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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.3 「決着」

Late for Work / Tarde pa'l trabajo
(とてもじゃないが──彼には見せられない風景)

3 巻目ともなると登場人物は勝手に動き出します。だんだんと作者の言うことを聞かなくなってくる。

オレとクラピカが 勝って 前進だ !!」というレオリオの言葉を聞いて、自分の名前を抜かされたキルアがカチンと来る描写は、もう自動的に出てきたでしょうね。

「この人物は こういう性格なんですよ」というエピソードをわざとらしく入れるよりも効果的です。こういう細かい描写をはさむバランス感覚が冨樫義博先生は優れている。あまりにも多すぎるとウザったいし、すくなすぎると味気ない。

それでも、ゴンの性格描写は かなり抑えている感じがします。登場の場面も非常にすくない。おそらく意図的に描いていないのでしょうね。まだまだゴンの底が見えてこない。読者にも──作者にも。

No.018 「2 つの切り札」

人間よりは妖怪に近い容姿の「試練官」が登場したけれど、彼が描かれたコマ全体からは、雑魚キャラ臭が漂ってくる。

でも、実際に目の前で見たら、レオリオのようにビビってしまうでしょうね。レオリオなら、それでも何だかんだとイチャモンを付けるだろうけれど。

一方、見た目からすると武闘派には見えないクラピカですが、そう言えばこれまでの描写でも いつの間にか武器を構えていたのでした。そうか、あれは隠し持っていたのか。『ドラえもん』の「四次元ポケット」みたいなマンガ的描写かと思っていた。

こういう隠し武器を見ると、「転んだら体に突き刺さらないのかな」と いつも不安になります。また、そんなにいくつも武器を隠せるのか──という根本的な疑問が出てくる。

めだかボックス』では「自分の体よりも大きな武器」を取り出したりて、ギャグとして描いていることが すぐに分かります。

しかし、ややリアル寄り(そうか?)な『無限の住人』に、雪道を歩くためのスパイクのような物を お尻のあたりから取り出す女忍者(目黒)が出てきて、ほんのちょっと── 256 秒間ほど どういう構造なのか考えました(『無限の住人 (25)』)。

装備品と重量との関係や、食料・飲料の必要性については、創作の世界では悩ましい問題ですね。

ゲームでも、その要素を入れるかどうかでジャンルまで変わってしまう。リアルにすればするほど制限で首が回らなくなるし、その前に面白くない。

自分は 1 時間に 1 回はトイレに立つので、「トリックタワーにはトイレがあるのかどうか」が ものすごく気になる。これだけ広かったら なくても「何とかなりそう」だけど、「それ」のせいで失格になったりして。


読者には臆病者であることが最初からバレバレだったマジタニですが、彼のおかげで「幻影旅団」の姿が見えてきました。クラピカが自分の報復についてベラベラ話す機会は貴重ですからね。

大迫力の片手投げでクラピカは圧勝しました。彼が ここまで怒りを爆発させている場面は、じつは これが最初で最後に等しい。これ以降は、心のどこかで自分を抑えている。

それほどマジタニのチープなハッタリは効果的だった。

彼の名前はハンター史に深々と刻み込んでおく価値があります! さすが、マリ……マリカワ? マリヤマ? マリなんとか先輩!(もう名前 忘れとる)

No.019 「多数決の罠」

格好つけているつもりのレオリアだけれど、セリフが二流で負けフラグが立ちまくっています。作者に愛されているキャラでなければ、とっくに消えているでしょう。

女性(?)の試練官が言うとおり、前回の勝負はデスマッチでした。つまりレオリオたちも読者も、「マジタニは死んだ」と思っている。クラピカも「命の奪い合い」であることを納得した上で戦いに挑んでいました。

負けを宣言することでも戦いは終わるけれど、前回のクラピカは敗北宣言が耳に入っていながら、マジタニを地面に叩きつけています。どれだけクラピカが怒りに震えていたのかがよく分かる。

ただ、2 度と 旅団の名を かたらぬことだとクラピカは忠告しています。つまりクラピカ(だけ)は、相手が生きていることを確信していた。

ずっと人間の死を見続けてきたキルアは ともかくとして、「友人の命を救えなかった悔しさから医者を目指す」レオリオまで、マジタニに引導を渡して こいよと言っています。囚人に対する言葉とは言え、冷たすぎる。

なぜゴンのように「起きるまで 待とーよ」という発想にならなかったのか。じつは これこそ、レオリオが「多数決の道と いう試験の ムードにのまれた」からだった。


多数決において 絶対にしては いけないこと」は何かと聞かれて、「相談 と 挙手」だと答えられる人は、この回を読んだ人以外では少数でしょう。

むしろ、この 2 つこそが多数決では重要──と考える人のほうが多いかもしれない。

その作品だけで通じる架空の言葉や必殺技をでっち上げて、ダラダラと(しかも戦闘中に)語り出すマンガは数多い。当たり前のように読み流しているけれど、本当は かなり滑稽ですよね。

H×H』では、誰でも知っている言葉の誰も気付かない側面を、作品のなかで自然に描いてみせる。しかも説教臭くなく、少年マンガとして成り立たせています。

しかもナレーションで済ませるのではなく、トンパに語らせているところも良いですね。ハンター試験に慣れていて「人間観察」を重ねてきた彼だからこそ、見えてくる世界もある。良いか悪いかは別にして。

