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『HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)』 No.21 「再会」

蛍 蛍よ 蛍よ──なぜ生き急ぐ?

第 21 巻の後半は、さまざまな「恐ろしさ」を見せつけます! 前半ではキメラアントの王ひとりが恐怖をまき散らしていましたが、後半は何種類もの恐さと怖さが描かれている。

それらを生んだ作者への畏怖の念にも繋がります。

その一方で、恐怖という「呪縛」に打ち勝った者も現われました。そこには熱狂的で醜い愛情と、美しくて悲しい精神とが交差している──。

No.218 「告白」

ゴンは のんきにデートの準備を楽しんでいるけれど、兵隊蟻の気配にも まったく気づいていません。気が ゆるみすぎです。

この年頃の男子としてはゴンの態度は正常だけれど、戦闘に負けたことで緊張の糸が どこかへ消え失せたのでしょうか。トリタテンに「絶」状態を強制されているため、感覚が鈍っている可能性もある。

こんな状態でアリに出くわしたら──。


ヂートゥは「もっとも美味」な脳しか食べないようです。違いが分かるグルメなアリですねー。

それならそれで、路地裏で人間を襲うとか家に押し入れば良いのに、あまりにも堂々と しすぎている。もちろん、捕まらない自信があるからですね。

全身を速く動かせるということは、脳の速度も飛び抜けている。CPU で言えば、メガヘルツとギガヘルツの単位くらいクロック周波数の差が違いそうです。

とても悲惨な状況を描いているはずですが、「指の おつまみ」にかかっている「海苔」の薄さや、ニュース・キャスタのパンキッシュな格好、風呂上がりのゴンの髪型──が合わさって、なんだか軽く読めてしまいました。


デートの待ち合わせ場所に やってきたパームは、本当に「誰だよ !?」と叫びたくなるほどキレイです! じつは以前から、たまに髪の毛の間から見えるパームの素顔が美形であることは、伏線のように仕込まれていましたね。

ただ、今回のパームは、不思議と頭身のバランスが変に見えました。ギャグっぽい絵になると頭身が低くなるのは当然だけれど、それ以上に顔が大きく見えるんですよね。表情も不自然に感じる。

頭をすっぽり覆うマスクを被っているか、あるいは替え玉か──と疑惑の目で見てしまいました。ただたんに描き慣れていないだけかな。

さて、最後の場面で「は? 何 言ってんの?」とキレるパームに、理不尽さを覚えたりギャグだと思った人が大半だと思うけれど──、

いやいや、もしかしたら人生で初のデートで、「ほかの男と会いたいから待ってて」なんて男から言われたら、女子は全力で怒って良いのです! ここはパームの反応のほうが正しい!


ゴンは、なかなかステキなデート術を見せました。ウミテホタルが集まってくる世界で一番 きれいな花をプレゼントして、初デートを最高の思い出で飾っている。

意識的にか無意識なのか、ホタルのフェロモンを利用している点も、男女の親密さを演出することに向いています。この女性との接し方に慣れた感じは、育った環境というよりも、親譲りなのだと思う。

そう、パームに対して優しく接しているのは、ゴンの誠実さではあるけれど──、なんだかんだ言いながらも最終目的は、パームの清らかな肉体──ではなく修業に専念 したい」という ただ一点だけでした。

このゴンの「相手を煙に巻こうとする性格」は、間違いなく父親のジンから受け継いだものです!

おそらくグリードアイランドがゴンを育成するために作られたと知って、なんとなく「ジンは息子思いな良い父親」なんて だまされかけたけれど──、ゴンを捨てて遊び回っている事実は変わりません。

それに、たとえジンが息子思いなのだとしても、息子がゴンひとりとは限らない。港ごとに恋人がいそうな気さえします。

──ゴンとキルアって、よく似ているよなぁ……。

No.219 「覚醒」

キメラアントのなかで最初に念能力を覚えたラモットは、以前よりも確実に強くなっているはず。キルアに「呪縛」がベッタリと絡みついていることが その証拠です。勝てるのか……。

もともとイルミがキルアの行動を縛った理由は、言うまでもなくキルアを安全に生かしたいからです。そのためには、仲間を見捨ててでも、他人を犠牲にしてでも「逃ゲロ」という教えだったに違いない。それが逆に、キルアを苦しめて追い詰めています。

時として愛情は、相手を死に至らしめる毒薬になる。


以前にも書いたように、必死に恐怖心と闘いながら、「オレの大事な 友だちだもん」と震えるキルアが良かった! イルミの仕掛けた「呪縛」以前に、生物としての本能からしても、いますぐ逃げ出したかったでしょう。

キルアが「友達だもん」と泣くのがよかった | 亜細亜ノ蛾

一方、そんなに直向きなキルアを見て、ガマンができずにヨダレを垂らすラモットの気持ちも、なんとなく分かってしまう──。その おぞましさが気持ちイイ!

