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ゴーン・ガール』 (Gone Girl)

Punch and Judy パンチとジュディ──彼らが幸せになる道は?

「夫婦愛とは何か」を描いたラヴ・ストーリィです!

5 周目の結婚記念日に、妻が失踪してしまう。
残された夫は妹に協力を求め、妻の行方を追った。真実が明かされた あと、「結婚とは何か」を観客にも問いかける──。

もちろん、それだけでは終わりません!
なにしろ、『ドラゴン・タトゥーの女』を監督したデヴィッド・フィンチャーの作品ですからね! 自分が大好きな『セブン』の監督でも あり、「人間の心の闇」を描かせたら天下一品です。

ホラー映画より怖い恋愛物語でした!
彼女は どこへイってしまったのか──。

猫の目で吸い寄せる女

何と言ってもロザムンド・パイクの演技が素晴らしい!
不在の中心であるエイミー・エリオット・ダンは、物語の中盤まで回想シーンしか出番がありません。それだけに、もっと彼女のことを知りたくなってくる。ニクい演出です。
エイミーが独白する日記の内容は、いつも歌詞を思い出して切なくなる名曲・『あの素晴らしい愛をもう一度』を地で行くようでした。共感する女性は多いはずです。


エイミー(パイク)の特長は、「目力」の強さです。
映画の冒頭と最後には、たぶん まったく同じ映像が挿入される。寝転がってるエイミーが、頭を撫でられて振り返る──というだけの場面です。このときの瞳が美しかった!
そして、始めと終わりでは違った印象を受ける……。

あと、個人的にイチ押しの場面があります。
エイミーがデザートを食べながらテレビを見るシーンで、彼女の目に注目してください。まさに「爛々(らんらん)とした目」ですよ! 暗い場所で瞳孔が丸く広くなった猫のように愛らしい。
獲物を狙う目とも似ている。

言葉で呼び寄せる男

ベン・アフレックの抑えた演技が良かった!
「どこか不自然な男」であるニック・ダンをごく自然に演じています。ところどころ、演技ではなく素なのでは? と思えるほど、ベンはニックに溶け込んでいる。

そんなアフレックの次回作に納得です。
バットマン v スーパーマン: ドーン・オブ・ジャスティス』にて、新生バットマンをベンが演じます。ブルース・ウェインという「私生活が演技だらけのセレブ男」は、ニックとソックリですよ!


妻との初対面の場面が面白かった。
好みのタイプは「わざとらしくない男が良い」と答えるエイミーの目の前にいるのが、よりによってパーティ会場で一番わざとらしい男・ニックです!
さりげなく頭の回転の速さを見せつけつつ、イヤミにならない程度にキザなセリフを刻む。ああ、多くの女性を相手に場数を踏んだのだな──と一瞬で分かる場面でした。


ボランティア団体にスピーチするシーンも象徴的です。
ニックに協力して妻を探すボランティアたちの集会で、ニックを見た女性の 2 人が口々に言い合いました。
チャーミングよね」「気持ち悪い
──この、人によって まったく印象が変わってくる所は、まさにニックという男を言い表わしています! もしもブラッド・ピットが演じていたら説得力が なかった(褒めてる?)。

味方の うちは心強い

脇役も濃い面々でガッツリ固めています。
とくに、ニックの双子の妹であるマーゴ・ダンに注目しました! 演じているキャリー・クーンは日本では無名ですが、彼女のヒステリックな演技にゾッコン・ラヴでした!
初登場時のマーゴは、「やけに馴れ馴れしいバーテンダだな」という感じです。あとからニックの妹だと分かり納得したのですが──、なんだか兄に対する態度が ところどころ妙に見える。
下世話なニュース・キャスタであるエレン・アボットミッシー・パイル)から、ニックとマーゴが「兄妹にしては近すぎる関係」だと侮辱的な発言が飛び出します。当然のようにニックは怒るけれど──、
2 人の間には本当に「なにか」あったのでは……。


ロンダ・ボニー刑事(キム・ディケンズ)は渋かった。
トレード・マークのコーヒーを片手に事件の現場へやって来た彼女は、最初は やる気の無い女性刑事に見えます。まるで「お役所仕事」のような捜査をするのだな──と思わせる。
ところが、うっかりすると見落としそうな要所をすぐさま発見していく。そのあとも、「犯人」に簡単にはダマされず、敏腕さを発揮していきます。
──その優秀さゆえに、ボニーは歯がゆい思いもする。ツメの甘さの残る「犯人」を間近にして、さぞかし悔しかったでしょうね! あの場面で どちらを応援するか、意見が別れそう。


タイラー・ペリーが演じるタナー・ボルトも良かった。
いつも陽気そうなボルトですが、なんと「妻を殺害した夫が専門の弁護士」です! しかも儲かっているらしく、「アメリカだなぁ……」と思いしらされました。
その本職に ふさわしく、口では軽いジョークを飛ばしながらも、メガネの奥では冷たくタナーの目が光っている。絶対に敵に回したくないタイプです。

そう、この「味方にいる間は善人だけれど──」が、本作品に登場する人物の共通点でした。
それは ほとんどの人に当てはまるけれど、とくに本作品では裏表のある人間が多すぎる!

二重の意味を含む言葉

もしかして、「普通の恋愛」を描いた場面は、フィンチャー作品では初めてなのでは?
ドラゴン・タトゥー』は当然として、『ベンジャミン・バトン』にしても、どこかヒネリが加えてある。

すくなくとも、エイミーとニックが出会ってから恋に落ちてニューヨークに暮らしている間は、純粋に愛し合う 2 人を描いています。
幸せな生活に影が見え始めたときに、とても素敵な言葉を聞きました。ちょっと うろ覚えですが、「意訳」として引用しておきます。──物語が終わった今は、別の意味に聞こえる……。

大切なのは 2 人のことだけ それ以外は雑音


もう一つ、意味合いの変わったセリフが あります。
「100 万人の視聴者を味方に付けろ」とアドバイスされたニックが返す「(味方は)エイミーだけで いい」です。感動的な言葉にも思えるし、事件の解決だけが目的だったとも取れる。
彼の本心は、どちら?

おわりに

一番 悲惨なのは、デジー・コリングスだよなぁ……。
ニール・パトリック・ハリスが演じたエイミーの元カレは、本来であれば今回の事件とは無関係でした。ところが、たった一回の「失敗したジャンプ」が悲劇を生む──。
よく考えよう。お金(の隠し場所)は大事だよ!

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