなくて効果的です。

まず、シュージンが『恋太』の原作を引き受けてくれたことは、服部は軽く流している。──現在、「ジャンプ」で人気マンガの連載をしている原作者に、新人作家の連載も任せるなんて、よく考えるとリスクがありますよね。

しかし、あえて「当然のこと」として受け入れることで、今後もムリそうな依頼をしやすくなるわけです。

次に、「人気作家読切祭(スーパーリーダーズフェスタ)」のことは、ますます 君達には 関係なくなるが、と服部は切り出している。作家には伝える必要があるから、仕方なく話す──と暗に伝えているわけです。

ようするに、「『恋太』をがんばれ、読み切りはやめておけ」と服部は言いたいわけですね。遠回しではなく直接的に要件だけを伝えて、なおかつ自分の意のままに相手を動かす──。

これが港浦だったら、『恋太』の原作を書くことには異常に反応して、読み切りの話は隠していたりして。そうすることで、亜城木の 2 人から不信感をもたれることに気がつかず……。まぁ、今回はどの道、あのような結果になりましたケド。

こんなにも何回か名前が挙がってくる新井先生は、どんな作品を描いているのだろう? すぐに打ち切られるけれど次々に新作を出してくるところは、亜城木夢叶と似ている。

それより何より、平丸と蒼樹の連載終了を聞いたのに、まったく無反応の亜城木コンビです。サイコーはいつものこととして、シュージンも冷たいなぁ。

最近の寒風は、この仕事場から吹いてくるのでしょう。

やりたいネタが あるんです

エイジが原稿にインクをこぼすなんて、信じられないようなミスですね。たとえるならば、イチロー選手がグローブやバットを間違って捨ててしまうようなものです。

以前にも書きましたが、用紙にインクで原稿を描いて、編集者が手足で編集部へ運ぶ・または郵送する──なんてシステムが毎週のように機能しているなんて、あり得ない奇跡だと思う。この点が整備していなくて、マンガが発行できない国もあるかも。

バクマン。 #98-2 「握手と手直し」 立ち話と裸で逆立ち : 亜細亜ノ蛾

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思った通り、「現状維持」が座右の銘である港浦は、岩瀬が「読切祭」に参加する可能性なんて考えていませんでした。岩瀬の意見にも、初めから「ムリである理由」を探している。

港浦の気持ちもよく分かります。岩瀬が読み切りを描くメリットは、何もない。シュージンへの対抗心だけです。それでも、挑戦しようとする作家に向かって、否定的なことばかりを言うのは良くないことだと思う。

港浦は、人を育てるタイプではありませんね。

服部や相田から「育ててもらっている」という意識が、港浦にはないからでしょう。そういう人間には、育てる側も力を入れない。悪循環です。

「──などと無職の男は言っており、」

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