気味の悪さや恐ろしさを強調するのであれば、普通は顔の筋肉やシワをリアルに描いて現実味を出します。ところが逆に、デフォルメされた絵柄でラモットを描いている。それが効果的にクレイジィさを感じさせました。


キルアが「脳に埋め込まれた針」に気付けた理由は何でしょうね? ずっと刺さっていたのだから、いまさら痛みを感じるとも思えません。

現実的に考えると答えが出ないけれど、これはオーラを集中させることで、体の すみずみまで察することができた──ということだと思う。

しかし、なぜ NGL に入国する時の検査で針が引っかからなかったのかも不思議です。「アニキ特性の合金」で作られているからかな(作ったのがイルミかミルキかは不明だけれど)。


主人公(に近い人物)が お手軽にパワー・アップする展開は、バトル・マンガでは よく見る光景です。そこを極限の緊張感と狂気の描写に よって、ウヤムヤさをムリヤリに説得されてしまう。

──ゴンがパームに仕掛けた手口と同じですね!

最後にキルアがラモットの頭部を破壊したのは、「武士の情け」にも見えるし、カイトの教えである「確実に頭を潰せ」を忠実に守ったようにも思えました。どちらかと言えば後者だろうけど、開放された感謝も含まれていそう。

No.220 「再会 1」

せっかくラモットを始末したのに、これでゴン(と ついでにパーム)が兵隊蟻に連れ去られていたら、キルアは これ以上ないくらいの悲しみを味わったでしょうね。

その心境を想像すると──それはそれで……(何?)。


これまでのパームは、何度かビスケやゴン・キルアを脅していたけれど、けっきょくは言葉だけのことでした。ところが今回は、ハッキリとキルアの頭部に向かって包丁を突き立て──ようとしている。

今までは気持ちを抑えていたけれど、「ゴンに裏切られた」と感じたから、パームの最後の自制心がブチ切れたのでしょう。

兵隊蟻が うろつく街や森よりも、呪われた屋敷のほうが殺伐としていた──。この家で寝泊まりするくらいなら、キメラアントの巣のほうがロイヤル・スイートですね。

パームの異常さは分かりやすいけれど、この状況でも まだ「悪鬼の巣」へ戻ろうとするゴンの性格のほうが異様だったりして。


パームの念能力は、水晶が付いた人魚(の置物?)を使った千里眼のような能力です。いわゆる(女性の)「人魚」が持つ色気などは皆無で、現在のパームに似合っている。

彼女自身は「強化系」能力者なのですが、これは「視力の強化」と言えるのかな? それとも、人魚自体に千里眼の効果があって、パームの血液と念で その力を強化している──とか。

また、あいまいな描写で分かりにくいけれど、人魚は「髪の毛から出した」ようにも見えます。ずっと先の展開からすると、本当に「頭から取り出した」のでは──と思ってしまいました。それくらいは軽く やってのけそうだな……。

ノヴはさすがに まともな人格かと思いきや、「私だけの為に 使え」と冷たい目で言い放つ様子からすると、完全にパームの好意を利用して能力を私物化している。

どいつも こいつも……。


モラウとナックルの師弟コンビがヂートゥに挑む!

あきらかに怪しげな煙が立ちこめているのに、真っ正面から飛び込むヂートゥは、自分の素早さに絶対の自信を持っている。その無鉄砲さは、ナックルが好きそうです。

No.221 「再会 2」

ヂートゥは、憎たらしいほどに余裕しゃくしゃくですね! でも そのおかげで、モラウもナックルも平気で戦えていると思う。たとえば、目玉をえぐり出すとか指をかみ切るくらいは、ヂートゥなら簡単に できたはずです。

一分かそこらなんて、ヂートゥの感覚からすれば、常人の 10 分や 1 時間くらいに感じるでしょう。その間、2 人に致命傷を与えることもなく遊んでいる。

生まれ変わってから初めて、手応えのある「遊び相手」に出会ったから、うれしくて仕方がないのでしょうね。このヂートゥの遊び好きな性格は、いつか致命的になりそう。


ここでの疑問は、「ポットクリンを具現化できるのは一体だけなのか」。もしも一体だけだったら、戦闘 Lv1 の兵隊蟻に使うのは もったいのでは?

とはいえ、1 匹でもキメラアントが人間社会に まぎれ込んだら、それだけでも大惨事になる。徹底的に「アリの駆除」を行なう心構えを感じました。

── NGL へ行く前に、「拳を交えて分かり合う」ようなことをナックルが言っていた気もするけれど……。

この模擬戦のような一幕でも分かるように、ナックルの「ハコワレ」は誰かと連携して使うと効果的です。たとえばシュートの「手」のように、離れて戦える技とも相性が良い。

ナックル自身は「正々堂々と真正面から勝負!」という性格なのに、念能力は補佐に回ったほうが向いている。この ひねくれ具合が彼の持ち味です!