絶対に主人公にはなれないようなトンパですら、たんなる「イヤなヤツ」で終わっていない。たとえば、「トンパの視点から描いた過去のハンター試験」というテーマで何話も描けそう。

創作に関わる人は、このすごさを感じ取って欲しい。


2 巻の感想でも書いたように、「多数決の道」以外のルートも存在していました。とくにヒソカのような人間は、多くの人間と組んで進むなんてムリです。仲間は 1 人いるようですが──。

ヒソカに因縁を持つ「ストレートの長髪で毛皮を着た筋骨隆々の男」は、いま見るとなかなか目を引く容姿をしていますね。ずっと先で登場する「誰か」と似ているような……。

無限四刀流」という愉快な必殺技の名前も無駄な努力だったわけですが、じつは『H×H』史上で初めて技名が描かれた場面でした。記念すべき一コマかも。

No.020 「ギャンブルタイム」

しつこいようだけれど、「生きているか死んでいるか分からない状態」のマジタニを、「医者志望」のレオリオが放置する態度には、かなりの違和感があります。このあと、下に突き落とそうとしているし。

賭博法違反で刑に服しているレルートに、賭博行為を許可していることも異常です。犯罪者を試験に使う時点で うすうすは気付いていましたが、試験官はイカレた連中なのだろうな……。


自分のせいで妙な賭けが始まったのに、そのことを棚に上げてクラピカはレオリオに意見を言う。当然のようにレオリオは反論しています。本当にこの 2 人は仲が良いですね! いろいろと誤解を生むほどに。

ところで、「わかった ならば もう 何も言うまい」というクラピカのセリフは、連載当時にインターネットの掲示板(BBS)で何度も決めゼリフとして書いていたなぁ……(汗)。お恥ずかしい。 (^_^;)

H×H』は中二病を患った人のバイブルですよね!


そういえば、マジタニの生死は試験官に確認できるのだろうか? その前に、「勝敗を決めるのは誰か」という問題もあります。

電光掲示板を操作しているのは試験官であって、レルートたちではない。そこから考えて試験官が勝敗を決定しているはずですが、現場にいる人間にしか分からない点も多いと思う。

本当に 気絶 してるかどうか」を賭けるレオリオの作戦は賢い。この点をハッキリさせないと、いつまで経っても第 3 戦が終わりません。

──と思ったけれど、この時点でレルートとの賭け・つまりは第 4 戦に移行している。マジタニが気絶(のフリを)したまま第 5 戦へも進めたのでは?


レルートが男か女かという賭けは、相手がレオリオかトンパしか成立しなかった。あとの 3 人に同じ賭けを挑んでも、「女」と答えるでしょうね。

というか、全員が見ている この状況で「確かめられる」人間は、レオリオくらいです。あとは『ドラゴンボール』の孫悟空くらいかな。

『ドラゴンボール』 - 其之一 「ブルマと孫悟空」からエロさ爆発! | 亜細亜ノ蛾


レルートは、博打打ちと言うよりも詐欺師に近い印象です。「ジャンケンは 確率と心理の勝負」と分析するなんて、心理学を学んでいたのかな。こういう「使い捨て」に近いキャラにも厚みがある。

彼女は希少生物売買にも関わっていたらしいけれど、どんな生き物を取り扱っていたのだろう? もしかして──「アリ」とか……?

No.021 「決着」

大喜びのレルートが かわいらしい! なかなかヒロインが固定しない本作品には、こうして 1 巻ごとに別の女性を出してくれると うれしいですね。

ちょっと気を抜くと、「ドキッ! 男だらけの(血の池)水泳大会! (首が)ポロリもあるよ」に なってしまうから。

ほぼ「お母さん役」のミトや犯罪者のレルートなど、「正統派ヒロイン」ではない女性ばかりの状況は、なんと何十巻も先まで続くのであった……。この作品にヒロインが必要かどうかは、議論の余地があるけれど。


解体屋(バラシや)ジョネス」って良いキャラですよね。彼のエピソードを作者は「けけけ」と笑いながら書いたに違いない!

まだ 11 歳の少年を犠牲者に含めるのは、かなり悪趣味すぎますけどね。ゴンやキルアと同じ年代にも手を出す──と強調したかったのかな。

語り始めると とたんに三流キャラ丸出しなジョネスでした。「中二病度」でもキルアに負けている。某・オサレなマンガだったら、スペイン語の技名あたりを与えられて、もっと格好いいセリフをバンバンつぶやけたのに、残念でしたね。

ところで、今回のサブタイトルは言うまでもなく、ジョネス先生のことを表わしています。レルートの肉体を好きなだけ(ごくり……)──のことだと勘違いした人は いませんか! こらー(棒)。


自分の肉体を操作するキルアを見た それぞれの反応が面白かった。とくにゴンの「ネコ?」という感想は、あのジョネスを見た直後で普通は出てこないですよ。レオリオやクラピカのように警戒して当然だ。

いまのキルアとクラピカが本気で戦ったら、どちらが強いのだろう?両者とも「あの力」をまだ身につけていないから、体術だけの勝負になる。そうなるとキルアが圧勝かな。

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