『ニセコイ』 7 巻 「キッカケ」 2 – 彼女も素直じゃない

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『ニセコイ』 Vol 7 「キッカケ」

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リボンに込めた思い──花開く

後半こそは小野寺さんが可憐に咲き誇る!
──と期待していた多くの読者を置き去りにして、百合──もとい るりが主役の回から始まりました。
周囲の人間を描くことで、中心にいる人物を深く掘り下げる見せ方ですね。

ところが、「そのほかの人々」が魅力的すぎて、メイン・ヒロインの輝きが埋もれているような……。
ラストに登場した桐崎の話も、じつは一条の良さが前面に出ています。女性陣しか見ていない人も、そのあたりを注目して再読をどうぞ!

第 58 話 「フンシツ」

珍しい宮本るり師匠のメイン回です!
恋をした事など ない」アピールを冒頭から宮本は全力でしている。だから、てっきり「るりが楽にデレました(修羅場)」または「宮本に好きな人ができる」オチを期待しました。
でも、そんな次の機会(あるのか?)へ持ち越しです。


宮本は「一条ハーレム」に なかなか入りません。
楽に「落ちて」いないヒロインは るり(とキョーコちゃん)くらいです。さすがは るり師匠ですね!
宮本に対して自分は、なぜか「アイアン・メイデン」(鉄のしょ──少女)な言葉のイメージを持っている。それだけに、デレた時の反動が大きそう!

宮本と一条は、二人きりで話す機会がなかった。
これが、るりが楽にホレない理由かもしれません。いつも小野寺を間に はさんで近くにいたけれど、とくに一条を注目してこなかった。「小咲の好きな人」として見てきたわけです。

宮本は、「恋に恋をする」タイプではない。
それだけに、もしも宮本が、楽の良さ──細やかな気配りや男気ある行動を注視していれば、恋に落ちた可能性は高いと思う。


どう考えても「舞子 集が好きな人は宮本」ですよね!
最終的には「るりから集を好きになる」展開が読める。
──ただ、それにしては、結論に至る糸口が不透明すぎます。それほど隠す必要が あるのだろうか?

「鍵と錠」問題を放置したままの本作品らしく、舞子の恋心もミステリィなのでした。
さんざん引っ張ったあげく、「集が恋する お相手はモブ子ちゃん」というオチかも? もちろん、そのころには宮本が舞子にゾッコン☆ラブしてる。


表紙とは違い、小野寺 小咲の出番は少なかった……。
るり師匠の粋な計らいで、とうとう小野寺さんの「ネっトリ大作戦」を実力行使するか!?(ガタッ) ──と思ったのに、一条と見間違えて不発でした。

──いやいや、待ってくれ!
「メガネを探してきた」にしては、一条も小野寺も「ボロッ…!!」としすぎですよね? これは完全に事後としか思えません!
とうとう楽と小咲の「激お子」な「カム着床インフェルノォォォオオオウ」ですよ!?(書いている自分がドン引き)


小咲の 好きな人って言うのはね」が妙に怖かった!
まるで「小野寺 小咲は もう、この世には……!」と言い出しそうな空気です。楽が あまりにもドンカンだからイライラしている──という場面ですが、それ以上の殺意を感じました。
──あ、「小咲が好きなのは、私!(キリッ」と言うつもりだったのかな。

第 59 話 「ヒサビサ」

「あれ? 2 回も続けて るり回?」
──と思ったほど(半分ウソ)、桐崎 千棘の母親・桐崎 華背中にファスナが付いていて中から宮本が出てくる感じの女性でした。つまり、小野寺の お母さんにも似ている。

『ニセコイ』 5 巻 「タイフウ」 1 – 立ち話は終わらせない | 亜細亜ノ蛾

「父親はイカツイようでいて、娘や妻に弱い」「母親はサバサバした強気の女性」ばかりが登場します。一条の母親も、おそらく似たタイプでしょう。
この共通点には、何か意味があるのかな?
「ヒント: 作者の引き出し」が答えだと思うけれど。


さりげなく(?)2 人きりでクリスマスを過ごすように一条誘う橘 万里花が すごい!
そして、「ハニーと 過ごす」という楽の過激な発言を、「つれない ですわ~」で済ませるタフさも高校生とは思えません!
マリーも また「恋に恋する乙女」ではなく、一条のことを真剣に愛しているからこそ、多少のことでは めげない。
それでも、万里花の心には、いくつも細かい傷が入っているのでは……。

第 60 話 「ヒツヨウ」

こち亀』の世界から抜け出してきたような大社長の華さんです。
そんな彼女──大企業の社長に専属で、前知識も経験もないのに秘書業を普通にこなし、雑用(という名の拷問)まで やり遂げてしまう。
さすが、楽先輩やでェ!

