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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.17 「三つ巴の攻防」

Game Over 1 アウトで終わる──それが人生

第 17 巻の後半は、前半よりも不可解な描写が目立ちました。前半では本筋とは別の部分に(言いがかりに近いような)ツッコミを入れましたが、後半は話そのものに矛盾が目立ちます

それでも、最高に楽しめますけどね!

──などと言いながら、「No.72 マッド博士の整形マシーン」の説明でグリードアイランドにカメラが存在すると分かったため、「No.14 縁切り鋏」でゲンスルーの写真を切れば良いよなぁ(ぶつぶつ……)とか思ったりして。

No.170 「三つ巴の攻防」

万能アイテムと思われた「聖騎士の首飾り」のデメリットが、ここに来て急に語られました。「看破」(ペネトレイト)や「浄化」(ピュリファイ)と同じ効果だから、この点には納得ができます。

しかし、慎重なゲンスルーが持っているカードは、「複製」(クローン)や「擬態」(トランスフォーム)で増やしたカードではなく、すべてオリジナルということになる。

──それは あまりにも条件が過酷すぎるのでは?

また、ゴンは つねに「聖騎士の首飾り」を身につけているから、今後も手に入れる(触る)カードは全部オリジナルだけになります。そうじゃないと、せっかくのレア・カードが「ボン!」と消えてしまう。


さて、では「贋作」(フェイク)で化けているカードか どうかを見分けて、なおかつ「複製」と「擬態」の効果は消さない──そんな方法はないのでしょうか?

まずは「贋作」の説明を見てみましょう。

「贋作」を No.001 から 099 のいずれか 1 枚のカードに変身させる
変身したカードは指定ポケットに入れることは出来るが
コンプリートカードの対象には ならないし アイテム化も出来ない
カード化限度枚数にもカウントされない

つまりゲンスルーは、ゴンから「一坪の海岸線」を奪い取り、「聖騎士の首飾り」を身につけずに指定ポケットへ入れた後で、サブかバラが「念視」(サイトビジョン)や「名簿」(リスト)などでゲンスルーを調べれば良いのでは?

──と思ったら、「念視」では「贋作」を見抜けないことが、この第 17 巻に書いてありました(後述)。ここも疑わしいんですけどね……。

それなら、「複製」で増やせるか どうかで確認できるはずです。「一坪の海岸線」はカード化限度枚数の 3 枚が すでに存在しているから、もしも「複製」できたら「贋作」で間違いない。

いや──それ以前に、ゴンから「一坪の海岸線」と「奇運アレキサンドライト」を奪って指定ポケットへ入れてしまい、No.000 のイベントが発生したら それで良いし、ダメならツェズゲラを狙えば良いだけです。


以上から、自分がゲンスルーの立場だったら、今すぐゴンを襲いに行く。なぜ そうしないのか? 長年この島にいたゲンスルーが、自分程度の考えに至らなかったのは不思議で仕方がない。

これまでの展開が なめらかで素晴らしかっただけに、どうもゲンスルー組の行動が不可解すぎて残念でした。

一連の「『贋作』か どうか問題」は、すべて「ゲンスルーの相手はツェズゲラが先」というシナリオを作者が描くためです。つまりは、キルアがゲンスルー対策を考えて、ゴンが修業する時間を稼ぎたかった。

それなら、なんとしてもゲンスルーがツェズゲラを相手にしなければ ならないような──、たとえば「以前に手ひどく やられたから報復したい」といったベタでも良いから、納得できる理由を描いて欲しかったな。


もう 1 つグチが あります。

ツェズゲラは、「No.75 奇運アレキサンドライト」の入手する手段を知っている。それならば、「離脱」(リーブ)を手に入れられず困っているプレイヤなどをスカウトして、山賊にカードを渡すよう依頼すれば良い。

それにしても──、No.75 は「手持ちカードを全て 村人に渡す」ことが条件だったのか。着ている物まで脱がされたゴンとキルアは、まったくの損でしたね。ビスケは脱がされてないし。

──なるほど、村人たちはソッチの属性か(何が?)。


フィンクス・フェイタン組にも倒されず、「ハメ組」にも加わらず、生き残るだけでも大変な世界に ひとりで、ゴレイヌ神は優雅に暮らしていますよね!

そして、ちゃっかりとツェズゲラのチームに入るゴレイヌ神が抜け目ない。さらには、一つ星ハンターと対等──いや それ以上の態度で接しています。彼が本気を出したら、別に ひとりでもクリアできそうですね!


元は仲間とは言え、ヒソカに対する幻影旅団の冷たい視線が痛い。──それは仲間だったころも同じか。

交渉役としてのヒソカが信頼されている理由も不明で、頭の回転が速いシャルナークに任せたり、シズクやマチの色仕掛けではダメだったかな。──ダメでも描いて欲しかった!

