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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.14 「島の秘密」

diamond in the rough どんな環境でも──自分から光り輝け!

この巻は おまけのページが充実しています! 幻影旅団の団員たちと、「いいキャラっすー」な小池さん(おそらく小池栄子さん)まで描かれている。

旅団は写実的に走り描きされていて、本編とは違う味が うれしいところです。ちょっとパクノダのメイクが濃くて(ただの影?)、『パタリロ』のバンコランみたいに見えました。パタリロ役はシャルナークかな(?)。

また、本編にも加筆があって、これは『ハンター×ハンター』の歴史に残るほどの快挙です! 「彼」は作者に愛されていますね。

No.134 「島の秘密」

交換ショップ」(トレードショップ)のオヤジが「いかにも」な容姿で微笑ましい。よく見ると T シャツにサル顔の男が描かれている。現実世界で見たら笑ってしまうけれど、「一丁目の隣」に連れ込まれそう!

「神は細部に宿る」というように、ゲームの制作者は細かいところまでコダワリを忘れていない。それでいて同じセリフを繰り返すゲームっぽさに吹きだしました。

訪れた場所の情報が書き込まれる「島の地図」もゲームらしいし、「ゲームの世界に居ること」を意識させる演出が多いですね。ところが──。


「少女服を着た女性」(現時点では女性かどうかも不明)は、だんだんと本性が隠しきれなくなってきている。読者には丸わかりですけどね。

ゴンは彼女を邪険にする気は なさそうですが、キルアの一刀両断が鋭かった。開始早々に呪文をかけられたり、怪しげな勧誘を受けたり、貴重な品を奪われたり──。とにかく用心に越したことはないでしょう。

そもそも、バッテラに雇われた者は お互いにライバルです。手を組むフリをしてワナにはめる──なんて可能性も高い。


シャルナークが見破ったグリードアイランドの正体は、やはり「注意深く読んでいれば見抜けたトリック」でしたね。自分は まったく気がつかなかった!

指定ポケットカードのアイテムを「お宝」として島外に持ち出すつもりですが、これにはムリがあると思う。

念能力によるコピーなどを防止しているから、当然のように「島外へ勝手に持ち出すと無効」といった保護も施しているはずです。

たとえば、「トラエモン」を無許可で島の外に出すと、「土左衛門」に変化したりして(「ドザエモンって、なーに?」という人は、いますぐ画像検索──しちゃダメだよ……)。

ところで、たんなる石ころですら、拾うとカードになったり「ゲイン」で元に戻ったりする。──「カード 1 枚分しかないスキマ」に入れて戻すと、どうなるのだろう? 「相手の衣服にカード化した武器を投げ入れる」といった戦法も可能かも。


フィンクス・フェイタン組は、あいかわらず無法者です。これから大活躍すると思ってい──なかった SOWY 男も倒している。

もしもプレイヤを狩ることが目的の彼らと、ゴンとキルアが出会ったら、どうなっていただろう。旅団からすればクラピカだけを生かせば良いから、2 人は狩られていたんじゃないかな……。

No.135 「いざマサドラへ! 1」

山賊たちの華麗な「ジャンピング土下座」が楽しかった。その見事な土下座(ゲザ)りっぷりは、masa 師範代もニッコリでしょう。

masa(34) | 地獄のミサワの「女に惚れさす名言集」

ゲーム上の設定とはいえ、切羽詰まった状況が痛ましい。「満足に山賊業も 出来ない始末」なんて言われたら助けたく──なるかなぁ……。

まさに「トウニンもうもうしい」ですね!(キリッ

結果的にゴンとキルアは「盗賊に身ぐるみをはがされた」わけで、感心しつつも笑いました。たまには こういう「たんなるギャグのイベント」も良いですね。──と思わせて……。

No.136 「いざマサドラへ! 2」

「少女服」の彼女がいる おかげで、モンスタたちの特性が読者には よく分かります。かなりの実力者だと推測できるだけに──、どうして そんな格好をしているのだろう?

ゴンにもキルアにも倒せなかった「メラニントカゲ」は、たかだか E ランクのカードに しかならない。牛を丸飲みするほど巨大なトカゲなのに、下から数えたほうが早いなんて、怪物のレベル設定が高すぎる!

