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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.15 「躍進」

every seed dies before it grows 華々しく散る──生命の音色

おどろおどろしくもキュートな表紙には、「──誰?」と言いたくなる第 15 巻です。ビスケ──ではないよなぁ……。

表紙の折り返しには、冨樫義博先生が ふんぞり返っています。ここで語られているギャンブルの話は、微妙~に本編とも関連している。「取材」という名のもとに、カジノで遊んできたんちゃうんかー、とか言いたくなりますね。

しかも その「カジノ」って、『闇金ウシジマくん』に出てくるようなマンションの一室──つまり日本では違法なのでは……。まままさか、そんなことは ななないですよねねね?

No.140 「マサドラには行ったけど」

イジワルなビスケの性格が よく出ている話でした。

マサドラへ行く目的を最後まで明かさないことで、ゴンとキルアのワクワク感をブチ折っています。2 人を仲違いさせることをやめたために、ビスケはストレスが溜まっていたのかもしれませんね。

たしかに、現時点で呪文カードを買う意味はない。ゴンもキルアも、どうしてそこまで呪文が目当てにしていたのか、けっこう不思議でした。


この巻の前半は、ゴンとキルアの修業がメイン・ディッシュです。理に かなっている訓練ばかりで、よく考えられている。読んでいて飽きない! 「」(シュウ)に自分で気づかせたことも良かった。

──どこかのマンガみたいに「時間の流れが遅い空間で師匠と修業しましたとさ」で終わらせるなんて、面白味がないですよねー(それすら『ドラゴンボール』のパクリだし)。

修業の場面で これだけ楽しく読めるマンガは、ほかに例が少ないと思います。今の「ジャンプ」連載陣だと、アマゾネスたちに叩かれまくりの『クロガネくらいかな。

いつからマンガって、マンガ家の人格まで含めて評価するようになったんだろう? そんなことを言いだしたら、マンガの神様なんt(不自然な中断)──ヤッパリ ニンゲンハ ジンカクガ イチバン デスネー。

No.141 「もうマサドラ行ったから次から別の感じのタイトルでいいや」

シリーズ最長のサブ・タイトルは、副題に対する冨樫先生の投げやり感が にじんで、床にベットリと 垂れています。よっぽど面倒くさかったんだろうなぁ。

さて、前回でキッチリと修業のツボを描いたから、今回は飛ばしまくっています。メリハリが付いて気持ちが良い。

やはり冨樫作品の特長は、この緩急ですね! それが分からないマンガ家は、いつまでもダラダラと同じ場面を続ける。


寝ている時には誰でも無防備になると思うけれど、わずかな期間で鍛えられるなのかな。──この話題は、本巻の後半で もう一度触れます。

ロールプレイグ・ゲームでも、「寝込みを襲われた!」なのに寝起きで全力が出せますよね。「HP: 1」でも攻撃力が変わらないし。


ビスケが気づいたように、ジンがグリードアイランドを作った目的の 1 つは、おそらく「子育て」でしょうね。ゴンへのプレゼントのために、何百人を巻き込んだなんて罪深いけれど、なんだか温かい。

基本的にはゴンもキルアも「父親が強いから強い」のだけれども、それだけで終わらせていません。実践を通して鍛える方法を描くことで真実味が出ています。あいかわらず料理の仕方が上手ですね!

ジャンプキャラは親の七光り | 亜細亜ノ蛾

ビスケの「思考の瞬発力」という考え方が大好きです! 冨樫キャラは全員が優れていそう。戦いだけではなく、人との会話でも「思考の瞬発力」は生かせますよね。

昔の自分は頭の回転が速かったので、誰かと話しながらでも「こう言ったら こう反応が返るだろう」という予想を何通りも考えられました。今は──もうムリだなぁ……。


2 人の実力は同じくらいと思っていたのに、ゴンはキルアから 2 週間も遅れている。また、「」(コウ)の説明を聞いただけで「」(ケン)に気がつくほど、キルアは勘も良い。

この差が開かないか、ちょっと心配です……。

「堅」の特訓でビスケは、肉体の力は上乗せしていないと言っている。しかし、しっかりと突きの形に構えています。──完ッ全にヤる気じゃねェか!

