HUNTER×HUNTER No.305 『残念』 (週刊少年ジャンプ 2010 年 20 号)
(黒子──ホクロが特徴的なブライス人形)
先週号のラストはツラかった……! 「もしかして、主人公が■ぬのか?」と思ったものです。まだ園女は消えていないけれど……。
今週号の冒頭でも、まだツラい描写が続いていました。人ひとりの命は、それほどまでに重いのです。「たかがマンガだろ」といって笑う人は、現実世界でも泣けなかったりする。
とはいえ、ものすごくいいところで──ネテロの回想シーンを入れてくるような作者なのです。どんな超展開が起こってもいいように、心して本編を読みましょう……。
オレが カイトを
カイトは死んでいた。
──読者からすれば、もう、とっくに気がついていたはずです。自分も、たぶん治せるような状態ではないな、と思っていました。
それでも、今のゴンの姿を見ると、いたたまれない気持ちになります。まだ十代前半の彼が背負い込むには、あまりにも重い……。
もう一度、カイトがネフェルピトーと戦った場面を思い出してみる。たしかに、ゴンとキルアをかばったせいで、カイトは戦う前から片腕を失いました。でも、万全の体制で挑んだとしても、カイトがピトーに勝てたかどうか……。
だから、ゴンがそこまで「自分のせいだ」と思い込まなくても良いはずです。──いま、この瞬間に、そう言ってあげられる人──、キルアがいないことが、何よりも痛い!
助けて… くれるのかな
ピトーが「玩具修理者(ドクターブライス)」を出した時には、ドキッとしました。え、治せるの !? と。結果は、ご覧のとおり……。
この治療の場面は、いくつも残酷なスパイスが利いています。
まず、カイトの描写がヒドい。
あまりにも素っ気なく、無造作に、粗末に、ゴミのようにカイトを描いている。ここに『SKET DANCE』のボッスンがいたら「なんだよこれ、ワカメかよ!」とツッコミを入れるはず。それくらい、「生きていた者」ではなく、「物」のように描いています。たぶん、わざとそうしているのでしょう。
次に、ゴンを普通の少年のように見せています。
親しかった人の死を受け入れられない。──子どもとしては当たり前の反応を、ゴンにさせている。ほんのすこし前まで、宿敵を圧倒していたゴンなど、見る影もありません。連載開始当初のゴンですら、もっと大人びていました。このまま「壊れて」いくのかな、と不安になります。
そして、たんたんと自分の腕を治すピトーの冷たさ。
振り返ってみると、ピトーはずっと「いかに王の命令を忠実にこなすか」しか考えていなかったワケです。前回、ピトーはカイトの状態を正直に話しました。しかし、それすらもゴンの心をくじくための作戦かもしれない。そう思わせるくらい、ピトーからは冷酷さを感じる。
そう、ネフェルピトーはつねに、キメラアントだった……。読者が──自分が勝手に、人間らしさを求めただけだったのです。
なんでこんな事に !?
パームはゴンとピトーの様子を話す。それを聞いたキルアは、コムギがいるからピトーは 逆らえないはず
、と考えました。キルアもパームも、まさか、ここに来て「カイトは治せない」とは予想もできなかったのでしょうね。
ちょっと思ったのが、「本当にピトーはカイトを助けるつもりだった(助けられた)が、手遅れだった」という場合は、ゴンとキルアはどうしたのだろう? その場合でも、「カイトを殺した仇」として、ピトーに戦いを挑んだのかな……。
立場逆転 ですね
この交渉は、シャウアプフのミスですね。ゴンとピトーに起こった異変は、プフのせいだと自分から言っているに等しい。その彼にコムギ──人質を渡すなんて、なんの取引にもなっていないのです。
ただ、本当にコムギと引き換えにして、ゴンを救えた可能性はありますね。
コムギをプフに渡しても、小さな分身が一匹では、どうすることもできない。ある程度の分身を集める必要があるわけです。分身を集めて攻撃する──その時間差のうちに、キルアの「電光石火」で大ダメージを与えられたかもしれません。
もちろん、実際にキルアが取った行動は、グーです! カッチョイイ…… !! キルアとパームのコンビも、しっくり来ていますね。──これって、将来はキルアとパームがコムギを養っていくフラグ?