岩石地帯に登場する「1 つ目巨人」は、キルアやゴンからすれば見かけ倒しでした。でも、たとえばモタリケだったら出会った瞬間に「2 次元にプレス」されそう。

たとえばゴムマリみたいな「マリモッチ」がトゲや毒を持っていたら、この時点で 2 人は重傷を負っていました。そして この島では、「電話 1 本で救急車が駆けつけてくれる」なんてことは、ない(と思う)。


ゴンとキルアが、実力が同じくらいの相手と戦った経験は──天空闘技場が最後でした。それ以外では「模擬戦」みたいな場面か、勝ち目のない相手とばかり出会っている。

2 人が「凝」を忘れていたのもムリはない けれど、本気で敵が かかってきたら致命傷を受けていました。最低ランクの敵である「リモンコンラット」ですら、「凝」が使えなかったら倒せずに疲れ果てます。

それほどの危機感が島中に漂っている。

戦闘中に「凝」で警戒するのは、基本中の基本です。格闘技で言うところの「構え」──いや、それ以前の「道着の着方」に近い。「道着の着こなしで実力が分かる」と よく聞くように、臨戦状態で「凝」を使わない人間は問題外です。

このあたりも『H×H』の特徴で、念能力という未知の能力を描くに あたって、基本を最重要視している。その上で、達人クラスの敵も出して、マンガ的な派手な演出も忘れていない。

No.137 「いざマサドラへ! 3」

「ビスケ」ことビスケット・クルーガーが自己紹介してくれたことは、ブログ書きとしても ありがたい限りだけれど──、

実年齢まで明かす必要は ないのでは? とくに彼女の性格からして、相手に年齢を知られることは一番嫌いそうですよね。

もしかすると、「ガキんちょがホの字(死語)になられても困るからだわさ」ということかな。いやいや、彼女なら「むしろ どんと来い!」と受け入れてくれそうな気もする(少年誌やで!)。

──自分は男性であり「そのケ」もないので違うけれど、もしも女性に生まれ変わったら確実に「フ女子」だっただろうな──と思います。現世でも登場人物 同士が くっつく様子を想像してしまう(ただし男×女か女×女のみ)。

ということで、「絶ッ対に! キルアはビスケに惚れるよな!!!1」と連載中は力強く確信していました。

これまでの展開から推測できるように、ゴンもキルアも女の子と遊んだ経験が少ないように見える(実際に どうなのか──は今後をお楽しみに!)。それにしては、キルアは勢いよくビスケに絡みすぎですよね。

──いや、もちろん今ではビスケの年齢をキルアは知っている。それでも見た目は少女だし、なにより年上の女性を敬う気持ちも皆無です。そのあたりが「フラグ」だな──と思いました。

今後の 2 人に注目ですね! ビスケがキルアの前で児p ──じゃなくてポロリと「衣服を脱ぐ」(ごくり……)な場面も あるかも!!!?


つい最近までゴンも忘れていた 2 人の師匠を、ビスケは「ひよっこウイング」と呼んでいます。彼にピッタリな呼び名ですね!

ゴンたちの前では いつも余裕のある態度だったウイングも、ビスケに教えを受けている時は緊張していたんだろうな──と簡単に想像できました。マンガ的表現で言えば、つねに「頭の上に汗が飛ぶ」状態でしょう。

120% 後付けの設定とはいえ、いまのところウイングとビスケは、まるで似ていない点も興味深い。師弟関係でありながらも、ビスケはビスケ・ウイングはウイングで、それぞれの個性のままに修行を重ねたのでしょう。

そう言えば、ウイングと同じくビスケも心源流拳法に属するはずです。今は弟子を持つ 2 人も、ネテロから直接 念や体術を習ったことがあるのかな。


バトル・マンガの一面も持っている『H×H』としては、「どれくらいビスケは強いのか」を読者に見せたいところです。いろんな見せ方があるけれど、今回は第三者を出している。

