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『モーテル』 (Vacancy)

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(晴れやかなモーテル──はエンディングのあとだけ)

たまたま泊まったモーテルで殺人鬼たちに襲われる──というストーリィのホラー映画です。邦題と内容からして、『ホステル』と似ていると思いますよね? 観てみると、まったく違った印象を受けました。

どう違うのかは、あとで書くとして──。

主人公のデイヴィッド・フォックスを演じるルーク・ウィルソンは、見事な演技を見せてくれました。自分が大好きな映画・『26 世紀青年』も本作品も、彼の演技力で支えられている。好きな俳優の 1 人になりました。

主人公の妻であるエイミー・フォックスは、ケイト・ベッキンセイルが演じています。ものすごくキレイな女優さんで、とくに「そういう場面」でもないのにセクシィさを感じました。彼女を見るためだけでも、本作品の価値はあります。

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オープニングとエンディング

最初と最後のクレジットタイトルが、最高に格好いい! 昔の映画のような演出らしいですが、十分に現代的でスタイリッシュでした。「CIA☆こちら映画中央情報局です」の記事を読む限りでは、クエンティン・タランティーノ監督が好きそうなクレジットです。

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YouTube - Vacancy opening sequence でじっくりと動画をご覧ください。

憎たらしいフロント

フロント係のメイソンは、「あれ? ゲイリー・オールドマン!?」と見間違えました。味のある演技を見せたのはフランク・ホエーリーです。

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彼は、うさんくささ全開で、どう見ても あやしい。もしもメイソンが正義の味方だったら、それこそ脚本家はつるし上げられる

同じテーマの映画

本作品と邦題が似ている『ホステル』のほうは、「もしかしたら旅行先で、こんなおそろしい目に会うかもしれない──」という恐怖感を上手に演出しています。スプラッタな場面も多く、ホラー・ファンは大満足の映画でした。

同じような主題の『96 時間』も素晴らしい。「旅の恥はかき捨て」なんて恥ずかしい言葉だ──と再認識できました。

96 時間 - 空気と光と家族の愛──これだけあれば親父は走れる : 亜細亜ノ蛾

脚本が問題

では、『モーテル』はどうかというと──、『26 世紀青年』に主演したルーク・ウィルソンが、またおバカさんたちと戦う映画です。でも、おかしな人なのは、登場人物だけではなかった……。

26 世紀青年 - 教育よりも刺激を求めた末の世界 : 亜細亜ノ蛾

そう言えば、主人公がヒロインとベッドで話す──という場面が『モーテル』に出てきて、『26 世紀青年』を思い出しました。監督は意識していないと思うけれど。

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『26 世紀青年』は、登場人物はヘンな人たちばかりだけれど、映画としては しっかりと作られています。「──いまの演出は何?」という引っかかる部分がすくなくて、大笑いしながら安心して見られました。

ところが──、『モーテル』のほうは、出てくる人はともかくとして、脚本も演出もおかしい。主人公たちを襲う殺人者の行動が、マヌケすぎるのです。マジメにやっているのか──と画面に向かって怒りたくな る。

なんのために閉じ込めた?

本作品の「どこが問題か」は、観ればすぐに分かるはずです。分からない人は──それはそれで幸せかもしれませんね。最近、大量に買いだめをしたり、ヘンな書類にハンコを押したり、よく分からない情報源のウワサをリツイートしたり──していませんか? 大丈夫?

一例を挙げると、すぐ見える場所に「弾が込められた拳銃」を置いておく──とかね。でも、これはまだ、モーテル側の人間が不用心なだけと言える(それでもヘンだぞ)。

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もっと致命的なのは、「ビデオカメラで撮影できない場所へかんたんに客が行ける」ことです。

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メイソンは、殺人よりもビデオ撮影を楽しんでいる。それが目的でモーテルを経営しているはずなのです。それなのに、カメラの場所がすぐに分かって隠せたり、ビデオに映らない場所があるのは、どう考えてもありえない。何百本も殺人ビデオを作ってきたのに。

行動原理と美しさ

たとえるならば、「レクター博士が憎い相手を毒殺する」ようなチグハグさです。

──『羊たちの沈黙』や『ハンニバル』に出てくるハンニバル・レクターは、侮辱した相手を料理して食べる。その行動を取る原因は、小説版の『ハンニバル』にちゃんと書かれています。だから、彼は絶対に「食べらる殺し方」をするはず。

『モーテル』を観ると、「異常者だから、行動が異常で当たり前」と言っているように感じました。そのような俗物的な考え方には、美学がない。

悪趣味な特典

DVD(とおそらくブルーレイ)には、劇中でテレビに映った殺人の風景が、特典映像として まとめられている。これが非常に良くできています。この部分だけを見たら、本物かと思うくらい。

ただ、最初に出てきた犠牲者は、ちょっと笑えました。下の画像で分かるとおり、いかにも筋骨隆々といった黒人のコンビです。

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ヒョロヒョロの殺人者たちに追われて、2 人はキャーキャー言いながら逃げている。──まぁ、武器を持った異常者に襲われたら、誰でもこうなるとは思う。でも、スタンドやソファを放り投げるくらいは できたのでは……。

マッチョに見えるけれど、こんなモーテルに男 2 人で泊まりに来ると言うことは──、そういうことなんでしょうなぁ。

余談

今回のタイトルは、久しぶりにゲーテから借りました。でも、下の言葉は、自分には理解ができません……。

行動するものはつねに没良心である。

省察するもの以外、誰も良心がない。

Fesh 名言集 - ヨハン・ゲーテ 名言

2 行目はともかく、1 行目が「没良心」になる理由が分からない。「考えないで行動する」ことを責めているのでしょうかね。それを自分の頭で考えろ──ということかもしれません。

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