感度ビンビン」なヒソカの望遠鏡がヤバいですね! 「登場人物紹介」でも この絵が使われていて、「おいお~い!」とツッコミを入れたくなりました。

そう言えば、黒澤明監督の作品──たしか『羅生門』でも、刀を使った同じ表現が ありました。意識していないと見逃すような、ほんの一場面だけです。「分かる人には分かる」表現がファンにはタマラナイ!

ヒソカがマチに話しかける時は、ほぼ完全に「はぁと」(または「?」)が語尾に付いていました。「それ いいね」のセリフでは「ダイヤ」に なっているから、本当に落ち込んだのでしょうね。

戦闘狂なヒソカも、最後には愛を取るのかな……。


まさかのカルトが入団です! (新興宗■の話みたい)

カルトが こんなにも積極的に話せるとは意外です。てっきり、家族の指示がないと動けない人物かと思っていたけれど、母親の前では猫をかぶっていたのかな。「部外者とは話すな」と教育されてきて、キルアと同じように家出した──とか。

ただ、アジトに侵入してきた部外者を入れるだけなら まだしも、団長がいない時期に無許可で入団を許可するなんて、これまた不思議な話ですね。

むしろ、クロロが見つかった時のために、ヒソカと同じく「団員ではないからクロロと話せる仲介役」としてカルトを確保しておけば便利だったのに。

そして冨樫先生は、カルトは「ボクっ娘」の女の子なのか、それとも男の娘なのか、いつかハッキリと絵で描いてください!


ツェズゲラたちの作戦は ある意味では残酷で、ゴンたちが負けることも想定している。それなら、「強奪」(ロブ)でゴンから「奇運アレキサンドライト」を奪い取れば良かったと思う。

そもそも、ゲンスルーたちの実力を完全に把握しているわけでもないのに、彼らが負傷するかどうかも疑わしい。ここまで戦略的にゲームを進めてきて、最後の最後で他人任せ・運頼みな点も おかしいですね。

No.171 「三つ巴の攻防 2」

今回も 最初からツッコミどころが ありました。

ツェズゲラ組の残りカードのリストには、突然「No.81 ブループラネット」の名前が挙がっています。前回は あと 2 枚だと言っていたのに……。

ブループラネットも「SS-5」の超レアなカードだから、独占されていたりして入手には苦労するのでは? そんな重要なカードのことを、どうして前回は忘れていたのだろう。

もしかして──、ツェズゲラも知らぬ間にビスケがパクっていたとか!? (あり得そう)


ゴンの修業に つきっきりのビスケは、連続しての攻撃で汗をかいています。マサドラへの競争ではキルアが勝っていたし、そろそろ 2 人の実力はビスケを追い抜きつつあるのか? ──なんて、雪のように淡い夢ですけどね。

「『放出系』寄りの『強化系』」とビスケが見ていたゴンは、それでも「強化系」に比べると悲しいくらいに「放出系」は苦手です。「ジャンプ」の主人公は「万能型」が多いけれど、ゴンは「型にハマれば強い」タイプですね。

ところで初版の単行本では、ビスケのセリフが「皮膚で感じた瞬間に“絶”!!!」となっています。あきらかに これは「」の間違いでしょう。それとも、つかまれた場所は「凝」、それ以外を「絶」にしろ──という指導なのかな。


ビスケの「魔法美容師」(マジカルエステ)・「クッキィちゃん」はエステティシャンだと思うけれど、日本語だと「美容師」に なってしまいます。「切り裂き美容師」(シザーハンズ)のビノールトを思い出すな……。

じつは「マジカルエステ」を利用すれば、ゴンの修業もキルアの回復も、両方とも時間が短縮できたはずです。なぜ、ビスケは この場面で使わなかったのか?

──その理由は遠い未来で描かれるように、「ビスケが無報酬では必要以上に働かないから」なのかも。


寝込みを襲うのは、ゲンスルーたちのような強敵に対して有効な手段です。ここでは弓矢を使っているけれど、銃弾を撃たれたら防ぎようが ありません。でも さすがに、この島では銃器は取り扱っていないかな?

「爆弾魔」たちは 3 人で交代して眠れますが、このように危険とは隣り合わせです。──たったひとりで生き抜いてきたゴレイヌ神の強さが、あらためて よく分かりますね!