この「切り裂き美容院」(シザーハンズ)の使い手は絶妙に効果的でした! いささか登場のタイミングが良すぎるけれど、話の流れが速くて なめらかです。

たとえば、「キルアがブチ切れてビスケに つかみかかる」みたいな描き方をしても、それではビスケの実力は見えない。あとあと分かるけれど、彼女なら誇張なしに「指 1 本でキルアを倒せる」でしょう。

しかも、キルアは そんなことしない。

切り換えが 早いキルアの反応も良かった。先ほどまで言い争いをしていた相手に対して、素直に対処法を聞いている。なかなか子どもにしては出来た態度だけれど──。

じつは、ビスケが感心した頭の良いコということよりも、「生命の危機に対して異常に敏感」なキルアの特性から来た質問──という点も味わい深い。


この巻で一番好きな場面は、「オーケー 二重尾行 だね」→「バチーーン」です! 何回見ても最高!!

まず、ノブナガとマチを追った時には、言葉の意味が簡単に理解できました。「尾行の尾行」だから二重尾行になる。

HUNTER×HUNTER 10 巻 「9 月 3 日」 2 - 入る×視る×切る | 亜細亜ノ蛾

でも、「二手に分かれて片方は戻ってくる作戦」を即座に「二重尾行」として納得するなんて、普通は(とくに子どもには)できないと思う。命がけの尾行に慣れているキルアらしい発言です。

そして、ビスケがキルアをひっぱたいた後の「間」といい、ポカンとしているゴンの顔といい、「この ババァ~」といい、ギャグであることが読者にすぐ分かる。笑えますよね。

ところが、「ビスケが本気を出せばキルアの首は落とされていた」ことも直後に理解できる。このあとの戦闘よりも、彼女の恐ろしさを効果的に伝える最高の演出です!

自分が大好きな『バクマン。』に、「シリアスな笑い」という概念が出てきました。

登場人物が真面目に行動すれば するほど、読者には笑えてくる──。名人の落語と同じですね。どちらも真剣な表情で笑わないからこそ、見ている人間は おかしくて仕方がない。

ビスケのビンタは、「コミカルな真面目」とか「喜劇的シリアス」といったところです。

そもそも『H×H』は、臨戦状態に入ってからはギャグを極力 描かない。命を懸けて戦っているのだから当然です。戦闘中に仲間同士で漫才をするなんて あり得ないと思う(だから終わるんだな)。

前作の『幽☆遊☆白書』でも、「ラスボスと戦闘中に水泳する」場面はワロタけれど、ちゃんと戦術の 1 つで感心しました。


危険な「美容師」との戦いで、ビスケは髪の毛を切られています。これは油断したわけではなく、相手のことを十分に知った上で、わざと切らせた可能性が高い。

つまりは、敵を万全の状態にして戦わせることで、弟子たちに戦いを見せる目的だった。──ん? それを人は油断と言うのかな……。

一方、敵を「ただの 食人鬼(クズ)」として描かなかったことも良い。次の回を見て分かるように、彼は作者も お気に入りのキャラクタなのでしょうね。

No.138 「いざマサドラへ…?」

ビスケがグリードアイランドに来た理由は、宝石・「ブループラネット」が目的だと言う。石ころ 1 つのために遠出する気持ちが、自分には分かりませんでした。

その前に、ブループラネットを入手して島から持ち帰ったとしても、バッテラに取り上げられるはずなのでは?

──いやいや、ゴンとキルアの仲を引き裂こうとしたり、むやみに敵の命を奪おうとしていたり、善人とは言い切れない彼女のことだから、そのまま持ち逃げする気だったのかも。


ゴンの父親であるジン・フリークスは、ネテロ会長いわく「世界の 5 本指に入る念能力者」らしい。

常人よりも長く生きてきたネテロが見てきた「世界」の中には、ゾルディック家や幻影旅団も入っているのでしょうかね。ぜひとも、シルバやクロロの評価も聞いてみたい!


ビスケは、食人目的の殺人美容師──ビノールトの実力を「入手難度は D」と見ている。なんと、つい先ほど遭遇した「マリモッチ」と同じレベルですよ!

