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暗殺教室』 第 130 話 「仇の時間」

白茅 ふわふわした幻想も──いつか散りゆく

雪村あかりの過去が語られる──。
天才子役」という呼び名は彼女にとって重圧で、しかも演じている人物は「殺してやる!!」と叫ぶ少女でした。
あとは ただただ退屈そうな表情をしています。ほんの少しだけの笑顔が見られたのは、普通の学生と同じように就職を目指そうと考える一瞬だけでした。
その「演技をしない」という日常は──、二度と来ない。

休日の事件

役者業の休業が事務所の意向という点は意外です。
殺せんせーを暗殺するために、あかりから言い出したのかと思っていました。子役を使うことに世間からの批判が集まったのでしょうか? 現実世界では、売れっ子の子どもタレントにはウワサが付き物ですから。
この偶然は「茅野カエデ」には好都合です。しかし、雪村あかりには悲劇の始まりでした。

姉を看取る怪物

あかりが最期に姉を見た場面は、既視感が あります。
原作: 南條 範夫・作画:山口 貴由が描く残酷物語『シグルイ』にも似た場面が ありました。師を救う一心で必死な形相の弟子は、他人からすれば悪鬼に見えてしまう──。
しかも、「超破壊生物」は、本当に人間の外観をしていない。「血を弄ぶ 触手の怪物」に見えても仕方が ありません。


この時の殺せんせーの心境は想像を絶します。
マッハ 20 以上の思考力を持つ殺せんせーは、雪村あぐりが助からないことを一瞬で悟ったに違いない。あぐりの遺言を聞きながら、ただただ自分の無力さを味わったでしょう。常人の何百・何千倍もの「長い時間」をかけて──。

殺せんせーには、あかりに弁解する機会が皆無だった。
その点が最大の悲劇です。「試作人体触手兵器」の仕組みをすぐに理解できた あかりと殺せんせーであれば、よく話し合えば誤解は解けたに違いない。

支配者への反抗

理事長は、どこまで真実を見抜いていたのか?
あかりは、椚ヶ丘中学校の転入試験に合格した優秀な生徒です。まさに この学校の理想を体現したような生徒が、急に「素行不良」の印を押される行動を起こした──。

浅野 學峯理事長は、「茅野カエデ」に不自然な印象を抱いたでしょう。あの支配者のことだから、3 年 E 組の教師として雇った殺せんせーと関連づけたとしても不思議ではない。

ただし、E 組に落ちるような生徒は、理事長には興味が無い かもしれません。あるいは、すべてを見通した上で、殺せんせーも茅野も、自分の教育のためにコマとして使うだけでしょう。

偽りの相似

潮田 渚の髪型が茅野と似ている理由に驚きました!
兄と妹のように「仲良し」で「似た」2 人は、そう見えるように あかりが演出しただけだったのか……。

初対面の渚を見た あかりは、彼に隠された殺気を見破った可能性も あります。だからこそ、潮田を「主役」にしようと考えた。自分は「脇役」に見せかけて利用する あかりは、理事長やシロと同じニオイがする。

兄の真意

シロの回避能力が見逃せません。
おそらく殺せんせーと同じくマッハ 20 で動く触手の攻撃に対して、シロは完全に避けきっています。あかりが本気を出していなかったとしても、シロの反射神経は人間以上なのでしょう。

さらに、シロは「たったひとりの 兄さん」だと語る。
以前にシロは、殺せんせーと堀部イトナを兄弟に たとえていました。同様に、あかりとシロも触手を持つ者同士──という意味だろうか。

ただ、その考えで行くと、殺せんせーを始めとして 4 人とも きょうだいになってしまう。シロが「たったひとり」と限定する理由は何だろうか?


その前に、シロが着ている衣装は対・超生物の素材で作られています。シロが触手の使い手だとすると、白装束に触れないように守っているのでしょう。あるいは、殺せんせーたちとは別種の触手なのかな。
謎だらけのシロが正体を現わしたときに、あかりと同じく「あの意外な人物が!?」と なるのでしょうか。

おわりに

茅、揺れるこの場所で 因縁は終着へ…
──最後のコマに書かれたアオリ分が素晴らしい! 決戦の舞台である すすき野原を示した一文です。「屋根を葺(ふ)く」が通じなくなっている現代では、固有名詞以外に「茅野」の意味は考えませんよね。


題名は「仇を恩で報ずる」から借りました。
「恩」を「怨」に入れ替えて意味を逆にする手法は、このサイトでは毎度おなじみです!
報ずる」は なじみが薄い言葉ですが、「恨みを晴らす」という意味も含まれている。狙ったように今回の話にピッタリでした。

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