ゴンから見ると、スカートのせいでビスケの足元は見られなかったでしょうね。森博嗣作品に登場する小鳥遊練無(たかなしねりな)を思い出しました。「彼」は元気かなぁ……。

No.142 「爆弾魔」

「堅」を 2 分間から 30 分間に延ばすだけで、ゴンは 1 か月も かかりました。じつは、この期間の短さは驚異的だ──と遠い未来で分かる。

自分は、中学生の時に陸上部の短距離をやっていて、0.1 秒を縮める苦しみと楽しさを味わいました。ゴンの成長性は、1 か月で 100m 走のタイムが 2-3 秒くらい速くなった感じです。

攻防力」(こうぼうりょく)という新しい概念が登場し、やれやれ、「ジャンプ」お得意の数値バトルに突入か──と思いました。ところが、上手な味付けで分かりやすさが増していますね。


本格的な修練のおかげで、ゴンは かなり強くなりました。それでも、いまだにビスケの拳を見ることすらできない。おそらく、本気で戦ったらビノールトと同じく瞬殺されるでしょう。

そして、いつでも死と隣り合わせの状況にいる。「あれ? ビスケの目元にシワ(→死)」──とか。

流々舞」(るるぶ)も「『H×H』用語」の 1 つです。「かめはめ波」のような派手さはないけれど、マネした子も多いのでは? 「オタ芸」としてもウケそう。


「メガネをかけた細身の男」の告白は、この巻で一番ビックリしました。いまだに名前が判明していないのに、自分が「爆弾魔」(ボマー)だという正体を明かしている──。

週刊連載で読んだ時には、アジトに集まった全員と同じように、自分も「何を言っているのか頭が ついていかない」感じでした。

オレがヨン様だ」くらいの衝撃です!

No.143 「命の音」

一握りの火薬」(リトルフラワー)は、じつに分かりやすい攻撃用の能力です。「敵に つかまれると終わり」という意味では、ヒソカの「伸縮自在の愛」(バンジーガム)とも似ている。

一方の「命の音」(カウントダウン)は、クロロの「盗賊の極意」やクラピカの鎖と並ぶくらいに込み入った念能力です。しかも最悪にタチが悪い!

ゲーム好きな作者だから、簡単で効果的な念能力を考えつきそうなのに、「強い能力には制約が必要」と設定している。じつに興味深い! ゲームとしての快適さと、マンガとしての おもしろさは別だからでしょうね。


離脱」(リーブ)の呪文は、「瞬間移動」や「ワープ」ではなく、「超高速移動」といった感じの描写です。『グリードアイランド』のソフトウエアに「発」を行なった時とは、あきらかに様子が違う。

たとえば、アジトの入り口が閉ざされていたら どうなっていたのかな?


500 億という大金のためなら、何十人もの命を奪うことも珍しくない。社会では、それ以下の金銭で簡単に他人を傷つける者が存在します。しかし、それを少年マンガで描くかどうかは別だけれど……。

「メガネの男」が(他人の命を使って)実験で検証した「裏ルール」を単純に考えれば、指輪が「特定の人物用」ではないことを指している。

次の回に出てくる「指輪データの上書き」ルールと合わせて考えると、ゲームの中でも外でも、指輪だけを交換すればバインダのデータも入れ替わるのでは? それとも、ゲーム中に指輪を外すとデータも消えるのかな。

いかに冷静で イカレてるか 相手に理解させる のがコツだ」というセリフは、実際に使える名セリフです。その意味を考えると、じわりと背筋が寒くなる……。

そう言えば、「黒人風の男」は妙に落ち着いていました。一時間以内に爆発する爆弾を抱えていて、あれだけ冷静にいられるだろうか……。逃げていった男と共犯なのでは──と思ってしまう。

No.144 「解放」

かなりキャラが立っていたプーハットだけは、いくらなんでも生き残ると思っていたのに……。人間の尊厳を微塵も感じない扱いにゾッとします。

彼の命を奪った「爆弾魔」ことメガネ男は、ゲンスルーという名前だと明かされました。

そして自分を「爆弾魔」の備品と語る男はバラで、もう 1 人はサブという。名前まで「爆弾の部品」といった感じです。ゲンスルーの子分のような存在なのだろうか?

ヒゲ男のニッケスとは、表向きは「仲間」として 5 年間も協力してきたのに、まるで他人のようにゲンスルーは振る舞う。

──そのブラックなユーモアは好きだけれど、言われたニッケスはハラワタが煮えくり返ったはずです。自分たちが何年も だまされていたなんて……。

あ、それは現実世界の会社や恋愛でも よくあるか。


解放」(リリース)のポーズ自体は、お互いの熱い厚い友情を確かめ合うような感じなのに、その効果には人間味が ありません。

なぜ、こんな非道な行ないができるのだろう? 「ボマー」たちにも、ビノールトや幻影旅団のように生まれや育ちに秘密があるのでしょうかね。

ここまで非情なゲンスルーだから、貴重な呪文カードも一緒に奪っておけば良かったのに──とも思いました。そこまで すると、さすがに「生かして返す気がない」と警戒されるからかな。


それぞれの系統に合わせた「山型」の修業は理論的で、「もしも自分の系統が○○だったら──」と読者が話に入り込みやすい(ちなみに冨樫先生の出身は「山形県」)。

この「のめり込み度」の強さが冨樫作品の特長です!

