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『バクマン。』 122 ページ 「心理戦と決め台詞」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 13 号)

ゆうこりん人力車
(夢をのせて未来へ──行けるかどうかは知らない)

他人に無関心で冷血漢のサイコーは、七峰のことを強く敵視しています。普段は思いやりのあるシュージンまでもが、作品で七峰を潰す──と熱くなっている。

このように意識された「敵」を、われわれマンガ読みは何人か知っています。ベジータクロコダイン我愛羅など──。つまり、今後の七峰がどうなるか、想像がつくというものです。


──と書いておいて台なしですが、「敵から仲間になった登場人物」の名前を複数の作品から挙げることは、意外とむずかしかった。

『ドラゴンボール』からは、ヤムチャや天津飯・ピッコロ・18 号──とゴロゴロ出てくる。この偉大すぎる名作の影響によって、「ジャンプ」のお約束が語られているのかもしれません。

めだかボックス』は、意外と構造が『ドラゴンボール』に似ています。「敵から味方」のパターンも多い。さすが、「アンチ『ジャンプ』マンガ」と呼んでも差し支えがない作品ですね!

どうするのが 一番いいか

前のページを読んだ時点では、ここで多くの「判定人」たちが脱退するのかと思いました。つるんで行動する人たちなら、辞めるときも同じ時期だろう──と。

ところが、七峰透の本当のピンチはまだまだ先のようです。今回で抜けた「判定人」は 2 人だけでした。この先、同じように「脱・判定人」が出てきたとしても、ストックは十分にいる。人数不足で行き詰まることは なさそうですね。


これだけ「イヤなヤツ」として描かれている七峰ですが、成長の過程や思考は亜城木夢叶にそっくりです。どうやったら自分のマンガを面白くできるか常に考えたり、勝負の 2 話目が重要であると気がついたりしている。

なにより、両者ともガンコです。

それに、サイコーも最初は憎たらしかった

新妻エイジは、七峰のことを亜城木夢叶 2 世と言っている。またしてもエイジは(マンガを読んだだけで)本質を見抜いています。

だからこそ、亜城木と七峰は良きライバルになれるはず なんですよね。いまのところはお互いに敵対関係になっていますが……。

小杉 まだいたのか

せっかく七峰の連載が決まったのに、仕事減らして もらえない──と小杉が嘆いています。これはいつもの「前例がない」でしょう。ほかに仕事があろうとも、企画のページは新人がやるべきだ──と。

小杉と七峰が、前例をたくさん作って欲しい。


学校の部室で話しているような服部と小杉です。小杉に悪意はないと信じているから、服部は強く注意するような口調ではありません。

しかし、七峰のやり方をわかっていて 連載会議に出した 小杉の責任は、いつか問われることでしょう。そうなると、知っていて上司に報告をしなかった服部も──という負の連鎖を感じてしまいます。

編集に一番 必要なのは

編集に必要なのは マンガを作る力じゃ ありませんよね? と聞く小杉と、それが必要なのは 作家の方だろうと当然のように答える服部のおかげで、いままでモヤモヤしていた気持ちがスッキリしました。

「七峰編」よりも前から、編集者の仕事には疑問を持っていたのです。マンガの構成から内容にいたるまで、編集者は作家に口を出している。たんなる「アドバイス」という基準を上回っていて、「マンガは編集者が作る」と言っているかのようです。

そのあたりを、かつての港浦は勘違いしていました。彼がウザく思えた原因は、マンガの内容に踏み込みすぎたからです。サイコーとシュージンにムリをさせて、貴重な才能と時間を無駄遣いしてしまった。

服部は亜城木の好きなように描かせるし、雄二郎は放任主義です(放置しすぎとも言う)。平丸のことを完全に支配している吉田だけれど、じつは作品の内容にはほぼ触れていません。この距離感が大事なのです。

作家・作品との距離を測り間違えると、新妻さんに 「CROW」 は描けても 港浦さんには 描けない(『バクマン。 (7)』 p.80)と突っ込まれてしまう。いま考えると、吉田はあの場面で「それは編集者の仕事じゃない!」と言うべきだったのかも。


マンガを 見極める目が大事だという小杉の言葉は、素直に納得ができます。作品のどこが面白くて どこがダメなのかを見抜くには、文字どおりに山ほどのマンガを読むべきでしょう。

天才・平丸一也のように「マンガを読まないマンガ家」は存在しても良いけれど、編集者がマンガを読まないなんて論外です。「オマージュという領域をぶっちぎったパクリ作品」が世の中にあふれているのは、知識がない編集者のせいだ──と極論を言いたくなる。

小杉 自信を持て

事情がここまで分かった上で、七峰に才能があるのも 確かだ──と服部は言っています。彼のマンガは本当に面白いとしても、七峰ひとりの才能ではない──と思った読者も多いのでは?

「マンガ監督」としての統率力と、それを考え出したアイデアのほかに、七峰の才能はどこにあるのか──。現時点で、明確に描かれています。その 1 点があるから、七峰はマンガ業界から消えないのでしょう。

それは何か──を書くのは、2 日後かなぁ……。

生きているかーーーーーっ

今週号で 2 番目に驚いたのは、このページです。1 番は言うまでもなくラストですね……。

何にビックリしたかというと、俺の 平丸くんーー! と吉田が叫んでいる!! ああ、とうとう言っちゃったか。

最初の連載会議からして、平丸に対する吉田の気に入りようは すごかった。早い段階から主従関係を築き上げていたり、何かあるとすぐに飛んできたりして、もはや編集者とマンガ家の関係ではなく、肉親以上です(あるいはペット)。

そして、どうやら酔いつぶれていたらしい平丸は、吉田の声を聞いて目覚めしている。吉田氏ではなかったら、あぶなかったかも? コップで入水自■をしている(?)ラッコ 11 号と、同じ道を進むところでした。

この 2 人は、いつまでも仲の良すぎる関係でいて欲しいです。もしも平丸の担当が吉田じゃなくなったら、2 人ともオシマイになりそうな気がする。同じ恋愛関係で担当を決定した岩瀬・服部の例があるから、大丈夫だとは思うケド(同じではねェよ!)。


あいかわらず素でユリタンと呼んでいる吉田が面白い。蒼樹と会ったときに、ポロリと言ってしまったら大笑いです。

ただ、ちょっと意味が分からないのは、平丸がユウコリンと間違えたこと。単純にギャグだとは思うけれど──、なぜ こりん星人? 語感から言えば、コニタンのほうが近いのに。

──と書いていたら、「コニタン」と「こにたん」がいることに気がつきました。なんだか、とっても懐かしい感じがする:

平丸が言い間違えた「片仮名のユウコリン」は、芸能人とは別の人物である──というミステリィ的伏線と見た!

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