小野寺の家で和菓子作りを手伝ったときは、一条は普段から料理を作っているから納得ができました。
しかし、今回は さすがにムリがあるのでは……。
そもそも、「30 秒あれば 成立したハズの 商談が成立 しなくなる」ような過酷な業務をこなす社長が、ド素人の高校生を秘書に雇う時点で おかしい。
さらには、ビルの移動で『ミッション・インポッシブル』ばりの装置を使っていたけれど、2 人で乗ったことは初めてのはずです。いや、1 人でも危険すぎるけれど。
ままま、まぁ、マンガやから……(震え声)。


秘書の仕事でクタクタなのに、桐崎に電話で気を遣う一条が良かった。楽のこんな所に女子は惹かれるのです!
楽のアドバイスを素直に聞きつつも、「ありがとう」が すぐに出てこない千棘も ほほえましい! これまでのツンツンがあるから、なかなかデレデレできません。この もどかしさがラブコメの命ですね!

第 61 話 「ハハオヤ」

前回のラストで、思いっきり華を「冷たい母」に描く。
孤高の存在として恐れられ、孤立する華を見せました。

今回の温かな扉絵には似合わず、12 月の寒空と同化する華をタップリと感じさせる。小咲の心も冷えていく。
──そのあとで、見事に ひっくり返しました!
あらゆる才能に満ちあふれているのに、「普通のこと」が不器用だから できない。桐崎の母娘は本当に よく似ていますね!


華から本音を引き出したのは、楽が献身的な働きです!
ボンヤリなのに思いやりがある一条は、いつでも一所懸命に手助けする。スケット団が高校にあったら、楽がリーダを食う(意味深)でしょう。

第 62 話 「キッカケ」

冒頭の「ダメだ 一条君…!!」が地味にツボでした。
アーデルトに仕える使える「ビーハイブのギャング A」さんなのでしょうが、(目のカタキにしている)ヤクザ・集英組の息子である一条に こき使われてきたはず。
とにかく「マダムフラワー恐し!」の一心で働いてきた彼が、「高校生の指示に従ってきたオレ」をふと数日後に振り返らないか、ちょっと心配しました。

そんなことよりも──、
「クリスマスに高級ホテルのスイートルームへ彼女を引っ張り込む彼氏」を見た前回のヒロインを心配しよう!
鶫 誠士郎が「ツグミの くちばし」みたいな口で固まっていて笑いました。カレシ・カノジョの関係だから、「そういうこと」もあると覚悟していたはずですが、目の当たりにするとショックでしょうね。
小野寺さんは、「こんなことなら、もっと早く『既成事実』を授かっておくべきだった……!」と後悔したに違いない!(第 58 話で経験済み?)
一方の橘は元気に見えますね。いまのところは……。


今回も一条が大活躍でした。
おそらく何億円以上もの損害が企業に出たわけで、冷静に考えれば「高校生の秘書が電話越しに頭を下げた」程度で済むはずがない。明日から華は、これまで以上の激務に追われるでしょう。

でも、そんなことはドーデモイー!
母親と娘が一緒に時間を過ごす。何よりも大切な家族の時間をプレゼントしてあげられただけで、一条はステキなサンタさんに なりました。
しかも、10 年前にも千棘がリボンを付けるキッカケを楽は作っている。今回の働きぶりも大きいし、「千棘のムコは楽」と確実に華は考えているはずです!
──寺(でら)ちゃんの巻き返しはあるのか!?

おわりに

オマケのマンガで、メッチャ気さくな「ジャンプ」の海賊マークが おもしろかった!
──って、なんだか『ONE PIECE』のゾロみたいな格好ですが、この海賊って衣装は決まっているのかな?


人気投票は、マリーに一人で 1500 票手描きした読者がすごかった!
──でも、この Y さんがいなくても橘の順位は同じだという……。


つぐみんはメイク・アップが下手だと判明しました!
しかし、これは美的センスの有無が問題ではありません。料理と同じで、手順や理論を知る必要があるだけです。単純に鶫はメイク・アップの機会がなかったから、今回の惨劇が生まれたのでしょう。
千棘にメイクしてもらった つぐみんがかわいかった!