ところがキルアは、一歩間違えば片方の目を失っていた。それどころか、ビノールトが無傷であれば、倒れ込んだところを飛びかかられて「食材」に なっていた可能性が高い。

一週間も眠らずに いられるビノールトでも、回復には それ以上の時間がかかる。手加減した一撃で それほどの傷を与えるビスケの実力も、考えると恐ろしくなってきます。しかも、先の戦闘では念を使っていない。

世界は どこまでも広く、少年たちは ほんのわずかな部分しか見えていません。この島は、まだ 2 人には早すぎたのでは……。

しかし、大きく実力を上回る相手に対しても、ゴンは ひるまない。無鉄砲に突っ込むだけではなく、根性だけで何とかするのでもなく、創意工夫で挑んでいる。その頭のキレと度胸が まぶしすぎます!

もちろん、この状況を作り出した作者が一番すごい!

No.139 「ホントにマサドラ行くのか?」

ビスケは、ゴンとキルアを宝石に たとえています。ダイヤモンドとサファイヤとでは商品価値が大きく違う。しかし、宝石を愛するビスケのことだから、そのまま価格が 2 人の評価と直結していないはずです。

ゴンのことを「あんたは フローレス ゆえに 危うくも あるんだわね」と心配するビスケが悩ましい。自分は最近になって検索して、ようやくセリフの意味を理解できました。

flawless は直訳すると「傷のない」・「完璧な」となる。でも、これだけだとゴンを褒めているようにしか思えません。

じつは宝石の用語で、ダイヤモンドの透明度が最高の品質を「フローレス(FL)」と呼ぶのです。この等級のダイヤは、熟練者がルーペで見ても、宝石の内包物が分からないほど透き通っている。

ようするにビスケは、「ゴンは純粋すぎる」と言っているわけです。ゼパイルの評価と似ていますね。その素直さは、善にも悪にも変わりうる。

なぜビスケは、これほど宝石に こだわるのか?

──この単純すぎる疑問は「少し 頭を使えば わかること」だけれど、10 年が過ぎた最近の連載で明かされています。


重傷を負いながらも 2 人を相手にして互角に動くビノールトは、やはり手ごわい敵でした。それでもゴンとキルアは、わずかな日数で彼を追い越してしまう。

予想を上回る 2 人の成長性と頭の良さを見て、決定的な点は潜在能力だとビスケは言いました。ビノールトでなくても、その言葉の意味は重すぎる。やはり「親の七光り」を連想してしまいます。

ジャンプキャラは親の七光り | 亜細亜ノ蛾

あとは育った環境も大きい。

ビノールトの故郷である貧民街の場面は すべて、『H×H』では非情に珍しいコミックでの加筆でした。数ページにも渡る追加は唯一無二です。

まともに 生きたかった だけだ !!」というビノールトの真っ当な叫びも、貧しい環境では実現が難しかった──。

日本で「週刊少年ジャンプ」を普通に読んでいる幸せな少年たちには、まったく実感できない世界でしょう。それはオトナも(自分も)同じです。それこそグリードアイランドと同じように、「虚構の世界」だと思ってしまう。

貧富の差による悲劇は、今後も重要な場面で描かれます。幻影旅団が誕生した理由とも関わってくるかもしれません。

おわりに

これまでにゴンは、「幼いころから暗殺者」や「同胞殺しへの報復者」・「殺人が日常の旅団」・「人食いの殺人鬼」・「贋作家」──などと出会ってきました。それに何度も全財産を失っています。

わずかながらも悪事に興味を示さなかったことは、ゴンの年齢からすると珍しいとも言える。ミトさんの教育のおかげでしょう。ビノールトには彼女のような保護者が居なかったのかな……。

もっとも危うい点は、「作者が冨樫義博先生」ことかも。『幽☆遊☆白書』の主人公・浦飯幽助が父親の ふがいなさを見て、「何」を食べさせようとしていたか覚えていますか? あの際どさが冨樫作品の魅力ですね!

最初の約束を破ってまで殺人犯を見逃したのは、ビスケも同じことです。ビノールトもビスケも、ゴンの まっすぐな思いに心を動かされました。

いろいろと重苦しい場面を描きながらも、最後は少年の純粋さが上回る。少年マンガの王道を踏み外していないところが素晴らしい!

さて、ビノールトは無事に自首できるのか──。

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