『青春──トーキョースクールガール』 小林 基行 (著)
写真家の小林基行さん(現在は「小林幹幸」さん)は、自分がいつもブログの更新を楽しみにしている 1 人です。
MOTOYUKI KOBAYASHI BLOG|小林幹幸フォトグライフ|ブログ
それに、『フォトテクニックデジタル』で連載している「スクールガール」シリーズも好きですね。この雑誌自体はたまにしか買わないケド……。
ところが──、彼の出した写真集を自分は 1 冊も持っていません。せっかくなので──、と買ってみた『トーキョースクールガール』は、大当たりでした!
この写真集は、モデルの表情が素晴らしい!
おそらく、この本に出てくる女子高校生の制服を着た 100 人の少女たちは、全員がプロ──モデル事務所に登録されている人たちだと思うんですね。
だから、「破顔」としか言いようのない笑顔も、物憂げなうつむいた顔も──、演技ではあるのでしょう。
それでも、写真を見ている側には、自然な表情と見分けがつかない。そこが──スゴイのです。こんな表情は、ほかの写真集では見たことがありません。
自分もポートレイト──コスプレイヤさんをよく撮影します。だんだんと「自分のスタイル」らしきモノが身についてきたけれど──、ちょっとマンネリ気味な時期かも。そこで、この写真集は強烈な起爆剤になりました!
ああ、もっと写真は自由に撮っても良いのだな、と気付かせてくれた 1 冊です。
自由な写真
この写真集を見て、その自由さに驚きました。しかし──、構図と背景はいたって普通です。
無地の布の前に制服を着たモデルを配置して、バストアップと全身をまっすぐ前から撮っている。けっして、奇をてらって下から広角レンズでアオって撮ったり、奇妙な背景や服装でデコレーションしたり──はしていない。
たまに女の子が寝そべっている写真が出てくると、ドキッとするくらいです。
ではつまらないのかというと──ものすごく面白い!
この本では、おそらく、写真の撮り方自体は普通の技術を使っているのだと思います。しかし──モデルたちの表情が絶妙なんですね。作った笑顔でもなく、完全な「素の表情」でもないのです。
いわば、その人の個性を超えた個性──「超個性的な表情」とでも呼びたくなりました。
この表情を引き出せるのが、カメラマンの技術ですね。もちろん、モデルたちも「ただのシロート」ではないのでしょうけれど……。
「私」
ここに写っているのは──「私」です。私──わたし──アタシ──ウチ──自分。どのページを見ても、彼女たちは、
「私を見て!」
と叫んでいる。
自分を出すことについては、モデルじゃなくても──女子高生はプロ級です。でも、それをキャッチできる技量と度量がカメラマン側にないと、わざとらしい写真になってしまう。
では、どうしたらいいのかな──と考えるキッカケを写真集からもらいましたね。感謝!
そういえば──、「だから私を見て!」と言えばアスカです。小林さんは綾波派──とのこと。ううむ、これはぜひとも、新旧の『エヴァンゲリオン』(『ヱヴァンゲリヲン』)について、じっくりと話し合いたいものですなぁ!(写真のことはいいのか)