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『バクマン。』 107 ページ 「合ってるものと好きなもの」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 48 号)

Peanut Butter Cup Heart
(ぎこちなくも愛らしい──切り口)

あいかわらず蒼樹紅は美しい!

今回は、見開きの 2 ページを使って、何通りもの蒼樹が出てきます。『青葉の頃』の表紙にも、蒼樹にソックリの女の子が出てくる。注目して欲しいのは、ほとんどの表情が「口を半開き」であることです。

「ギャルゲー」だとか「エ■ゲー」と呼ばれるジャンルのゲームを初めとして、美少女たちが出てくるマンガなどでも「口を半開きにした女の子の絵」がよく描かれる。会話の途中であることを表現するためか、愛らしい・悩ましい表情になるためか──。

でも、みんな同じ口の開き方でゲンナリする。

ようするに、「(^▽^)」というアスキー・アートで置き換えても大差がない絵ばかりなのです。極めし者の絵は、「判子絵」などと呼ばれたりする。

今回の蒼樹は、みな似たような表情のはずなのに、どれも違う印象になっています。口の開き方だけではなく、顔の角度や手の位置も違う。小畑健さんの画力を充分に生かしています。素晴らしい!

申し訳ない

このページに出てくる蒼樹の良さは、絵の力だけではなく、ネームのすごさも重要です。蒼樹が光栄に感じたり、疑問に思ったり・楽しそう・うっとりとする──、さまざまな感情を彼女から引き出している。

最近になって『バクマン。』を読み始めた読者は、「蒼樹という女の子は、表情が豊かな人なんだな」と無意識にすり込まれたことでしょう(実年齢? 初登場でハタチ? なんのことです?)。

そう、『青葉の頃』を連載する直前に、シュージンや福田と電話をしている蒼樹を思い出してください。いろんな蒼樹紅──青木優梨子が見られました。彼女は「無表情でクールな女性」ではなく、面と向かって人(おもに男性)と接することが苦手なだけです。

「生理的にムリ」と嫌っていた山久と、蒼樹は(一見すると)楽しそうに会話ができるようになりました。平丸とも 2 人きりで会う約束をしている。これは彼女が社交的になって男性不信が治ったのか、それとも何か別の理由か──。

たとえば、フツーに福田と付き合っていたりして。

2 年続いた ヒット作

きっかけはサイコーと亜豆との恋愛話を元にして、『青葉の頃』の読み切りは描かれました。その時は、本当に丸ごと他人の人生をパクっていたのです。「かわええ顔してよーやるわー」という言葉がピッタリと合う蒼樹さんでした。

ところが、『青葉の頃』の連載はこれほど長い間(ちょうど『バクマン。』の今ごろや、『DEATH NOTE』の全巻くらい)続けられたのだから、蒼樹の創作力は相当のものだったわけです。福田(と便乗した平丸)のアドバイスも的確だったのでしょう。

実力を付けた蒼樹紅は、どんな作品を描くのか。

エッチ路線に頼らず 違う切り口で、しかもファンタジー色の 強い恋愛物を蒼樹は描くという。「ジャンプ」では、あまり見ないジャンルのマンガですよね。挑戦しがいのある題材です。

どうも蒼樹を見ていると、『いちご 100%』や『初恋限定。』・『あねどきっ』の作者である河下水希さんを思い浮かべてしまう。

2 人とも女性の作家だし、作品の傾向も似ている。ファンタジィな恋愛物を、河下水希さんにも描いてもらいたい!

りりむキッス

やる気満々

岩瀬──秋名愛子が読み切りを描くことを、港浦は反対していました。

ところが相田は、秋名くん 本当に エントリーして くれるのか? と言っている。どちらかというと、ぜひとも読み切りを描いて欲しい──という口ぶりです。そのほうが「ジャンプ」のためになるという考えなのでしょう。

おいおい、また港浦ひとりが違う意見なのかよ!

そんな港浦とよくじゃれ合っていた山久が、いまはまったく距離を開けている。これは別に「以前は仲が良かったけれど、いまは仲が悪い」のではなく、ただ単に「別の編集者のことには、仕事中に口を出さない」だけでしょう。

「オトナになる」って、さみしいモンだな……。

今年これで 終わりですけど

マンガのアシスタントよりも、マンガの司会進行のアシストが得意な折原です。それでいいのか……?

シュージンは人当たりが良いけれど、自分から積極的に話すタイプではありません。「ジャンプ」で一番の冷血漢であるサイコーは、言うまでもない(今回も折原を意識的に無視しているはず)。カヤがいないと、本当に静かな仕事場ですね。

それに、構図の関係なのか休んでいるのか、白鳥と森屋の姿も見られない。森屋はともかくとして、「『白鳥編』が終わった」という感じがします。今後の白鳥は、たまにシュージンとの打合せだけ顔を見せる──となるのでしょうかね。

たとえば高浜のように、良いキャラクタでも容赦なく消していくマンガです。たぶん、キャラの人気投票なんて想定していない作り方なのでしょうね。

ちょっと 外出てきます

──と思ったら、白鳥はちゃんといました。でも、ちょうどうまい具合に(マズいことに?)森屋は隠れてしまっている。森屋は、どんどん背景と化していくなぁ……。アクが強くて好きなんですけどね、彼は。

このページからしばらくは、「サイコーは何が好きなのか」を悩むことになります。地味な話だけれど、自分はものすごく好きだ!

主人公が自分の人生を振り返るなんて、「ジャンプ」ではなかなか見られません。せいぜい、「自分はなぜ負けたのか→弱いからだ!→修行(→ドン!!!!)」くらい。

それはそれで、「少年マンガ」らしいのですが、そもそも「少年」って悩みの固まりですよね。それなのに、少年が悩むことをテーマにした作品は、むしろ(昔の)少女マンガのほうが多い。

同性からすれば「悩んでいる男」なんて見たくない──ということなのか……。それもそうですね(いつものように自己解決)。

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