• 更新:
  • 投稿:
  • カテゴリィ:

『バクマン。』 120 ページ 「ネットと顔」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 11 号)

Presidential Motorcade Route Ends Here - Ottawa 18 02 09
(寄せ集めでも──世界は作れる)

「ジャンプ」の編集者の中で、マンガ家の才能を見抜く目が一番優れているのは、間違いなく吉田です。名前と絵柄を変えて描かれた新妻エイジの作品を読んで、作者を当てられたのは吉田だけでした。

バクマン。 #71-3 「才能とプライド」 運命の日と次期班長 : 亜細亜ノ蛾

その吉田は、七峰の弱点をすでに見透かしています。七峰たちの作品に個性がないのは、複数人で作っているからでしょうか。それとも、七峰や「判定人」たちには、新しいアイデアを生み出す力がないのかもしれません。

数多くの作品が世に出ている現在、どこかで 見たような アイディアや台詞の 寄せ集めの作品になってしまうのは、ある程度は仕方がない。しかし、それでも作者に力があれば、個性がにじみ出てくるはずです。七峰には、その力が(まだ)ない。

ただ──、無個性だけど面白い作品と、個性的だが面白くない作品とでは、どちらを読みたいですか? おそらく多くの読者は前者を選ぶと思う。

まだ読み切りの 速報ですから…

七峰は 10 年に 1 人の逸材だ──と相田は話しています。気になるのは、頭に今度こそがついていること。七峰ほどではない才能の持ち主は、誰だったのでしょうね?

『バクマン。』で一番の天才は、平丸だと自分は思っています。努力もせずに面白いマンガを描ける──という点が大きい。

バクマン。 #111-3 「口出しと信頼」 余計なものと白紙のページ : 亜細亜ノ蛾

エイジはキャラも ストーリーも ほとんど考えずに 出てくるタイプだから天才なのは間違いないけれど、彼は小さなころからマンガを描き続けていました。言ってみれば、努力の結果です。

そこで自分は、エイジを「努力型の天才」・平丸を「天才型の天才」と呼んでいる。

自分の中では最高の評価をつけた平丸ですが、プロの編集者・吉田に言わせると、君は 2 ~ 3 年に 1 人の逸材なんだ! ──とのこと。編集部の中では、七峰は平丸以上の天才と見られているようです。

この「マンガ家品評会」に関して(だけ)は、港浦が素晴らしいことを言っている。何年に 1 人か 知らないけど すごい才能は 間違いない──と。班長である相田の言葉に対して、堂々と皮肉を言う港浦はすごいな!

本ちゃんも 1 位だ

チャットの画面を見て、気がつきました。七峰がピザの宅配でアルバイトをしていることを、判定人たちは知っている。おそらく、ある程度の信頼を判定人たちから得るために、七峰が自分自身のことを話したのでしょう。

でも──、「特定した」だったらこわいな……。


亜城木夢叶の仕事場とは対照的に、七峰の自室はマンガ家らしくない。作品を描くための資料が見当たらないのです。「ジャンプ」がすこしだけ置いてあるくらい。

ただ、情報はウェブから手に入るし、CD や DVD の資料もある。高浜も、ネットで調べていた情報から連載を立ち上げました。プロの現場でも「本だらけ」は減っていきそうです。それに、亜城木たちも、新しい本を大量に購入しているとも思えない。

七峰のパソコンの隣には、タブレット用のペン(らしき物)が見えます。コンピュータで作画をしているのでしょうか。七峰の場合は未確定ですが、今後はデジタル入稿が増えるはず

「いやいや、まだまだアナログのほうが主流だろう」という人のために、下のページを紹介します。「週刊少年ジャンプ」も、すでにデジタル化が進んでいる。

Adobe - ADOBE DESIGN MAGAZINE
ユーザ事例: 株式会社 集英社 - Adobe - ADOBE DESIGN MAGAZINE

「マンガ家の仕事部屋は、スクリーントーンや原稿用紙・インクだらけ」も「出版社と写植は切っても切れない関係」も、すべて過去の常識になる。

「爪の間や髪の毛からトーン→同人活動バレ」もなくなるし、ありがたい状況かと思います。みんなもタブレットを買おう!

より面白く 改良しました!

探偵・小杉の誕生です。会話のこまかい違和感から七峰の秘密を暴いていく──という感じ。ここから先はミステリィ的な探り合いが始まって面白かった。ちょっと『DEATH NOTE』っぽかったですね。

今ひとつ頼りにならない編集者の小杉ですが、ただボケボケしているだけはないようです。その洞察力が作品に生かせるようになるのは、いつのことになるか分からないけれど。


話の都合上だとは思いますが、「なぜ七峰の作品はそんなに早く できるのか」という疑問を本気で調べようとしたのは、小杉だけでした。マンガ家の面倒を直接見られる編集者は担当だけ──といったルールも関係しているのでしょう。

これまた「前例がない」からでもあるけれど、七峰のようなシステムで描いているとは誰も考えていない。でも、連載を始める前に「本当にいまの状況で連載を始められるのか」を調べる必要はあると思う。今回の小杉のように。

連載の途中で「週刊少年ジャンプ」を去ったマンガ家も何人かいますからね……。ほかの雑誌に連載を移して、月刊ペースで続いていることも多い。

週刊ペースで──「ジャンプ」で連載を続けていくのは、先の見えない山道を歩き続けるような過酷さなのでしょう。途中で「人生の遭難」にあう人もいるくらいだし……。

ネーム見に 担当が来る

小杉が自分の家に来ることを、露骨に表情が変わるほど七峰はイヤがっている。これには疑問が残りました。

この時点では、本当に小杉が探偵のマネ(どこかの「世界一の名探偵」みたいに盗聴器やカメラを仕掛ける)でもしない限りは、判定人がバレるとは思いません。だから、なぜ七峰が小杉を呼びたくないのかが分からない。ほかに見られたくないモノがあるわけでもないし。


七峰の部屋は、床が市松模様(白と黒のチェック)になっている。これは、彼の二面性を表しているのでしょうね。

彼が使っているパソコンの画面を見ると、ウェブ・ブラウザ(IE)の画面を多く開いた状態(タスクバーにウィンドウ名が大量)になっています。こじつけかもしれませんが、これも七峰が「多くの情報をまとめる」役だからかも。

どうですか !?

小杉の前でも、だんだんと七峰は本性を隠さなくなっています。最初からその傾向はあったけれど、小杉の意見なんて 1 ナノメートルも聞いていない。

主人公が パッとしないのは計算で描いた──といったことを七峰は話している。これは本当でしょうかね? その気になれば魅力的な主人公を動かせる──のであれば素晴らしい。

それにしても、ありがちなアイデアで・キャラが弱くて・でも面白いマンガって──、あり得るのかな……。主婦向けの 4 コママンガみたいな感じ?(偏見)


ちょっとした失言から、判定人の存在に小杉探偵はたどり着きます。この演出は、ちょっとわざとらしかった。七峰のほうから普通に白状したようにも思えます。

ただこれは、探偵の尋問が効果的だったからだ──と思いたいですね。徹底的にしつこく質問している。自分が七峰の立場だったら、ウザくて正直に話したくなります。

さて、探偵に追い詰められた七峰は──。

[2] このページの一番上へ戻る