『バクマン。』 88 ページ 「表現力と想像力」 (週刊少年ジャンプ 2010 年 27 号)
シュージンが言うには、新妻エイジは効果音を入れるセンスがあるそうです。効果音のセンス──エイジの表現力とは、どんなモノなのだろう?
『バクマン。』の作者は、あまり効果音──擬音を使わないためか、エイジのセンスの良さがイマイチ分かりません。もしかすると──、
──エイジを絶賛するシュージンのセリフは──、
──大場つぐみさん自身の声だったりして。
ギリギリまで やってみます
亜城木夢叶は、ジャンプの本誌では 1 位を獲ったことがありません。それなのに、服部の口ぶりだと、
「1 話目の 1 位は楽勝だが、もっと票を取ろう」
と言っているように聞こえる。
亜城木はいつも、ひとつひとつ階段を上がっていく──というやり方をしません。するとしても、まずは大きな目標を念頭に置いて、「急がば回れ」方式で着実にやっていく。
そうは言っても、絶対に 1 位──どころか上位が狙えるかどうかは、最後まで分からない。これまでも同じことが何度もあったというのに──。
──また、ぬか喜びにならないだろうか。
ただ、1 話目はトップという話も、服部が言うからスンナリと 2 人は受け入れられるんですよね。港浦だったら──どこか話半分で聞いていたと思います。
自然に描けるんだろうな
真城が変なこと 言いだして
、というシュージンの言葉に、服部は喜ぶ。なんだかマニアックな場面です。
コタツに足を突っ込んで本を読む。男の一人暮らし丸出しというか、大学生みたいな服部です。質素な生活に見えますが──、集英社の社員だから高給取りじゃないのかな。
いや、この読書も、亜城木たちのために「セリフのセンスを磨く」という自己鍛錬なのかもしれないですね。
- 服部:
- 「めだかちゃん
、まじパネェ wwww」
文章だけの方が
ついに、エイジと同じ境地にサイコーは立つ!
──いや、まだその序章と言うところか。
今までは、どんなにサイコーが頑張っていても、けっきょくは──シュージンのガンバリ(と運)で順位が決まっていました。
これからは、サイコーの「ネーム力(りょく)」が重要になってきます。88 話目にして、ようやく主人公が力を発揮できる状況になってきたのか……。
作者である大場つぐみさんは、「とっても」味のあるネームを描く人ですから、作画の小畑健さんから、
「次回からは文章だけでお願いします!」
と言われると──、とても悲しむでしょうね。
コミックスを見ると分かるとおり、大場さんが描くのは単純なネームではなく、ところどころに編集者や小畑さんへ向けたサービス──お遊びが盛り込んであります。
原作をネームではなく、文章だけで書くことは、シュージンにとってもメリットがある。そこに気がついた事で、面白いマンガへと急加速して向かえます。自分たちで気がつけたら良かったケド。
──大先輩だったハズの亜城木夢叶が──、
──後輩の岩瀬からアイデアをいただいている。
ようやく「亜城木夢叶と服部とは相性が良い」ことを、服部自身が自覚しました。第三者から見れば明らかなのに、いろいろなデキゴトが服部の脳をニブくさせていたのでしょう。
──岩瀬から猛アタックを受けていたとか(妄想)。
やっぱり 仕事とはいえ
どんな状況でも必要以上には落ち込まずに、軽いノリが港浦の持ち味です。どちらかというと、雄二郎を師にしたほうが似合っている。
ところが、その港浦の軽さも、岩瀬には逆効果です。港浦もせめて、もうすこし打ち解けてから軽口をたたくべきでしたね。
──打ち解ける事など最初からなさそうだけど……。
中期の蒼樹嬢と同じく、ここにも男性不信になった麗人が現れました。どうして、こうもウマくいかないのか……。というか、私を捨てた 服部さん 高木くん
──という言葉で分かるとおり、
──岩瀬は思いこみが激しすぎる。
まぁ、この気の強さも岩瀬のミリョクです。いつか、分かってくれる人と結ばれる事でしょう。たとえば──、蒼樹とか……。
たぶん、このマンガでは意図的に、「マンガ家と編集者との恋」は「あり得ない事」として描いている。ひょっとして、現実世界のジャンプ編集部的に NG なのかも。