No.172 「三つ巴の攻防 3」

ゲンスルーが考えた「一石三鳥乱暴な手」は、やられたほうは悪夢のような作戦です。マサドラへ たどり着くだけでも一苦労なのに、さらなる地獄が待っているなんて思わなかったでしょうね。

そして、長く語り継がれることになる「アウトーー !!」が登場しました! 多くの物語(と実話)に共通する「悪人ほど陽気」という常識が、ここでも当てはまります。

「爆弾魔」も幻影旅団も、殺しさえしなければ楽しげな連中なんですけどね……。


ゴンは飲み込みが早く、驚異的な成長率で突き進んできたのに、ほぼ初めて大きなスランプに ぶつかりました。今までの鍛錬では「強化系」を伸ばす方向が多かっただけに、ほかの系統は苦手なままだからです。

キルアとビスケが巨大な岩を見つめている意味は、ここでは明かされません。話の流れからして「爆弾魔」を倒すために使うわけですが──、これも無理があるような……。

No.173 「三つ巴の攻防 4」

いよいよ始まった「鬼ごっこ」は、アクションで見せる話かと思わせて、じつは頭脳戦でした。追いかけっこの最中にも、サブとバラを使って供給係を見つけ出すという徹底ぶりです。

ゲンスルーたちも よく考えつくし、ツェズゲラも よくトリックを見破りましたね。ゴレイヌ神なら、サブとバラを瞬殺できると思うけれど(そうか?)。

これまでの描写で分かるように、呪文カードで移動する場合は、到着後に みんな片膝立ちで固まっています。そこをツェズゲラたちが 4 人で一斉にかかれば、ゲンスルーに勝てたかも しれませんね。


『グリードアイランド』のゲームが置かれている古城は、最新の防衛システムで守られているはずです。その上で武装兵まで雇っている。

いまさらゲーム機を盗まれてもゲームに参加されないのに、徹底的に守るなぁ──と思っていたら、いつの間にか古城にはバッテラが住んでいます。ここも唐突すぎますね。

No.174 「三つ巴の攻防 5」

ツェズゲラたちのカードを「念視」で確認して 96 種類あった──とゲンスルーたちが話し合っています。つまり、上で書いたように「念視」は「贋作」を見破れない。この設定もモヤモヤするなぁ……。

重要なカードをツェズゲラから託されるなんて、さすがはゴレイヌ絶対神ですね! 使者を送らない限りはゲンスルーたちは帰ってこないし、これは──持ち逃げフラグか!? (自分なら絶対そうする)


財産の半分以上──いや すべてを投げ出してでも恋人を救いたかった。そのバッテラの気持ちには共感できるけれど──やっぱり ここも不可思議だよなぁ……。

まず、バッテラはカードも あきらめているけれど、せめて「No.31 死者への往復葉書」を使ったら 慰めにはなったのでは? (このカードも、どうやって実現させているのだろう……)

また、何百億も使えるのであれば、医者ではなく念能力者を捜すべきでした。クリアまで何年かかるか分からないようなゲームに手を出すよりは、どう考えても有望な賭けです。それに、わざわざ目的を隠す必要もない。

たとえば、「若返る薬」の代わりにはビスケの「マジカルエステ」でも良かったし、意識不明の状態から起こすことも念能力なら可能なはずです。なにしろ、われわれは「大天使の息吹」の存在を知っている。

おそらく作者は、「グリードアイランド編」を本格的に描き始めてから、バッテラの目的をあとで決めたのでしょうね。そのせいでスッキリしなかったけれど、話の おもしろさは損なわれていないから良いかな(何様?)。

No.175 「三つ巴の攻防 6」

牙を剥いてゴンたちに襲いかかるゲンスルーたちとは対照的な、「猫かぶりモード」のビスケが かわいらしい! 彼女の正体さえ知らなければ、見ていて なごむ存在です。

交渉に慣れているキルアは、演技も上手でした。完全に「逃げ回る弱者」としてサブも見ていたはずです。「爆弾魔」側の視点から見たら、指定カードを制覇する直前の前菜みたいな感じでしょうね。楽しんで襲ったのだろうなぁ。

読者には、「あの場所」へ誘い込んでゴンたちが何をするのか──という謎解きが残されています。これまでの手掛かりだけでは解けないため、かなり創造力を刺激する謎でしたね。


同行」(アカンパニー)などで逃げたあとに気配を断って隠れるのは、非常に良い作戦です。追ってくる者の呪文カードを余分に消費させられる。

ゴンたちの場合は「逃げ通すこと」が目的ではないけれど、ツェズゲラたちが思いつけば「離脱」まで使う必要は なかったですね。

最後にゲンスルーが言った「お前は オレだ」はシンプルで良いセリフでした。「今は敵同士だけれど、お互いに よく似たところがあって、まるで 2 つに分かれた分身のようだ」という哲学的・詩的な言葉──

──ではなく、たんなる「お前の(相手は)オレだ」という意味なんですけどね。

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