『バクマン。』 130 ページ 「熱と灰」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 22 号)

Akira Toriyama Autographs 125
(もらって誰もがうれしいサイン──を目指して)

自分は、同窓会にはイヤな思い出しかありません(誘われなかったり恥をかいたり)。でも、「ジャンプ」の売れっ子マンガ家であるサイコーは、さぞかしモテモテなのだろうと、

──そう思っていたのに……。

いきなり不安をあおる書き出しはさておき──、「週刊少年ジャンプ」で同窓会ネタは、かなり珍しいですよね。登場人物と対象読者の年齢が高めな『バクマン。』ならではの話です。ほかのマンガでは、『こち亀』くらい?

学園が舞台のバトルマンガで「のんきに殺し合い」をしている人たちは、進学・就職活動が大変そうだなぁ……。10 年後、彼らには何が残っているのだろうか。

シュージン 遅いな…

久しぶりに登場(?)した亜豆は、また回想シーンでの一コマでした。壁から顔を出して目をつむっている姿は、かわいいような、こわいような……。半透明になっているから、幽霊のようにも見える。

お互いに遠距離で思い合うだけで、電話もメールも極力しない関係は、幽霊と大差ないような気がします。

ただ、普通の恋人同士の付き合いをしていても、サイコーも亜豆も仕事が うまくいっていて忙しいから、会える機会は すくないはずですけどね。どちらにしても「心以外は遠距離恋愛」になるのか。


カヤは、ヤキモチ焼きのわりには、シュージンに他人と交流させようとしている。根っからの良い人ですね。もう、浮気の心配はしなくなったのかな。

でも、シュージンもかなり心配しているし、具合が悪い時くらい、カヤは「ダンナ様」にもっと甘えても良いと思う。──描かれていないだけで、十分イチャついているかもしれないけれど。

香耶ちゃん 大丈夫かな

鈴木は、典型的な「リア充」キャラですね。サイコーが「亜城木夢叶」であることをバラしたのも、おそらく鈴木なのでは?

違うクラスになった人たちの同窓会に参加しているのも、「亜城木バラし」をしたのも、たぶん、鈴木は「良いこと・許されること」として普通にやっている。そう思わせるだけのコミュ力(りょく)を感じました。

──なんだろう、このわき上がる感情は……!

この会にいる半数以上は、「ジャンプ」などという「子ども向けのマンガ雑誌」なんて、いまは読んでいないでしょうね。それでも、身近なところで「有名人」が出ると、それまで交流がなかったのに仲良くしようとする。

──なんだか、モヤモヤするなぁ……。

さすが プロ !!

亜城木夢叶のサインは、「木」を書き忘れてあとから足したような感じで、ちょっと面白い。

ちゃんとコミックスを購入してからサインをお願いする人がいて、サイコーと同じように うれしくなりました。

──ということは、クラス会の前から、「真城・高木 = 亜城木」は知られていたのか……。これには違和感を覚えました。ペンネームをわざわざ考えて亜城木たちは隠していたのだから、本当に親しい人にしか「正体」を明かしていないはずです。

だれがバラしたのだろう? すべて鈴木の犯行


私達と 住む世界が 違うという言葉には、悪意がないだけに──タチが悪い。遠回しな差別発言とも取れます。サイコーのことを、なんの努力もせずにお金を手に入れた──「宝くじが当たった人」みたいな扱いをしている。

好きなこと やって食べていけるなら理想だけれど、なかなか甘い話はありません。

ただ、新妻エイジなら、「好きなことだけやって成功しました!」と心の底から叫べるかもしれない。サイコーも読者も、そういうエイジ像に期待する。

「ボクだって 苦労してるんですよ……」とため息混じりに語るエイジ──は見たくないなぁ……。

合コンって したことないし

このブログでは、ことあるごとに「まったく遊びを知らない亜城木コンビ」をネタのように書いていますが──、こうやって作中でハッキリと描かれると、なんだか 2 人が かわいそうに思えてしまう。とくに、こんなに接近して「口撃」(こうげき)されると……。

マンガ家は遊びまくっているというイメージは、どこから来ているのでしょうかね? どちらかと言うと、それは「バブル期の編集者」という印象です。もう絶滅したはずですケド。


けっこう予想どおりに、「いちこちゃん」はセクシィな美女になっていました! この場にいないシュージンは残念でしたね。カヤとしては、そのほうが良かった(命拾いをしたのは、シュージンのほうだったりして)。

直井いちこは、お酒をつぐ役をすぐに買って出たり、軽く「先生」と言ったりして、「そういうお店」に働いていることを想像させる。──もしかして、中井巧朗や静河流が行ったお店にいたりして !?

単にお酒が 飲めないだけ

こうやって感想を書いていて、あらためて気がつきましたが──、同級生の「マンガ家って遊んでるんだろ?」が何度も何度も何度も何度も出てきて、すげーウザい! 違うッつってんだろ! ──とサイコーの代わりに言いたくなりました。

──これって、作者の心の叫びなのかな……。


過酷な勤務状態の会社があることを、最近は当たり前のように聞きます。このクラス会に参加した人の中には、そんなブラック企業に勤務している人はいないようですね。「マンガ家を うらやましいと思う熱」が、一気に冷めている。

ここでサイコーが、わざとインクまみれの手を見せて、「いや、俺、骨折できない身分なんだよね―(ドヤッ」と地獄のミサワ的なリアクションをする人なら、まだ笑えるけれど……。

ようやく、サイコーの境遇をどうやって手に入れたのか──が同級生たちにも分かったようです。サイコーが寝ないで執筆して倒れた話を聞いたら、余計にマンガ家と自分との距離を感じるはず。

それと同時に、将来はマンガ家を目指す読者たちにも、ずっしりと重みが伝わったことでしょう。当初は「マンガ家育成マンガ」と思われた本作品を読んだら、将来の夢をあきらめる若者が増えるんじゃないかな……。

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