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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.9 「9 月 1 日」

Fire in the (ISO6400) sky 私の夜は──あなたのヒルより美しい

「幻影旅団編」で最初の山場が、今回の「クラピカ対ウボォーギン」です! 念を覚えたての初心者と、殺しが日常の熟練者は、はたして勝負になるのだろうか──。

「いかにも少年マンガのキャラ」といった感じのクラピカと、劇画調のウボォーギンとが、何の違和感もなく完全に調和している点にも注目です。『レベルE』から捨て去ったリアル成分をウボォーで補いつつ話を進めている感じがする。

No.079 「9 月 2 日 1」

今回の扉絵はウボォーギンでした。

ウボォーギンの目標である「拳で核ミサイルと同等の破壊力を出すこと」は、「人間の能力の 限界を 超えている」と思う。本当に可能なのかな。

「強化系」の人間は、全員がウボォーのように「攻撃力を強化する」という印象を受けます。戦力が求められるハンターの世界で、ほかに強化する対象は あるのでしょうかね?

──「運を強化」できれば、万事うまく行くかも。


電話に出ないことで有名なクラピカ師匠に、「どうぞ」と声を掛けるヒソカが妙に優しい。普通であれば協力を依頼する相手だから当然ですが、「自称・最強」のヒソカが やると違和感がありますね。

クラピカのほうは、いっさい警戒心を解いていません。ヒソカの解答しだいでは、彼も狩る対象に入れていたでしょう。こういう「緊張感がある関係」は大好きです!

同じくヒソカとは油断できない関係にある団長は、せっかく お宝を手に入れても「全て 売りはらう」という。「一頻り 愛でる」くらいだから、品物には愛着があるはずなのに、金を集めて何をするつもりなのか──。


父親が本当のボスだけれど、あくまでも「人体収集家」はネオンです。クラピカの同胞たちから「緋の眼」が奪われた原因は、ネオンを含めた悪趣味な連中が居たからだ。

この場面でもネオンは、ダルツォルネと護衛団の何人かが死んだことを まるで気にしていない。クラピカにとって、本当に始末するべき人間は、ネオンと父親の どちらなのだろう──。

ボスのライト・ノストラードは、渋い中年男性といった感じです。──なかなか「ジャンプ」マンガの登場人物で「ライト」とは略しにくい。同じ夜神でも総一郎のほうが似ているし(『DEATH NOTE』ネタ)。


「さわやかな青年のような男」(早く名前を書いてくれー)もクラピカも、ハンター専用のサイトで調べ物をしています。

旅団員のほうは民家を襲っている。手っ取り早くパソコンを使うためと、足が付かないためでしょう。一方のクラピカは、ホテルで普通に検索している。ハンターのライセンスを狙ったコソ泥が やってくるのでは……。

また、クラピカの指示で同じホテルに部屋を借りる理由は分かるけれど、偽名を使わないのは なぜだろう? それこそセンリツたちの情報がハンター・サイトに載ったら終わりです。

No.080 「9 月 2 日 2」

ヒソカの念能力は、もう すっかりおなじみですね。(故)カストロの おかげで……。

「伸縮自在の愛」(バンジーガム)も「薄っぺらな嘘」(ドッキリテクスチャー)も、いくらでも応用が利く能力です。その証拠として、今後の展開でもヒソカには新技が出てきません。どこぞのマンガとは大違いだ。

マチの念糸も体から離れると強度が落ちることを考えると、「10m 以上伸びるとゴムが ちぎれてしまう」という強さも十分でしょう。弱点らしい弱点がありません。


レオリオには考えがあると言っても、275 回も腕相撲をさせられたゴンは災難でしたね。体力を使った相手はシズクだけだったと思うけれど、残りは ずっと神経をすり減らしていたはずです。

今回の作戦は、筋者(ヤク■)がエサに釣られるまで待っていた──というよりは、「気前よく大きな仕事を頼む人物」を探していたのでしょう。

客寄せだけに専念するかと思わせて、レオリオ自身も かなり腕相撲が強い! そう言えば、「試しの門」を一番早く通過していましたね。

HUNTER×HUNTER 5 巻 「ジン・フリークス」 2 - 想像できない夫婦生活 | 亜細亜ノ蛾

それにレオリオは「纏」(テン)が使えるから、念能力者ではない人間には楽勝で勝てる。


冨樫義博先生は、1 回だけ登場して 2 度と出てこないような人物でも、深く印象に残るように描きます。リング上でマイク・パフォーマンスをする司会者も、ビラを配る担当者も、キワドくて忘れられません!

ただし、彼らも仕事が終われば、『サザエさん』とのジャンケン勝負に命を懸けていたり、3 歳の息子が通う幼稚園へは毎日迎えに行ったり──という表の顔が あるのかもしれない。

フラフラとハンターらしい仕事もしていないゴンやレオリオのほうが、よっぽどアウトローだったりして。

このビラに載っている──幻影旅団たちがトランプ・ゲームに興じているという緊張感が皆無な写真によって、クラピカの孤独な戦いと、ゴンたちの金もうけとの目的が一致しました。

「同時進行の物語は こうやって描くんだよ」という お手本のような展開ですね!


