地球が静止する日 – キアヌ・リーブス主演の少し不満足な SF 大作

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『地球が静止する日』(The Day the Earth Stood Still)

Sci-Fi Museum - Klaatu Barada Nikto, Bitches! (by jeck_crow)

(以下、ペプシマン禁止)(あと、『ジャイアント ロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』とも無関係)

『地球──』はキアヌ・リーブス主演の SF 物ということで、『マトリックス』三部作や『コンスタンティン』を思い出しますね。

そして、狙ったのかどうか、本当に両作品を思わせる場面があるのです。画面全体が青みを帯びた(人の白目を見るとよく分かる)シーンが多くて『マトリックス』っぽいし、黒のスーツでさっそうと歩くキアヌは『コンスタンティン』みたい。──いや、こじつけですケド。

監督のスコット・デリクソンはホラー出身ですが、『地球』には目を覆いたくなる場面は、ほぼありません。恋人同士というよりは、家族と一緒に見て欲しい映画です。

ちょっと不満

そもそもこの作品を見たキッカケは、近所のレンタルビデオ店(正確には、ほぼレンタル DVD 店)で人気の映画だったからでした。これって、けっこう「地雷臭」がプンプンするんですけどね。

あ、いい機会だから書いておくと、M・ナイト・シャマラン監督の『ハプニング』も同じく人気でしたが、コレは借りたらダメ。ゼッタイ! ましてや買うくらいなら、ロト 6 や toto につぎ込みましょう。──というくらいに面白くなかった!

シャマランくんは『シックス・センス』や『アンブレイカブル』がバツグンで、『ヴィレッジ』もまぁまぁ刺激的だった。──ただし『ハプニング』、てめーはダメだ! 『ハプニング』一作だけで、M・ナイト・ツマランに格下げです(?)。

──なぜ、シャマラン監督のことを語り出した(文句を言いだした)のかというと、「不満が残る映画」を作る監督として、真っ先に名前を思い出す人なんですね。『サイン』なども、もうちょっとこう──、ねぇ? という感じだし。

そう、そんなわけで(?)、『地球が静止する日』も、どこか不満足なんです。どこがと言うと──、「地球人の良さ」がイマイチ描けていなかったり、アメ■カ軍がア■すぎたり、CG がチープな感じだったり……。

良かったところ

まず、むやみにベッドシーンを出さないのは良かったですね。

マトリックス レボリューションズ』なんて、お茶の間で見ていると「ん、うーん(せき払い)」というシーンがエンエンと(体感にして 1 時間くらい)続く。『マトリックス』にセッ■スは関係ねェだろ! とツッコミたくなります。

──が、よく考えたらあの映画の主題は「産めよ増やせよ」だし、そもそも「マトリックス」とは「子宮」のことでした。チャンチャン♪(オチてないよ)

『地球』にはベッドシーンはない──、かと思いきや、「キアヌがうまれる」場面があります。このシーンなんて、まさに『マトリックス』(一作目)なんだよなぁ。

あと、自分が一番好きな場面は、ジェニファー・コネリーが電話をする場面です。ここをスルーした人も多いのでは。

電話をする場所は、軍の施設内にあるトイレです。まず、施設の中に入る者は、携帯電話を没収される。しかし、ジェニファーは胸元に電話を隠して持ち込むんですね。そして、トイレで息子に電話をかけて、家族愛を確かめる。これだけだと、よくある感じですよね。

さて、ジェニファーの電話が終わった直後に、トイレのドアをノックする者がいます。ドアを開けてみると、女性兵士でした。その女性は、携帯電話の持ち込みは禁止であることを告げて、「電話を貸して」と切羽詰まった顔で言うのです。──このシーンの意味は分かりましたか?

つまり、女性兵士は、自分の任務として禁止されている携帯電話を取り上げた──、だけではありません。自分も、(おそらくいるであろう)愛する家族へ電話を掛けたかったのです。

この女性兵士については、それ以上の描写もありません。女性が電話を掛ける場面すらない。でも、自分には深い印象が残りました。こういう場面を、もっと描いて欲しかったですね。

まとめ

どうしても消化不良な感じがあるのは、「何を描きたかったのか」が弱いからです。

家族愛を描きたいのか──、と思ったけれど、ジェニファー親子の描写だけでは満足できない。「世界各国がパニックを起こしている様子」が何度も何度も出てきますが、その時間を使って、上で書いた女性兵士のような人物を出したほうが良いと思う。

人類は変われる、というのがこの映画の主題です。しかし、それすらも中途半端なんですよね。ジェニファーと、ある教授が口で言っているだけなんです。『ダークナイト』に出てきた 2 隻のフェリーのような、具体例が欲しかった。

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いろいろと足りないところはありますが、キアヌ・リーブスが格好いい! というただ一点だけで、見る価値はあると思います(えー)。