オレが行くまで 待ってろよ !!!
ピトーにも、ユピーのような心変わりを期待したわけですが、それはムリでした。しかし、ゴンを殺すことを残念だけど
、と言うのは、ピトーの本心でしょうね。ゴンが勘の鋭さを見せなければ、ピトーはゴンを放っておいたのかもしれません。
ただ、「ゴンを生かしておきたい」と思うピトーの気持ちは、ただ単に「壊れたオモチャ(カイト)の替わり」だったりして……。
何だ これは
さて、今回のラストですが……。ものすごく「週刊少年ジャンプにありがちなこと」な展開で、逆にビックリしました。まさか、『H×H』でこう来るとは……! まぁ、どちらかと言うと「スーパーサイヤ人」よりは、『劇場版エヴァンゲリオン』を思い出したケド。
ネテロもゴンも、すべてを振り絞って敵に挑むところは同じです。はたして、ゴンのありったけ
は、ピトーに届くのか……。
「ジャジャン拳」の「グー」によるダメージの大きさは、何度も強調して描かれてきました。しかし、あの素早いピトーに、どうやって当てるのかが問題です。ここで急に、「瞬発力を強化する能力」にゴンが目覚めるのでしょうか。
あるいは、最後のページのシルエットを見ると、「髪の毛が伸びた」みたいに見えるんですよね。ということで、「頭髪を強化して戦闘に役立てる能力」だったりして(パーム「……」)。
ピトーの「黒子無想(テレプシコーラ)」がどんな能力なのか、いよいよ見られそうです。もしかして、「黒子」だけに、「相手のオーラを高速でパスする」能力とか?(ないない)
- ピトー:
- 「教えといたげるわ 黒子無想の出る速さ (パン!) ……届いた? 今の五百倍や」
- ゴン:
- 「なん……だと…… !?」
コメント
最後のゴンはスーパーサイヤ人的といえばそうかもしれないけれど、ゴンのこの暴走を見るとほんとH×Hはキメラアント編で終わってしまうような気がしてなりません。
あと、ああいう絵(髪の毛?がのびてるとことか)を描ける冨樫はやっぱり凄いなと思いました。
スーパーサイヤ人というより、やっぱりあれ(髪の毛超進化)は
体中に変な模様が出てきて
「仙水避けろ」と叫ぶパターンじゃないでしょうか。
>> 永空さん江
あれ、髪の毛なんですかね? それとも「ドス黒いオーラがほとばしっている」? どちらにしても、ゴンは元に戻らないのでは……。
ということで、キメラアント編・ならびにゴン編はあと 3 週で終わり、つぎはゴレイヌ編が始まるそうですよ!
>> ゴンザレスさん江
なぜ「スーパーサイヤ人」を例えに出したのかというと、下記の理由からです。
1. 怒りによって自分から発動した(幽助はムリヤリ操られただけ)
2. 『幽☆遊☆白書』のコミックス全 19 巻で、たった一度だけの変身を覚えている(知っている)読者が何人いるのか……
次週予想
◯ピトーを圧倒するゴン
◯キルアの言葉も届かない
◯ゴンの暴走は止まらない
◯もうダメなのか
◯と、誰もが絶望する中
◯そこに現れたのは!
◯ゴレイヌ
冨樫「……それだ!」
ってか、ハンゾーとか旅団とかヒソカとか、オイシいキャラはまだまだ山盛りですよね。再登場はあるのか……。
とはいっても、(ゴンのピンチ)→「ふ、待たせたな」→「お、お前は……!」みたいな展開は『H×H』には似合わないですけどね。
ハンゾーの会得したと言う念能力とか、
クロロと除念師とかはまだぎりぎり許せるとして、
ジャイロの話とカルトの言う「兄さん」の件ぐらいは
明らかにしてもらいたいですね。
髪の進化は、「怒髪天を衝く」をまんま、具現化したのでせう。
具現化系の能力は物を作り出すことなので、
「カツラ」や「髪がめっちゃ長い念人形」なら作れても
「髪が伸びるという現象」を作り出すことは
出来ないんじゃないでしょうか。
どちらかというと、ゴンの得意系統である
強化系の力が暴走して細胞が活性化し、
髪がもっさり ということだと思います。