ゆっくりと部屋へ向かってくるウボォーギンと、部屋の中央で腕組みをして待ち構えるクラピカが、静かに緊張感を高めます。アップと引きを使ったカメラの切り替えも効果的で、映画の一場面を観ているみたい。

クラピカの様子を知らないレオリオたちにさえ、その張り詰めた空気が伝わったかのような会話をしています。キルアの父親・シルバが狩った幻影旅団の 1 人は、おそらくヒソカの前にいた 4 番でしょうね。

No.081 「9 月 2 日 3」

3 人が張り込みをしている場面で、あきらかに団長らしき人物がいます! マフィアが配ったビラに団長も載っていたら、危ないところでしたね。

──ゴンたちのほうが。この時点で無計画に団長の跡を尾行していたら、返り討ちに合っていたはずです。

キルアの予想からすると、「レオリオの作戦が悪かった」という結論になる。ところが、じっさいには団長を見つけていた。この皮肉が おもしろい!

ここが冨樫作品の特徴的な部分で、「つねに登場人物の言うことが正しいとは限らない」のです。「生きた人間」を描いているからこそ、こうやって間違いも起こる。


クラピカとウボォーの戦いは、始まる前も味わい深い。

(たぶん)2 人っきりでドライブして、星降る夜の荒野に来たなんて、恋愛映画のようにロマンチックですね! そう言えばクラピカもウボォーも、セリフが詩的でステキです。

それにしても、長年追い求めてきた宿敵が──用を足すのを じっと待っているクラピカは、どんな心境だったのだろう……。

No.082 「9 月 2 日 4」

破岩弾ん !!」なんてウボォー先生は叫んでいます(「ん」まで技名の可能性アリ)。必殺技を自分で叫びながら戦う場面は、『H×H』では かなり珍しい。ほとんどがパンチだけなので、変化を付けたかったのかな。

戦いの前までは、クラピカは「束縛する中指の鎖」(チェーンジェイル)で縛れば終わり、ウボォーギンは念を込めた拳で一発殴れば勝ち──と思っていました。

しかし、ウボォーの一撃を食らっても無傷なクラピカの姿を見て、まったく状況が一変する。そんなにも強かったのか……。

クラピカは もともと格闘に長けていたし、カンフー着のような衣装が似合っているところからすると、クルタ族は戦闘民族なのかも しれませんね。なにしろウボォーでさえ強さを認めているくらいです。

出会ったばかりの人物にも意外と すぐに心を許して、重すぎる身の上話をサラッと話すクラピカですが、「クルタ族って どんな人たちなの?」はサッパリ分かりません。

自分のことだけベラベラ話す女性みたい(差別発言)。


──あ、自分が大嫌いで以前から批判している、「戦闘中に敵に後ろを取られる」という描写が出てしまった!

それこそ「ゴリラ対アリくらいの実力差」がないと ありえない状況であり、ことあるごとに ほかのマンガを糾弾し、謝罪と賠償金を要求してきた当サイト(※)としては──、見なかったことにします! 冨樫先生は 常に正しい(盲信)。

(※: いちおう書いておくと、冗談ですぜ)

背後や上から攻撃した際に、クラピカは「隠」(イン)で鎖を隠していた。でも、具現化した念の鎖は、「隠」で触れた感覚も無くなるのだろうか。

No.083 「9 月 2 日 5」

おそらく多くの人間を育ててきた師匠は、クラピカのような ひねくれ者の扱い方も慣れています。気の引き方が うまい。なんとなく、師匠の恋人もクラピカのようなタイプなのだろうなぁ──と想像しました。

師匠の持ち物なのか、森の中で修行中なのに なぜかワイン・グラスで「水見式」をしています。なんというオサレ先生……! そのうちスペイン語の人物名や技名が出てこないか心配です!

クラピカ
「この技は『束縛する中指の鎖』と名づけよう」
師匠
「『ラ・カデナ・デル・デロ・コラゾン・パラ・レスタリンギル』だな」
クラピカ
「えっ?」
マミさん
「『罪深き者、我と共に来たれ』は いかがかしら?(ティロッ」
クラピカ・師匠
「だれ?」

各系統の「修得率」は、明解で分かりやすかった!

師匠が語るとおり、「強化系」は一番バランスが良い。「強化系」を最大 100% の修得率で覚えられる上に、「変化系」と「放出系」も最大 80% まで行けます。

──ということは、自分の拳の攻撃力を「強化」して、そのオーラを念弾に「変化」させ、「放出」するという──「波動拳」が出せますね!

「具現化系」と「操作系」は、「特質系」に目覚める可能性が高いけれど、発現しなければ 80% の修得ができる系統が 1 つ減る。かなり損な系統ですね。

「操作系」と言えばズシがいます。彼は「特質系」に目覚める──こともなく、苦労を重ねるのだろうなぁ……。


実戦での「攻撃力」という実体化が難しい題材を、あえて単純な数値化で表わすから、非常に話が分かりやすい! ここまでシンプルな数式にした上で、念能力の奥深さを説明してくれるから、スラスラと頭に入ってきました。

この「戦闘能力から安定して勝率を割り出すことは可能か?」は、ずっと先にも出てきます。冨樫先生も答えを探している最中かもしれませんね。「強さとは何か」というテーマは、簡単には描ききれない。

たとえば今回のクラピカも、言ってしまえばウボォーの油断に付け込んで束縛できた。「単純な戦闘力」だけで言えば、まだまだウボォーのほうが上だったはずです。つねに「凝」を使われて、持久戦に持ち込まれたら負けていた可能性が高い。


制約と誓約」によって生まれた「チェーンジェイル」の強さを支えている秘密が、「絶対時間」(エンペラータイム)だった。

──その ひと言で説明できるシンプルな能力の奥深さは、次の巻から本格的に描かれます。そして本当に恐ろしいのは、これだけの素質を幻影旅団のためだけに集中させた──クラピカの執念深さだ。

そして、「仲間の緋の眼を探し出し 旅団を捕らえること」という単純きわまりない目的は、じつはクラピカと読者の想像以上に達成が困難なのであった──。

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