『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 2 巻「夏の桜」
とっくに発売されている、『SKET DANCE』第 2 巻の感想です。自分が、いまの(週刊少年)ジャンプで一番面白いと思うマンガなので、ちょっと力を入れて紹介します。
『SKET DANCE(スケット・ダンス)』 第 1 巻 感想 : 亜細亜ノ蛾
主要な登場人物の紹介が多かった 1 巻と比べ、2 巻では今までの登場人物を再登場させて、より一層「血の通ったキャラにしていく」(p.86)描写が多いです。これは、「使い捨てにできるキャラ」が ほとんどいない本作には うれしい演出ですね。
個人的には、「スケット団と依頼人が部室でダラダラ しゃべってる話」が好きなんですが、まぁ、いろんなニーズがあるので、2 巻ではスケット団が様々な場所に出向いています。
しかし、やっぱり「ダラダラしゃべる」場面、ほとんどが吹き出しで埋まるページ(笑)で、きらりと光るものを魅せてくれるのは、やっぱり某先生と共通してますね。さすが、元アシスタントだけはあります(このネタ、しつこい?)。
ref.: 篠原健太先生について / SKET DANCE まとめサイト
さて、2 巻は見どころ・語りどころが多すぎるので、前後半に分けて紹介します。初めて読んだときのインパクトを味わって欲しいので、なるべくネタバレ無しで。
第 8 話「美咲と光太郎」
まず、出だしの繰り返しネタが面白い! 作者、こういう演出が手慣れてるなー、と感じます。
さらに、依頼人・テッちゃんの説明力皆無なセリフで笑いを取って、ガラの悪さと裏腹に「純」な過去話で しんみりさせる。──と思ったら、また笑いに繋げる、という構成力が凄すぎる。
けっこう暗い話、というか、テッちゃんからすればトラウマになっている話なのに、スケット団の面々の おかげで、なんだか楽しそうな雰囲気になっているのが良いです。
これ、スケット団が「そうか……大変だったんだな、お前……」みたいになっても、なんの解決にもならないし、テッちゃんの「心の重荷」を増やすだけ なんですよね。このあたりを わかっていないと、下手な「お涙ちょうだい話」に堕してしまう。
この、さじ加減が絶妙なのが、『SKET DANCE』の魅力ですね!
後半はリーダらしく(?)、ボッスン(藤崎 佑助: ふじさき ゆうすけ)が活躍する──かと思いきや、「微妙な顔」で困ってばかり。これが、ボッスンクオリティ☆
あと、みんなの私服姿が、じつに「らしい」のが面白い。テッちゃんのセンス……。
第 9 話「夏の桜」
一切ギャグがない話。それでも全ページ読ませるだけの力があるのが、このマンガが単なる「お気楽学園コメディ」ではない証拠。
冒頭で、お互いが ぶつかり合う場面が熱い。──が、普段はオイシイところを かっさらっていくスイッチ(笛吹 和義: うすい かずよし)の出番がなくなるのが悲しい。でも、「こういうときだけは口で話す」という中途半端さは やめて欲しいよね。
ネタバレしないように書くのが難しいけど、後半の展開は、絵的にも話的にも感動。ジャンプ連載時、目に熱いものを感じて、照れ隠し的にページを素早くめくった。
テッちゃんと美咲、また出てくれると うれしい(『盗っ人団』の回でチラッと出たけど、あんなんじゃなくて)。
第 10 話「生徒会執行部」
生徒会執行部が初登場の回。
副会長・椿 佐助(つばき さすけ)と会計・丹生 美森(うにゅう みもり)が また、いろんな層から人気出そう(笑)
椿って、「融通が利かないだけで、実はいいヤツ」というキャラに作るのが普通だけど、スイッチやヒメコ(鬼塚 一愛: おにづか ひめ)の過去をズケズケ言うところ、モモカ(吉備津 百香: きびつ ももか)を「害」と言い切るところ、そして武力行使を正当化する考えが、嫌い。
この作者なら、「──ということがあったけど、やっぱり椿はいいヤツだった」と締めることが できるはずなのに、最後まで へそ曲がりなヤツで通したのは、逆に すがすがしいかも。
それで、頭に「ふ」が付く女子の方 以外はイラッと来ているところに、タイミング良く(悪く?)ヤバ沢(矢場沢 萌: やばさわ もえ)さんが出てくるところが ツボった(笑)
また、生徒会長・安形 惣司郎(あがた そうじろう)がラストに出てきて、「何かある」と思わせる演出がニクい。──というか、「惣」の字を見ると、いつも『BLEACH』の藍染を思い出すからなんだけど(笑)
第 11 話「ヤバ雪姫」
「前回のヤバすじ」が噴いた。そして、じつは次回の仕掛けの前振りだった、というのが あとでわかるのが面白い。
「『さすがスイッチ』のコーナー」って、ちょうど一冊に一回くらいの頻度で登場するんだけど、回数が少ないからこそ、スイッチの凄さが わかります。ホント、スイッチって高校生離れしているよなぁ。
さて、中盤から、まさかの(予定通り?)いままでのサブキャラ再登場。そして劇の練習に入るのですが──
ロマン(早乙女 浪漫: さおとめ ろまん)の「だっふんだ☆」キタ━(゜∀゜)━ !!
──って、なんで? なんでこのタイミングでシムケン(志村 けん)!? そして背景効果(笑)と、よく見れば「目に星」──オレを萌え死にさせる気か !! 作者──愛してるゼ!
というアレな感想は自重して──
ここから伝説の、各キャラボケ倒し大合戦が始まるのですが、武光 振蔵(たけみつ しんぞう)にしても、結城 澪呼(ゆうき れいこ)にしても、もちろんロマンも、「一人で一話分が楽に作れる」くらいのポテンシャルがあるのに、全員を一話に、しかも狭い部屋へ押し込めるなんて、無茶しすぎ(笑)
ロマンが第 7 話で、勘違いとはいえボッスンを好きになった話が、リセットされていなかったのが意外(嫉妬か?)。まぁ、ロマンの「乙女フィルタ」を通した「王子」が好きなだけにしても。だったら付き合ったらいいのに、そういう方向に向かないのも、この作品らしいですね。
あと、数コマとはいえ、スイッチが眼鏡を外した貴重な回でした。
第 12 話「鬼姫の目にも涙」
「前回のあらすじ」が噴いた。この作者のことだから、「タクヤ先輩」も忘れた頃に やってくるに違いない!(ちょっとボッスンとロマンがイイ感じのところに、タクヤ先輩が やってくる、とか?)
モモカがメインの話──と、作者が語る「セルフライナーノーツ」で書かれていましたが、ジャンプ連載時には気付きませんでした。それくらい、話の展開がスムーズで、各キャラの魅力を描ききっています。
椿の頑張りや、会長の「見るべきところは見ている」ところ、あと丹生の胸──と、生徒会の面々の魅力が、ちゃんと出ているのも見どころです(一人だけ、あれ?)。
前回のラストで衣装と道具が台無しになって、演劇を どうやって続けるのか、──という問題に対してボッスンが出した結論が また凄い(毎回そうだけど、このマンガには「凄い」しか言っていない)。
ここからの神展開は、どう書いてもネタバレになりそうなので、ぜひコミックで。
そして、この話があとのほうで、モモカの重大なターニング・ポイントになっていた、というのも凄いなぁ。