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暗殺教室』 第 140 話 「過去の時間・7 時間目」

Necktie 過去に縛られず──未来を結ぶ

雪村あぐり先生が扉絵を飾りました!
生徒たちの将来に(あるいは質量的に)大きく胸をふくらませた先生が、志の途中で去っていく──。その思いは、殺せんせーが受け継ぎました。教師の象徴のような出席簿で上手に表現されています。

そんなことよりも、まったく違うことを考えました。
殺せんせーの触手は、『七夕の国』を思い出します。殺せんせーが かめはめ波(違う)を撃ったときにも書きました。今回は「上を向いた異形の手」なので、余計に似ている!(あ、ネタバレか)

死に臨む、師に望む

最期まで優しく微笑む あぐりが悲しかった。
そして、死の間際まで ずっと他人の幸福を考えている。一番 幸せになって欲しかった人から、この世から旅立っていく──。


あぐりの触手に対する言葉が興味深い。
第 1 話の回想と同じ「……なんて… 素敵な触手…!!」が繰り返されます。しかし、今回の話では まるで違った印象を受ける。──何が異なるのか?

よく考えてみてください。
いまは あぐりを優しく抱いている触手は、ついさっきまで研究所や職員を破壊していた兵器です。以前に あぐりの頭に触れたことも あるけれど、凶悪な武器であることも思い知ってしまった。
そんな「破壊生物の触手」は、あぐりでも恐ろしいに違いない。死神の「改心」を知っているのは、本人と読者だけです。

しかし、あぐりは触手が「教師の教鞭」に見えました。
「破壊生物と化した死神」が振るう触手は、いつか生徒たちを導く日が来る。そう あぐりは信じた。
つまり、触手を素敵な存在に変えたのは、あぐりの願いです! その真っ直ぐな思いは、とっくに死神に届いていた──はずでした。
少しのズレが、取り返しの付かない事態を生む……。

反省の日々

「弱くなろう」と望んだ死神が意外でした。
潮田 渚が書き続けてきた殺せんせーの弱点は、弱いものたちを感じ取れて・守れて・導けるためだと言う。「すべてを破壊する化け物」とは正反対の姿を自分で勝ち取りました。
「弱さ」を望んだ意思は、ある種の「強さ」です。

死神は、殺し屋としての半生を呪っている。
しかし、人生のすべてを暗殺に費やしてきた死神が、いまさら別の道を歩めたでしょうか? ──十分に可能だったと考えます。


たとえば、ロヴロ・ブロフスキが良い例でしょう。
現役の殺し屋を引退した後、殺し屋の斡旋業「殺し屋屋」をロヴロは運用している。作中で描かれている限りでは、(二代目の)「死神」以外には命を狙われていません。なんだか楽しそうに仕事をしている。

日本の「極道もの映画」などでは、そう簡単ではない。
裏稼業から抜けるときには指を【自粛: とっても痛いこと!】たり、組織から圧力をかけられたりする。くわしくは、最近 話題になった下のマンガが分かりやすい!
どの国のどんな裏組織でも似た事情でしょう。


では、死神は人生をやり直せたか?
まず、暗殺稼業で十分に報酬を得ていたはずです。次に、死神よりも賢くて強い標的は いなかった。そして、死神は変装が得意です(作中に そんな描写は皆無だけれど)。
以上から、意外と簡単に殺し屋の世界を死神は抜けられたと思う。ただ、そんな発想が──そう考える心の ゆとりが なかった。もっと早く、もっと違った形で、あぐりに出会っていたら──。

タイは大

なんと、殺せんせーの衣装は先生自身の手縫いだった!
──という衝撃的な事実が明かされます。しかし、自分は一足早く知っていました。
名簿の時間 暗殺教室 公式キャラクターブック』にて、殺せんせーの服装(とコスプレ癖)についてサラッと書かれています。
よく考えれば、超破壊生物の衣装なんて市販されていません。手作りで当然です。しかし、マンガの登場人物が着ている「不思議な衣服」は、一種の「記号」と見る。まさか その製法まで設定があるとは考えつかなかった。


服は手縫いだとして、ネクタイは一本なのだろうか?
もちろん、あぐりが死神にプレゼントし(ようとしてい)た巨大ネクタイは一本だけです。しかし、夏休みの特別夏期講習の時に、衣装は すべて爆発したのでは?

──と思って読み返してみました。
ところが、この普久間島では、殺せんせーは ずっとリゾート衣装を着ています! 「完全防御形態」が解除された後、しばらくしてからネクタイを着けました。
つまり、本格的な「暗殺ムード」が終わるまでは、どこかにネクタイを隠していたのでしょう。それだけ生徒たちの暗殺に期待をして、同時に警戒していたのです。
自分が散る結果になっても、あぐりとの思い出だけは残したかった。──そんな殺せんせーの気持ちが見え隠れします。

おわりに

題名は「昔年寄りに弱い者なし」から取りました。
元の言葉は、いわゆる「老害」をからかうような意味でしか ありません。
「弱くなりたかった殺せんせーも あぐりも、両者とも強い人だ」くらいの意味でタイトルを付けました。苦しい!
毎週 書いているけれど、「過去」しばりで ことわざ・成句・故事を探すのは、これで最後だと良いな……。

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