『バクマン。』 131 ページ 「模倣と無意識」 (週刊少年ジャンプ 2011 年 23 号)

!!!!!!!Muchas Gracias!!!!!!!!
(ホワイトデーには──面白い味のキャンディを)

自分が新しいマンガに手を出す場合は、絵で選びます。まず、「雑な絵」は却下する。どうも「ギャグマンガは絵が雑でも良い」という風潮が大正時代くらいからあって、そろそろ滅びて欲しい。

──いや、どちらかと言うと、「キミは絵が雑だから、ギャグマンガを描きなさい」という編集者がいるのではないか、と思うくらいです。そういう「ヘタウマ」から「ウマ」を引いたような絵は、ずば抜けたセンスを持った作家だけに許されるべきでしょう。

あとは、どうしても受け入れられない絵柄もある。これも「雑」に入りますが、「極端に ゆがんでいる絵」はダメです。意図的に「絵のウソをついた構図」は好きだけれど、不自然に狂ったパースは、パスしたい。(ドヤドヤァ

そうは言っても、苦手だった『カイジ』も今では大好きなマンガだから、最後には話の魅力が勝つ。絵から入って、話で決める──という感じです。これは、どんな人でも同じじゃないかな?

マンガもアニメも映画も小説も、すべてはストーリィの魅力で人を引っ張っていく。舞台は役者の力が観客を呼ぶそうだけれど、これも「役者の人生という物語」を観に来るのでしょう。

物語の力をマンガの世界で生かす可能性を信じて、シュージンはこれまでやって来ました。つまらない事件で、台なしにされませんように──。これは、すべての作家に対しても願うことです。

ホワイト & ホワイトデー大作戦

シュージンは、原作の出来栄えをかなり気にしている。彼にしては珍しい態度です。サイコーの前くらい、シュージンには堂々としていて欲しい。

サイコーはこの原作に不満を持っているけれど、面と向かってシュージンに言わず、服部に相談しています。これも彼らしくない。シュージンを傷つけないための行動だとは思いますが、まるで「やっかいな人を相手にしている」みたいに見える。

今までとは 少し違うな…

サイコーや服部・読者が思っていた以上に、シュージンは事件のことを気にしています。だから、「ぬるい」話を書いた。

ただし、ほのぼのとした展開が悪い──というわけではありません。ただたんにキャンディーを 配るだけの話でも、面白く描けるはずです。

なにしろ、部室で 3 人が しゃべっているだけでも面白いマンガはある。アニメにまでなりましたからね!

今週の 本ちゃん ………

右のページから 1 ページ分しか進んでいないけれど、実際には 2 週間ほど時間が過ぎています。「アンチ銀行強盗事件」なんて、もう 3 週間も前になっている。

いまの時期に『PCP』の順位が落ちたということは、けっきょく、模倣犯が起こした事件は順位に影響しなかったことになります。すでに、世間では話題にすら挙がっていないでしょう。

読者は、あくまでも作品の質で評価する。

──いつも、ではないけれど。

もしかすると、事件によって『PCP』を知り、「読んでみよう」と思った人が いたかもしれない。そんな人たちがこの作品を不本意な形で読んだら、ガッカリしたでしょうね。

僕は逃げずに ………

今回で一番の問題は、人気が下がった原因を、シュージン自身が認識していなかったことです。手ぬるい内容を書いてしまったことを、自分から反省できるのであれば、まだ良かった。

言ってみれば、「無意識のうちに 面白くない話を書いた」となる。それって、ダメな作家そのものだよなぁ……。


ここでもまた、思いっきり「人ごと」としてサイコー先輩は、はるか上の高みからシュージンに忠告しています。順位が落ちる前に、サイコー先生のフォローが もっと的確だったら良かったのに──と思ってしまう。

すべては結果論だけれど──、シュージンが無意識に 避けていたことを、サイコーも服部も知っていたわけです。それなのに、アンケートの順位が下がったあとで指摘するのは、ずるいと思う。シュージンとサイコー・服部の 3 人の責任です。

そこまで しなくても…

どこからも 文句のでない内容を書いて失敗したから、今度は「苦情上等!」にする。──このシュージンの発想は、ドツボにハマりまくる展開なのでは……。

服部までもが、シュージンの考えに賛成しています。これは、「自分の作品から逃げずに向き合え!」というアドバイスなのでしょう。

しかし、素直なシュージンのことだから、本当の「犯罪」を描いてしまう可能性もある。そこだけは注意が必要です。


順位の低下から立ち直り、さらなる上を目指すためには、やはりシュージンの話作りが重要になってくる。こんな時、いつも思うのですが──、サイコーが力になれる部分は、あまりにも少ない。

天才・新妻エイジなら、たとえ岩瀬が書いた原作が物足りなくても、絵のパワーでグイグイと読者を引っ張っていくでしょう。サイコーも、それくらいの気構えでいて欲しい。

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