ウイングの修業は基礎の基礎ばかりだったけれど、あの時はゴンもキルアも念を知ったばかりでした。今のような鍛え方をしていたら、精神も体も持たないでしょう。

そう考えると──、当時のゴンたちに負けた 200 階クラスの闘士たちは、哀れなくらい才能が足りなかった。それに「闘技場のルールで勝つこと」ばかりに集中しすぎで、ろくに念を鍛えてもいないでしょう。

しかし、そんな彼らでも師範代になって一生安泰という可能性もあった。「念が使える」というだけで特別なことだからです。誰でも彼でも使える能力ではないから意味がある。


旅団たちがグリードアイランドを発見する場面は、「そんな普通のボートで来られるような場所に あるのか!?」と驚きました。髪型も含めてフィンクスが松方弘樹さんみたいで、「ちょっと磯釣りでも楽しむか」な感じです。

シャルナークが分析したおかげで島に たどり着けたらしい。旅団のなかでも頭脳派の彼ですが、それでもクロロのほうが知識も分析力も判断力も上に思える。

やはり蜘蛛には頭が必要でしょう。

No.145 「邪拳 = ジャンケン !?」

ゴンよりも圧倒的にオーラの制御が上手だったはずのキルアでさえ、「石割り」は 200 回も続けられなかった。集中力はゴンのほうが上だから、この修業では差が広がりません。

石割り」は地味だけれど味わい深い。その難易度の高さが伝わってきます。それに、マンガとして おもしろく見せながら、鍛錬としての現実味を持たせるなんて、まさに この修業のように難しい。

ここでビスケが語った「ジャンケンの語源邪拳」も、また冨樫先生の創作でしょう。現実世界にありそうな「それっぽい話」を作るのが うまい!

ゴンが「邪拳」という言葉にピンと来ているところは、「王道マンガ」に見せかけた「バリバリの邪道マンガ」である本作品らしかった。たしかに「邪拳」の成り立ちは子ども心にグッと来ますね。

グリードアイランドへ来る前のゴンは、自分の念能力をどう伸ばすか悩んでいた。ウイングの言葉は 1 つのきっかけになり、ビスケのおかげで完全に開花する。

ゴンは家族や仲間ばかりか、師匠にも恵まれましたね。


ついにゲームマスターの一人が登場しました!

レイザーは、島へ不法侵入した旅団たちに「招かざる 客は何年 ぶりだろうな」と言っている。これは後半の展開とは矛盾するようだけれど、「彼が出会った不法侵入者は」という前提でしょうね。

彼が使った特別呪文・「排除」(エリミネイト)は、念能力の限界について考えさせる とてつもないカードです。しかも遠距離呪文なので、別にレイザーが直接 来なくても、島のどこからでも発動できたはず。

このカードのナンバは -003だから、ほかにも RULER ONLY なカードがあるはずです。ルール破りのプレイヤを罰する時に使うのでしょうが──、何十人も虐殺した「爆弾魔」には おとがめなし……。

放出系の システム」という言葉から考えると、ほかのカードも複数人が協力することで呪文を成り立たせているのでしょう。おそらく彼らが島の法律をも決めている。「プレイヤー狩り」は、この島の法に触れないようです。

ところで、グリードアイランドへは自然に漂着できないらしいけれど、飛行船でも来られないのかな? どこかの酔狂な金持ちが、フラフラと空中旅行を楽しんでいたら、島を偶然見つけた──とか。


ゴンは強化系だけあって、「グー」の威力が すさまじい! 岩をも砕く拳の威力は、どんな敵でも一撃で倒せそう。──ただし、当たれば。発動までの時間短縮と、ほかの系統への使い分けが今後の課題ですね。

ビスケが驚いていないところを見ると、彼女の拳は これ以上の破壊力なのでしょうか。そう言えば、よくキルアが飛ばされているし(※マンガ的ギャグです)。

──これまた連載中の自分の黒歴史を告白すると、ゴンの技を丸パクリで「破岩鉄拳」(はがんてっけん)と名づけて、空想の世界で架空の敵と戦っていました。そのころの自分は すでに 30 間近だし、じつは今でも……。

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