『16 ブロック』 窓際“ジョン・マクレーン”には遠すぎる距離

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『16 ブロック(16 Blocks)』

ストーリィは、「簡単な任務」をニューヨーク市警のジャック刑事(ブルース・ウィリス[ad])が たまたま引き受けたことから始まります。

たった16ブロック(1.3km~1.6km)先にある裁判所へ、二時間後の開廷までに証人を送り届けるという、通常であれば十五分もあれば終わる仕事なのですが──もちろん、そんなに簡単には行きません。

移動中に、ある組織から執拗に命を狙われる証人、エディ・バンカー(モス・デフ[ad])。はたして、証人が命を懸けて証言しようとしていることは、なにか?

トリックもアクション・シーンも充実していて、たっぷり楽しめます。家族と、恋人と、そして一人で──、どのようなシチュエーションでも満足できる良作です。

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16ブロック
ブルース・ウィリス; モス・デフ; デヴィッド・モース リチャード・ドナー
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2007-11-07
楽天ブックス: BEST COLLECTION LIMITED 1980::16ブロック

by G-Tools , 2007/11/24

オープニングが山場

後半に出てくる山場のシーンから始まります。なんと、ジャック刑事から家族にあてた、遺言なのです。

そして後半、同じシーンが出てきます。どう見ても、ここで終わりそうなのですが──。じつは、ここからの展開が見ものなのです。映画の残り時間に注目していればすぐわかりますが、久しぶりに「おお!」と驚いた展開でした。

刑事役のブルース・ウィルス

主人公のジャック・モーズリー刑事を演じるのは、ブルース・ウィリス。同じ刑事役である、『ダイ・ハード』のジョン・マクレーンとは、かなり異なる役柄です。

『ダイ・ハード 4.0』よりも前の作品とは思えないほど、本作品のジャックは くたびれていて、マクレーン刑事よりも老けて見えます。脚が悪くてアルコール中毒気味、そして、とても正義感あふれる刑事には見えません。

──じつは、このジャックの性格が、本作品のトリック(の ひとつ)になっています。

前述の通り、証人は命を狙われ、ジャックが助けることになります。「刑事なんだから当然じゃないか」と言われそうですが、普段の彼なら、それほど真剣に任務を全う(まっとう)しようとは思わないはずなのです。

それではなぜ、ジャックは証人を助けようとするのか──。これも、本作品の謎のひとつです。この謎の答えが、ラストでジャック刑事に届けられたメッセージと重なり、かなり感動しました。

ジャックの家族

面白かったのが、「ジャックの家族」について、本筋外の叙述トリックを使っていること。

叙述トリックとは – はてなダイアリー

このトリック──となるとも思えなかったトリックは、ミステリィ・ファンの自分は、ニヤリ、としましたね。洒落ています。

ラスト・シーン

やっぱり、この映画はラスト・シーンが一番いいですね。

ラストで、ジャックへ届けられたメッセージ──これが、全てですね。

DVD には「もうひとつのエンディング」が収録されています。こちらも本編同様、感動的な終わり方で、どちらも捨てがたいラストですね。