No.222 「再会 3」

シュートの「カゴ」の正体が分かりました。

相手を閉じ込める能力なら普通だけれど、「全身でも 一部でも」という設定がエグイ! たとえばゴンやクラピカだったら、右腕を封じられたら もう勝ち目がありません。

暗い宿」というネーミングは、有栖川有栖先生の著書・『暗い宿』からの引用で間違いありませんね。この短編集には、「ホテル・ラフレシア」という短編も収録されています。


ネフェルピトーに修復されたカイトは、とても「無事」とは言えない状態でした。ピトーと戦った直後は顔がキレイなままだったから、現在の傷は兵隊蟻との戦闘で付いたものでしょう。

何度も壊されて、そのたびに直したのだろうか──。

ポックルの頭脳から強引に情報を引き出せたピトーなら、機械的に動く「戦闘玩具」を作り出すことなど、簡単な作業だったはず。その上、Lv2 の自動操縦も解除していない。

ニャるほど、お気に入りのオモチャのような扱いです。


カイトの念能力は、ナックルが封じているらしいけれど、どこにも「トリタテン」の姿が見当たりません。描写を省略しているだけなのか、それとも「ハコワレ」以外の能力を持っているのか──。

いずれにせよ、カイトの念能力を封じながらでも、別の敵に「ポットクリン」を出せることが分かりました。単体の敵に有効と言うだけでも恐ろしいのに、複数の敵にも使えるなんて、ナックルの念能力は性能が良すぎますね。

No.223 「10-1」

シレッとした表情で戯れ事(ざれごと)を言うノヴは、やはりネテロ会長が呼び寄せた人物だけは ありますね。あの会長と付き合うには、これくらい酔狂で粋(いき)な性格が釣います。

むしろシュートやナックルのほうが、ゴンの底力に懐疑的な ところが興味深かった。

モラウは実戦の経験が長く、さまざまなハンターを見続けてきたはずです。たとえ「絶」の状態で集中力不足だろうと、その奥底に眠る「怪物」を感じていたに違いない。


デイーゴ総帥が念能力で操られていることは丸見えです! 東ゴルトーにも国外にも、放送を見ているなかには念能力者が何人もいるでしょう。ニュース・キャスタの かわいらしさに目と心を奪われがちですが(私だけ?)、これは大問題なのでは?

ここで 1 つ考えられる可能性は、「隠」で極力見えないように隠していることです。それと知らなければ、わざわざニュースを「凝」で見ないでしょう。

もう 1 つは、たとえ「デイーゴは操られている!」と察したとして──、それを誰に伝えるか?

東ゴルトー共和国の国内では、「偉いさん」に言うわけには いかない。「総帥は操られている!」と言ったところで、「一発の銃弾」で かき消されるでしょう。

国外では、けっきょくハンター協会にでも伝えるしかありません。ネテロ会長が自分から動いているのだから、あの人間とは思えない「マメのような顔の秘書」が処理して終わりです。

それでも、骨を折って東ゴルトーに潜入して──キメラアントの胃袋に収まったハンターが何人か いそうだよなぁ……。


モラウとノヴの話を真剣な表情で聞いているゴンとキルアですが──、強制的に念を 使えるようにする 方法をキメラアントに教えた張本人が、まさか自分たちとは気づいていない様子です。

もしもコルトがゴン・キルアと再会したら、お互いに ちょっと複雑な心境になりそう。第一声に何と言って良いか分かりませんね。コルトはベジータに似ているからと言って、ツンデレな憎まれ口をたたく人物でもないし。

そう言えば 2 人は、「コルト」が誰なのか知らないはずでしたね(モラウかノヴが「写メ」を撮っていたりして)。


ネテロ会長の地獄耳は おもしろかった!

もうやられてん じゃないの?」という冗談半分で聞いたキルアのイヤミを、ノヴの答えから来る緊張感が吹き飛ばす──。その直後にメールですからね! あいかわらず話のテンポが軽快です。

さりげなく「はぁと」を飛ばすパームにも注目ですよ!


ゴンのイカれ具合が最高です! 「ホントに 殺しちゃう とこだった」と軽く言う表情は、まるで花びんを割ってしまった子どもが見せるような幼さですね。たぶん、本当に拳を突いた時でも──。

ここも また、緩急の付け方で何倍も画面に厚みが出ています。倒すべき敵・ネフェルピトーを思い浮かべてから見せた、ゴンの鬼神めいた殺気をしっかりと描いているからこそ、このアッサリとした絵柄が生きてくる。

ゴンがナックルを殴った時には、「硬」の防御力でも吹き飛ばす威力が ありました。現在のゴンであれば、ナックル以上の防御力であるはずのモラウでさえも突き破るでしょう。

天空闘技場の時みたいに、「纏」ではなく「点」の修業がゴンの力に なったようです。もしかすると、30 日間も「絶」状態だったことで、体内にオーラが溜まったのかもしれません。


ゴンの覚悟を見ようとするモラウもまた、ナックルのように ひねくれています。──いや、それは逆で、この「良い意味で人が悪い」ところは、ナックルが師匠をマネたのでしょう。

一癖も二癖も一千四十八癖も ありそうなメンバのなかで、代々続く暗殺稼業の一家に生まれた「殺し屋のエリート」が、もっとも正常に見えますね……。

最後は それぞれの標的に向けて別れたメンバですが、パームもノヴたちを手伝うのか──という疑問が残りました。今のところは、彼女が付いてきても、足手まといにしかならないと思うけれど──。

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